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決めつけてはいけなくて。
『認知症の利用者さんの生活援助にいってくれ』
と上司に言われ、最近ケアが始まった。
軽費老人ホーム。
築年数が経っていないので、建材の匂いが強いなかに、僅かな尿臭と高齢の方特有の匂いがする。
「○○○○さん。こんにちは。」
元気に手押し車を押して、廊下で管理人と談笑していた。
認知機能が衰え、日常生活動作も低下し
生活に関わる支払いの管理も難しくなり
アパートから退去させられて入居したらしい。
『○○○○さん、初回の訪問のときゴミ箱におしっこしてたんですよ。匂いがキツくて。ハイターにつけて匂いとりました。大変でしたよ。
栄養ドリンクをよく飲むから、その片付けも毎回してください。それと、日用品が無いので必要なものは本人から現金預かって買ってきて下さい。』
上司とケアの導入時同行した。
○○○○さんは新しい環境、次から次へとやってくる訪問者に辟易しているようだった。
「そんなことしなくていいっ!帰ってくれ
何もいらないから!」
と言いたくなる気持ちもわかった。
嘆息ののち
上司『ダメだな今日は。』
○○○○さんへの問いかけが雑になる。
ストレスを受け流した。
介護に転職したばかりの頃は
言い方きついなぁと思う場面だったが
発言を額面どうり受け取らないことがストレスを貯めない方法だということを理解してからは
そうは思わなくなった。
状態、症状、場面の対応だけを切り取り
決めつけてはいけない。
決めつけは適切な対応が出来なくなるだけでなく
コミュニケーションの阻害要因にもなるからだ。
実際、私は新人の頃働いていた施設の職員の
利用者様への発言と応対をみて
その職員が嫌いになった。
自分が利用者さんだったならば往復ビンタをかます。
しかし、その人は大きなストレスを抱えていたのだろう。
プライベートも諸事あったらしい。
(私情が仕事に出てはならぬが。)
決めつけが入ると
「この人は短気だ。優しくない。介護向いてない」となるが
決めつけないと
「なぜだろう」と事態の背景を推測する。
だろう ではなく かもしれない
という思考回路にたどり着けたとき
見える世界が変わった。
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