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誰もがHUNTER×HUNTERのキルアと同じように自分の認知と向き合っている

いきなりですが僕はHUNTER×HUNTERのキルアが自らの認知と向き合い葛藤する姿に惹かれます。そして漫画が進むにつれて、その葛藤を乗り越えて成長し、魅力的になっていくキルアを見ていると心から感動します。彼の葛藤は決して他人事ではなくて、誰しもが自分の認知と人生の様々なシーンで向き合い葛藤していると思います。今回キルアを事例にアドラー心理学を用いて「認知」について考察してみたいと思います。

キルアはHUNTER×HUNTERに登場するキャラクターで主人公ゴンの親友。暗殺業を営むゾルディック家の出身、幼い頃から暗殺術を教え込まれておりゾルディック家の後継者と期待される暗殺術の使い手。卓越した能力と才能、積み重ねた努力(訓練)、広大な土地とお金を持つ家族、ある種恵まれているようにも見えるが、自分の歪んだ認知に苦しんでいる。

そもそも認知とは何か?アドラー心理学において認知論とは人は現実自体を見ているのではなく、現実を自ら意味づけ解釈したものを体験しているという考え方のことです。認知=ライフスタイルとも呼ばれており、独自の認知の枠組みを一人一人が持っていて、それによって物事の捉え方が決まります。アドラーいわく認知は過去の経験から作られており⼈⽣の早期(およそ10歳まで)の体験の中で、認知(ライフスタイル)の⾻格を作り、それを使って⽣きていくとされています。その認知が現実を創るのです。例えば「⾃分は無⼒だ」という認知を持つと、⾃分の無⼒なところや他⼈の優れているところばかり⽬につき、⾏動の結果も肯定的に⾒られないため、いずれ⾏動を取らなくなり、結果として無⼒な状態にますます近づくなどがあります。話をキルアに戻しましょう。


普段は明るく、茶目っ気たっぷりのキルアですが戦闘になるとその強さを発揮します。高い思考力にあらゆる知識を持っており、強敵をどんどん倒していきます。個人的にはダーツの特性を知った上で作戦を立てて、オソロ兄弟を破るシーンが大好きです。そんなめちゃくちゃ強いキルアですが兄イルミの歪んだ愛情からくる考え方の押し付けに支配されている一面があります。

先に述べたように認知は10歳までにできます、その10歳までに最も関わるコミュニティは家族です。つまり人は家族に大きな影響受けて人格が形成されているといえます。キルアの場合は暗殺一家という特殊なコミュニティとそこでの日々、そしてイルミの支配が大きく影響しているように見えます。

あなたは〇〇してはいけない
あなたは〇〇であるべき
あなたは〇〇できない

イルミはこういった認知をもはや洗脳レベルで植え付けています。キルアはその認知に振り回され、自分の行動を制限したり、無意味な殺人をしていました。アドラー⼼理学では⾃分に関する認知を「⾃⼰像」と呼び、他者や世界に対する認知を「世界像」と呼びます。この場合強烈な自己像をキルアは持っています。しかしゴンと出会い親友になり一緒に行動してその認知を変えていきます。

ゴンはキルアとはまるで逆の性格、二人は対照的な陰と陽。何かに囚われず自分を信じてやりたいことにまっすぐ進んでいくゴンに影響を受けてキルアも少ししづつ変化していきます。ゴンに「出会えて良かった」と言われ、素直じゃないキルアは本当の想いを口にせず心の中で呟きます。大好きなシーンの一つです、HUNTER×HUNTER好きなら泣いた人も多いのではないでしょうか。

少しずつ変化するキルアですが、ある認知が強烈に無意識レベルで刻まれており、様々な戦闘シーンで彼の行動を制限します。それは「自分より強い敵とは戦うな、逃げろ」というもの。念の師匠であるビスケに指摘され、いつか親友であるゴンも見殺しにすると言われてしまいます。

それでも一緒にいることを選択したキルアはついにその認知と戦うことになります。ある敵と対峙した際、圧倒的な実力の差を感じたキルアは「認知に囚われ、逃げようとする自分」、しかし「親友のゴンを守るためには戦わないといけない…」その葛藤に苦しみます。

敵に罵られ、震えながらも、逃げずにその認知と徹底的に向き合い、最後には自らの頭に埋め込まれていたイルミの針を抜いて覚醒します。針=認知ですね、イルミはキルアをコントロールするために脳に針を埋め込んでいたのです。キルアはついにこの認知を乗り越えて、更に強くなりました。

覚醒したキルアはその後一撃で相手を倒します。このことからもわかるように事実と認知は大きくヅレていたのです。本来は余裕で勝てる相手だった、しかし自らの認知に囚われて負けると思い込み、行動を制限していたのです。

これは決して他人事ではなく、こういった認知を皆さんも持っていませんか?わたしは〇〇してはいけない、わたしは〇〇であるべきわたしは〇〇できない。誰しもが自分を傷付けたり、自分の可能性を狭めるような認知を持っているのではないでしょうか。こういった認知を「認知の偏り」ともいいます。認知の偏りには大きく6種類あります。
①思い込み、決めつけ・・・根拠が不⼗分なのに、⾃分の考えが正しいと決めつける
②⽩⿊思考・・・良い悪い、出来てる出来てない、など⼆分法で考える
③べき思考・・・柔軟な考え⽅や⾏動を許容せず「べき論」を適⽤する
④⾃⼰批判・・・何であれ問題の原因は⾃分だと考え、⾃分を責める
⑤深読み(読⼼)・・・相⼿の気持ちを「こうに違いない」と決めつける
⑥先読み(悲観)・・・⾏動を制限するような、悲観的な予測を⽴てる

これらの認知が決して悪いわけではありません、どの認知にも背景がありますし、その認知によって危機を避けることができたこともきっとあったはずだからです。生存戦略の一つとして、その認知を持つことを自ら選択してきたのです。しかしこれからの⼈⽣においても、⾃他を幸せにする認知だとは限りません。アドラーは認知を「いつでも」「どこでも」「⾃分も」「相⼿も」幸せにするような認知に変化していくと、私たちはもっと幸せな未来を⽣きられるようになると考えています。より大きなコミュニティで自らの役目を持ち、その自分を好きだと思えることが幸せであるということをアドラーは幸せの前提としています。いわゆる⾃⼰実現と社会貢献に向けて役に⽴つ考え⽅を持つこと、広い世界で様々な状況で通⽤する考え⽅を持つこと、それが幸せになりやすいということです。

まずは自分の認知に気づくことがスタートです、様々な視点をとりながら様々な場⾯で役に立つ認知に少しずつでも変化させていければ行動が変わり結果が変わっていくとそう考えています。その認知を変えていく過程こそ、人間が成長していく上で必要で、そこで起きる葛藤は人間臭くて美しいとさえ僕は思います。

キルアの成長にゴンのコミュニケーションや存在は必須でした。同じように誰もが一人で自分の認知に気づき変化させることは難しいです。自分を信じて共に夢を描きそれをサポートする存在が必要です、これって何かに似ていませんか?
そうです、コーチングです。コーチングの目的の一つに自らの認知に気付いて変化していくことがあり、そのためにコーチングとコーチは存在していると僕は思っています。しかしどこまでいってもコーチングができることはあくまでサポートです。自らの認知を超えて行動するのはクライアントです。キルアのように自分を苦しめていた脳に埋め込まれていた針=認知を抜いて目の前の現実を変えていき幸せになっていく、そんな体験を自らの人生でも起こしていきたいですし、関わる皆さんにも起こることを僕は願っています。コーチとしてキルアにとってのゴンになりたい、クライアントの光になりたい、クライアントにあなたに出会えて良かったと言われる存在になりたいと願っています。コーチングは光です

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