2024/04/09 先達

いつの間にか4月になった。
今いる場所にもめいいっぱい桜が咲いている。
日課の行き帰りに見るライトアップされた桜はまた見事。
それでもおそらく今日の強風でほとんど散っていくんだろうなー。
散った桜も、散っている桜もまた乙なもんで。
最近は自分が死んだら地面に埋めてそこに桜の苗を刺してほしいとも思う。
でも椿の方が好きだから椿がいいかなー。
いや?でもそれだったらもっと栄養効率が悪い草木に栄養を与えた方が…
んー、しかしそれなら俺の死体から栄養を摂取しない方が健全な花が咲くのでは?
と思ったのは数日前の話。
結論、やっぱり椿がいいかなって思う。
それが椿にとって良いか悪いかは別として。

日本では4月は出会いのシーズン。
社会生活に身を置いていれば自然に新しい誰かと出会う、そんな季節だ。
いやいや、自分の会社には知らない顔なんて入ってこなかったという人も、
周りを見ればコンビニのレジを打つ人も、電車を待つ間の駅員さんも
注意してみてみるとどこか初々しさや着なれない服だなと思う。
それは自分の思い込みかもしれないけれど、きっとそうなんだろうなと思うと
彼らの顔や行動から不安や希望が見て取れる。
それも勝手な妄想かもしれないけれどもね。

そんなこんなで俺も新しい人と出会った。
自分は今休職中の身なので、会社にはもちろん出社しない。
出会っても「だから何?」という感じなのだが
余りある時間にかまけて「人と話したい病」がむくむくと湧き上がることがある。
今日はワケあって月イチで会社へ向かう日だった。
1日の始まりから散々だった。
朝から雨が降っているし、風は折角東京にいるのに地元くらい吹いているし病院に行く道は間違えて楽しくない余計な出費はかさむし。
病院の待ち時間は長いし、呼ばれてた間寝てしまっていたし、
そんなこんなで午前中は最悪だった。
1つだけ良いことがあるとすれば時間通りに起きられたこと程度だ。
エライ。
午前中に起きて行動するなんて今の自分には苦行以外の何物でもない。
今からでも日本の民族的無意識が「午前中は休みの時間」という概念を萌芽させないものかと願ってやまない。

午後。
会社に向かうと一応会社に連絡したら、
「ランチ行ってるから放置っちしていい!?」と連絡がきたので
「じゃあ俺も適当にランチっちしてから時間ある程度合わせて向かいます。」
と返した。
日は決めるけど特に示し合わせた時間など無い。
いつからかそうなっていった。
大体そのあたりゆったりと合わせてくれるので個人的には相当楽だ。
深刻な話でもない限り時間を設けて話をすることなんてない。
指定された申告書を提出する、ただそれだけをしに会社へ向かう…
はずだったのだが、初回顔を出したときに様々な方向から単純なお悩み相談やら
仕事の相談やらプライベートの話やら持ち込まれた。
そこから自分は請われもせず皆の聞き役兼アドバイザーとして
出社する日は(無給で)人の話の聞き役になった。
会社に到着。案の定、まだランチに出ていたお目当ての人は不在。
ごく自然に後輩に今日出社していない人の席を教えてもらい、
適当な席につく。まるで自分が今までそこで仕事をしていたような
面構えと体勢で椅子にどっかりと座って提出書類の準備をする。
それが終わってなお、目当ての人が居なければ喫煙所で話していてもいいし、
先輩から技術的なことを聞くのも面白いし、後輩をイビるのも面白い。
要はやりたい放題自分の中ではやっている感じだ。
自分を見つけては話しかけてくれる人もいるし、
俺から話しかける人もいる。
ゾーンに入っている人にはあまり話しかけられないので残念ながら保留…
そうやって俺なりに業界の情勢や今の会社の勢力図を構築してなんとなく組み立てる。
しかし今回は少しばかり男女の不平不満が俺の肩に乗っかってきたので
上の人にも意見しなければいけない。
なんで休職中の俺がそんなことをしなければいけないのかと思うところもあるが、
正直、人の本音を聞き出すのには相当骨が折れる。
人間性、共にした時間、他愛のない話、信頼関係。
まったくそんなことを考えると営業にでも行けばいいんじゃないかと思うけど、
万人の罵詈雑言を受け入れるだけの堪忍袋は持ち合わせてはいない。
まぁそういうことで今回の主なミッションは2つ。
書類の提出と上下四方八方から聞かされた上の人への苦言の代弁。
書類は無事なく終えたが、人とのコミュニケーションで難しいものの1つに交渉がある。

本来交渉とはお互いの理念をどうすり合わせていくかがメインになる。
それがおおよその仕事で使うコミュニケーションの延長線上にあるものだと思う。(逆もしかり。)
しかし、お互い見知った顔。俺は大変お世話になり、お相手からも自分の過去の仕事についての評価バフが入ってるんじゃないかと思われる。
お世話になっている人のメンツや後輩の特定を避けるために情報を小出しにしていくのだが、いかんせん酒の席で聞いていた話なので7割伝えられたらいいかなーくらいに思っていたら5割も伝えられんかった。
正直すまんとは思うが、回りくどい言い方は苦手なこともあって相手の
核心に触れて少しは考えれてくれるかと思っていたら
意外にまともな言葉が論理だてて帰ってきたので0.5秒くらいハトが豆鉄砲食らった心境になっていた。
その時だ。なるほど、この人の形成されている部分の芯はブレていないのかもしれない。
そして同時に、俺を伝書鳩にしたところで本人たちの成長は見込めない、
相手のせいにして愚痴に走る、生産性の無いストレス解消会が開かれる可能性がある。
俺には基本的に何の利もない。ただ言える人がいなかっただけ。
夕焼けに差し掛かる開発真っただ中の街の風景を眺めながら、
つくづくお人よしで適当な自分に軽い溜息がでる。
俺としては下々の人の話を聞いて、先方が戒めの気持ちを持ってくれたら
それでいいかなーって思っていたんだけど…
俺は一方の意見しか聞かされていなかったからそう思っていただけで、
相手の言葉がどう出てくるか、予想以上のものが出てきたが、
しかしそれは腑に落ちる内容でもあった。
これによって、俺自身としては状況次第で人の気持ちは変わるし、
相対する人にももちろん理論はある。
ただ単純に何回も人間が繰り返してきたことに少し疲労感を覚えただけ、って話なのだろうかー。
なんて思ってたらその後少し動いてくれているようなものが垣間見れたので
損はなかったかなって思った。
その話の途中、流石に給料は貰えないがメシ代くらいは出してやると言ってくれたので半信半疑でありがとうございます、とだけ伝えた。

なんだが割と長くなったし眠くなったので一旦終区切り。
元気があればまた明日。
今日が良い1日になりますように。

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