完全教祖マニュアル
みなさん、仕事は楽しいですか?
私はできれば働くのは最低限にして好きなことだけして生きていたいです。
同じような人がいたら、宗教を創始することをおすすめします。
つまり、あなたは会社員から教祖にクラスチェンジするのです。
でも、急に教祖って言われても……
そんなとき、『完全教祖マニュアル』が手元にあれば大丈夫です!
今回は『完全教祖マニュアル』の魅力をお伝えします!
ド嘘です。すみません。
こんな本を読んでも教祖にはなれません。
本気で信じてしまった人は教祖になるためのセンスがないのであきらめましょう。
ですが、この本は良いですよ。
タイトルからしてジョーク本ですし、実際そうなのですが、読んでみると宗教を創始する側の人間視点で見ることができます。
宗教の成り立ちの歴史や変遷などを知りたい、あるいは宗教全体をざっと覗いてみたいときには最適です。
「奇跡は起こさなくていい」の章が面白いです。
キリストはさまざまな奇跡を起こした逸話が伝わっていますが、実際には後世の後付けだったとされています。
されていますというか、まあそういう部分も多いのでしょうが、宗教を創始するにあたって信徒を増やすために無理やり奇跡を起こして見せなくてもいいという判断に決着させるのが意外と盲点だったり。
もう少しためになりそうな話を。
御朱印集めって少し前に流行したのを覚えているでしょうか。
あれは死後に御朱印実績みたいなものが認められて極楽に行けるというスタンプ帳なのですが、本来は写経を寺社に納めた際にもらえる「受領印」だったそうです。
つまり御朱印そのものに意味があるわけではなく、本来の目的である写経を納めたことの証明書だったわけですね。
いまは300~500円で御朱印をいただけるのですが、これはプロテスタントなどに見られる免罪符と同じと書かれています。
免罪符は読んで字のごとく、罪を免除してくれる紙です。
当初は資金繰りのために発行されたようですが、受け取った信徒が安心して天国に行けると信じていればまあいいんじゃないでしょうか。いろいろ批判はあるようですけど。
私は御朱印が写経の受領印だったとは知らなかったので、また新たな知識を蓄えることができました。
日本は神道や仏教、儒教が生活に根差していて見えなくなっている部分も多いので、こういった本で見える世界が広がると楽しいと思います。
世界に数多ある宗教の共通点を取り出してこうやれば成功するというロジックはビジネス書みたいでどことなく筋が通っているような気がするのですが、そこはビジネス書と同じ。
理論と実践はまた別なので、これを愚直に信じたところで教祖になれるかはかなり厳しいと思います。
あくまでもジョーク本と理解したうえで、宗教のもうちょっと踏み込んだところを知りたい人におすすめの一冊です。
私もしばらくデスクに立てておきます。
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