通訳案内士だって、もはや苦手では済まされないデジタル技術

本日は、通訳案内士に必要なデジタル知識についてお話しようと思います。

などと言うと、「ガイドに必要なのはデジタルよりも、温かみのあるおもてなしの心でしょ」という反論が返ってきそうですが。

それも大事ですが、ちょっと待ってください。これからの世の中、通訳案内士といえども、デジタル技術に触れておかないと、仕事ができなくなるかもしれません。今回は、特に自立をめざす通訳案内士が知っておくべきデジタル技術について、お話しします。

これからの通訳案内士は、デジタル技術への理解が必須

 
これまでの通訳案内士の仕事のスタイルであれば、デジタル技術から多少距離をおいていても、仕事に支障をきたすことはなかったかもしれません。旅行会社からFAXで送られてきた指示書を読み、案内をし、手書きの報告書を提出すればOKでした。さすがに昨今は、電子メールくらいは利用しているとは思いますが。

しかし、これからの時代は、通訳案内士が海外の顧客と、直接つながる必要があります。その時に必須のツールとなるのが、デジタル機器です。PC、スマホ、タブレット等と、そのソフトウェアをどれだけ使いこなせるかが、ガイドとしての競争力に直結する時代になりました。

ちょっと考えただけでも、集客、オーダー管理、決済、顧客とのコミュニケーションのいずれも、デジタル技術なしには成り立ちません。もはや、「デジタルは苦手なので…」 では済ませされないのです。

特に重要なデジタル技術

インターネット技術（ウェブ、広告、電子決済）

世界中から自分で集客を志す通訳案内士にとって、最も重要なのは、インターネット周りの知識でしょう。自らの店舗ともいえるウェブサイト、そのサイトにお客さんを呼び込むためのネット広告、そしてお客さんから代金回収をする電子決済です。

ウェブサイトを作ることは、CMSを使えば簡単という話をしました。エンジニアではないので、ウェブやサーバー回りの技術については、概念的な理解で十分だと思います。

ネット広告とは、Google広告のことで、通訳案内士の集客での最重要ツールです。広告出稿はこまめな修正が必要なため、自分で行うのが一番です。主に、リスティング広告という種類の広告に関する知識が必要です。あわせて、アナリティクスという無料分析ソフトの使い方も知っておきましょう。

決済については、キャンセル防止のためにも、前金とすることを強くおすすめします。海外からの送金をどうするかが問題となりますが、銀行間決済は小口の場合には費用が高く、お客さん側の手間も大きいです。便利なのは、キャッシュカードで支払ってもらうことですが、我々のような零細事業者は、決済代行サービスであるPayPalやStripeといったサービスを利用します。手数料がかかりますが、コストと思って割り切りましょう。

動画制作と配信は既に常識

 
いまや動画は時代の中心となり、YouTuberは憧れの職業となりました。これからの通訳案内士は、動画を最大限活用して、ビジネスを広げていくことが必要になります。
 
自分のウェブサイトに動画を掲載できれば、より魅力的なサイトになって、多くのお客さんを集めることができるでしょう。今やスマホで簡単に動画が撮れますから、その編集や動画ファイルの取扱い方法が、必要な知識になります。配信は、YouTubeへの動画アップが、一番簡単だと思います。

今後はAIが世界を変える可能性

 
そして、今話題のChat GPTを始めとする生成AIについても、まだ全く触れたことが無いという方は、早めに体験しておくべきです。生成AIの進化のスピードは凄まじく、今や世界はAIによって大きく変わろうとしています。もしかしたら、通訳案内士の仕事の大部分が、AIにとって代わられてしまうかもしれません。
 
そうならないためにも、今からAIに触れ、AIで何ができるのか・できないのかを知っておくことは重要だと思います。通訳案内士の真の価値は、AIではできないものを、お客さんに提供することなのですから。

まとめ

 
「これからの通訳案内士には、インターネット関連のウェブサイト・ネット広告の知識が必須。加えてSNSや動画、さらには最新のAI技術にも親しんでおくとよい。」

でした。
 
大変残念なことですが、旅行業界は絶望的にデジタル化が遅れています。いまでも旅行業登録完了の通知はFAX、年一回の取引額報告書や自主点検表の提出は、郵送で記入表が送られてくるという、超アナログの世界にとどまっています。私たち通訳案内士はこの状況から脱し、直接世界とつながっていきましょう。
 
今回はちょっと盛りだくさんになってしまいました。まずはウェブサイトと広告、この２つから始めてみてください。自然にその他の分野にも興味・関心が広がっていくと思います。
 
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