キルアの針、エレファントシンドローム


全ての人間は認知と向き合っている。


キルアがイルミによって脳に埋め込まれた針、それは本来キルアが持っていた可能性すら封じるものだった。という話で、正直原作を読んでいた時もプチ毒親チックだよなぁと思っていた。というかゾルディック家が毒家庭そのものだった。

ただ毒だと認知できたのもまた、毒経済圏を抜けた場所で過ごしたからでもあるんだよなぁ…。
私自身ももし周囲が「親にモラハラ、暴力を受け、自尊心を著しく傷つけられるのはごく当たり前のこと」という認知だったら、精神的にダメージを負うことは無かったと思う。
物理的な傷もそうだけど、傷を負った瞬間よりも「傷を傷と認知した」瞬間の方が痛みや恐怖を感じるもの。
幼少期父親からブランブランぶら下げられて床で強かに顎を打った時も、打った瞬間より傷口を鏡で視認した時の生々しさで泣いた記憶がある…。

キルアはゴンやクラピカ、レオリオ達と出会ったことで自分の中の社会を広げていった。
そして天真爛漫なゴンの明るさが救いになる一方、自分を傷つける武器として刺さったこともあるんだろう。
ただそれは内面の成長に必要な傷で、キルアが家庭の外にある社会に馴染むためには必要なものだったんだと思う。

どうせ自分は殺人鬼にしかなれない、友達なんか作れないとイルミから洗脳されていたキルアがゴンと出会い「友達になりたい」「勝ち目の無い敵でも立ち向かってやる」と志した時は、サーカスの象とは違い自分の脚に鎖など付いていなかったとまさに認識した瞬間だった。


ハンターハンターって救いが無さそうなのに、ちょっと心に傷持つ人間に訴えかける要素も持っているところがズルいなぁ(いい意味で)。
なんて思った日でした。
実はキメラアント編が終わってアルカがどうのこうの、ってところくらいまでしか読んどらんのですけどな。
そのうちまとめて読みたい〜。

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