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北欧2018 共生の条件<4>散歩の時間

ストックホルムの金曜日と土曜日の夜は、うるさいような賑わいで、頭の上の方から酔っ払ったような大声を聞いた。
それが日曜日の夜になると、人出はパッタリ、さみしいほどになり、月曜日の朝には、キリリとした働く顔になる。男も女も、長いストライドで歩く(走ってるような速さだ)。コペンハーゲンほどではないまでも自転車の群れも猛スピードで連なる。そんなメリハリのある日常の顔も見ることができた(^_-)

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休日にはスカンセンを歩くことに決めていた。
中央駅そばのホテルの脇の通りは「女王さま通り」と呼ばれているようで、『ニルスの不思議な旅』のガチョウのオブジェがコンサートホールへとつづいている。
ノーベル賞の発表会場のコンサートホール。その日はリムジンカーが所狭しと並ぶというホール前広場は、アンズタケやたくさんのベリーや花や民芸品の市が出ていた。
南へ下って、路面電車の始発駅からスカンセンのあるユールゴーデン島へ。

スカンセンは、子どもから老人まで、一日たっぷり、落ち着いた楽しい時間を過ごすことができる。
入場料は大人160クローネ(約2000円)、年金者(65歳以上や障害者)140SKr、学生140SKr、4歳~15歳60SKr。合理的な価格設定かな。

スウェーデン最古のケーブルカーに乗り、ポーランド独立記念ということで12世紀のポーランドの民族ダンスを見て・体験して、移築された古い農家で、ホームスパンを見たり、火打ち石で火を起こしたり。
ここの小鳥たちは逃げることを知らない。いじめられたことがないのだろう。古民家のカフェの庭先でお茶を飲んでいるとスズメもミツバチも寄ってきた。

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日曜の午後は、現地の小牧游さんのガイド付きだ。ストックホルム日本人会会長だった彼女はじつになんでも知っている。
市営森の教会墓地は、1994年に世界遺産となった。建物はエリック・グンナール・アスプルンド、公園はシーグルド・レベレンツの設計。1918年に着工されて完成したのは1940年。

中心にある十字架は”十字架”ではないそうだ。ルター派もカソリックもイスラムもいろんな宗教の人がいる。だから「生命のサーキュレーション(循環)」としてつくったのだそうだ。
チャペルが3つ。聖なる十字架のチャペル、信仰のチャペル、希望のチャペル・・・入口の門にはラテン語で「今日は私、明日はあなた」とある。
アスプルンドは完成した1940年、50歳で亡くなっている。

教会は火葬なので灰になった骨は散骨される。
スウェーデンでは「死者は森へ帰る」。

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旧市庁舎はノーベル賞の晩餐会会場として有名だ。
日本の1.2倍の面積に人口1012万人のスウェーデン。水の都といわれるストックホルムは3割が緑地、3割が水(運河)。全人口の約1割98万人が暮らす。しかし、旧市庁舎は美しいな。

そして、ストックホルム市立図書館へ。
設計はこれもアスプルンド(1928年)。彼は天才だ。
人種も宗教もたくさんの人たちがいる。だから必要な言語の本が並んでいる。まさに圧巻だ。子どもの本や視覚障害者のデータライブラリーも豊富だ。文化の厚みを感じる。

旧市街のガムラスタンには、なんど足を運んだろう。
この小さな島のトイレの場所はすべて了解している(^_-)
フィンランド教会の裏庭にある小さな鉄の像・アイアンボーイ。頭を撫でるとまたストックホルムに来れるという。なので、みんなで、なでなで。
一日、1万5千歩は歩く、わが研修ツアーだけれど、時間があれば、友と語り合いながら、秋のストックホルムを散歩してた。

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