読書の効用
私は比較的読書に慣れ親しんだタイプの人間です。
幼いころから本を読んできて、いまでもたまに図書館へ行くし、今でも月に1〜2度は書店へ行くことが習慣になっています。。
本を読んでいると「読書家なんだ」「偉いね」などと言われることもあります。
だけど、本を読んでいるから偉いなんてことはちっともありません。
読書に趣味以外の利益は一つもないと言っていいでしょう。
語彙が増える、知識が増えるなんて言われますが、それは個人の資質によるもの。
読書と知識量が完全にイコールではないことは、読書をする習慣のある人間には当然の事実じゃないかと思います。
現に私自身は語彙力が豊富なわけでもないですし、知識も広く浅くを信条としています。
周りにいる読書をする知り合いを見渡しても同じ。
知識はあっても引き出しが錆びついている人、インプットばかりでアウトプットに興味がない人、書に向かうばかりで外部との交流を嫌う人。結局のところ読書は現実からの逃避でしかないんですよね。
読書をする人たちのなかで幸いなのは運命の一冊に出会えた者。
人生で何度も読み返す価値のある本に出会い、その本や一説を思い出せばどんなときも立ち上がり、前に進むことの出来る強さを獲得した人。
読書家たちの目指しているところはこの境地だろうと思います。
さらに幸いな人もいます。本を読まなくても生きていける人。
彼らはあまりにも強い。強すぎる。
誰かの編んだ物語に頼ることなく生きていられるんですから。
ひょっとすると他に寄る辺があるのかもしれないけど、読書よりは遥かにマトモでしょう。
趣味としての読書は勧められやすいけど、その間口は余りにも大きく、進めば進むほど深淵が広がって、目指すべき最終地点は遠ざかるばかり。
さっさと書を焼き払い、空いた狭間へ有意義なナニカを詰め込めば良いものを、私はまた書店へ入りため込むべきでないものを抱えて一時の悦楽に浸るのです。
私は読書という直線のどこにいて、どこへ向かっているのか。
それはまだわからないし、全くもって捻じれた場所を茫漠と漂っているだけなのかもしれません。(そ)
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