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自覚した自称読書家たち

 私は読書家ではない。
 Twitterアカウントも読書アカウントではない。
 一時期名乗っていたこともあったかもしれないけど、その期間はかなり限定的なはず。

 読書家の明確な定義は定まっていないだろうが、ざっくりとしたイメージでは「よく本を読む人」だと思う。

 確かに私は本を読む。
 一般的に本を読む習慣がある人と同じくらい。

 移動中の電車の中では本を読むことが多い。
 始業前の数分の間に本を読む。
 飛行機の搭乗時間を潰すために本を読む。

 だが、それまで。
 家に帰って読書をすることはあまりない。
 あるとしたら、もう少しで読み終わりそうな本があるとき。
 続きが気になるときもあるが、そんなときは年に数度もない。
 このままだと明日の電車の中で読み終わってしまうとき。
 そんなときにさっさと読み終わって新しい本を鞄に忍ばせるのだ。
 そうしないと二冊の本を持ってうろうろする羽目になる。
 書籍は意外と重いのだ。
 あくまでも暇つぶしツールとしてしか本を利用していないので、私は読書家ではない。

 私と同じような人間が結構いるな、と知ったのは先の感染症の時代のこと。
 感染拡大を抑制するために出勤抑制がされたのは記憶に新しい。
 当時の私はどんなに頑張っても出勤せざるを得ない職場に勤務していたので、ガラガラの 電車に乗って出退勤をしていた。

 そんな時代、Twitterでは「出勤しなくなって本を読まなくなった」という旨のTweetが散見された。
 家の中では暇つぶしをする必要がない、あるいは暇つぶしツールが本ではない。
 これらの事情から本を読む機会が減ったのだ。

 これまで趣味として読書をしていた、と思っていた人間たちは気が付いたのだ。
 私は電車で暇でないと読書をしないのだ、と。

 家にいるならテレビを見た方が楽しい。
 充電がすぐにできるからスマホでゲームし放題。
 家の中は読書をするにはノイズになるものが多く、環境が整っていないのだ。

 感染症時代に突入しても読書量が変わらなかった者、逆に読書量が増えた者は胸を張って読書家を名乗って良い。

 私はただ「読書が好きな人」として生きることにする。

寝る直前の三種の神器

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