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【読書メモ】声がよくなる「舌力」のつくり方

こちらの本(以下、本書)を読んだ。僕が思ったことを残しておきます。

前段:なぜ読んだか

発声や話し方を向上したくて本書を購入した。

僕は声に関してはまったくの素人だが、自分の声を使ってなにかしら発信したいという淡い思いが僕にはある。例えば友達の動画にナレーションを入れてみたりとか。声優さんとか、目指しまではしないものの憧れる。

僕は今も趣味でぼそぼそと独りごと言いながらゲームしているのをYoutubeに上げたりしているが、その発声、話し方の質を上げたいという気持ちがある。特にここ近年の動画社会では、声や話し方がキレイなことに越したことはないだろう。

こんな思いをほぼ無意識下で抱いていたところで、書店でブルーバックスのコーナーを見ていたら、この本を見つけた。
「えー、イケボになりたいじゃん?」
「舌力ってことは筋トレみたいにトレーニングすればなれるってコト?」
なにかしらのヒントが得られたらいいな、と思い本書を購入した。

ちなみになぜブルーバックスの棚を覗いていたかというと、僕の好きなYouTuberグループ「QuizKnock」の動画で、ブルーバックスの本がいくつか紹介されている回があったからである。

感想

自分に当てはまりすぎる

実は本書は声が良くなるトレーニングの話がメインではない。滑舌が悪くなる要因であるポカン口と低位舌、本書の大半はこの話が占めている。これらがどういう状態を指すのか、これらが起こす弊害、なぜそうなってしまうのか、が語られている。

このポカン口と低位舌、自分もしっかり該当した。全てとまではいかないが、本書でいう「滑舌の悪い人」の説明は80%ぐらいが自分にも該当したのだ。

一般的に舌というのは、口を閉じているときは上顎に張り付いている。しかし僕の場合は口を閉じても舌が上には行かない。低位舌だ。

また、僕の鼻の中の骨が曲がっている。これは耳鼻科の先生から以前から言われていた。左鼻がすぐ詰まってしまう体質だ。先生からは「手術することもできますよ。呼吸のしやすさが違いすぎて世界が変わりますよ」と言われていた。本書によると、この鼻中隔湾曲症が口呼吸を引き起こし、ポカン口の原因になるのだ。そしてポカン口で過ごした結果、低位舌となり舌の筋力が不足するのだという。なお僕は口呼吸になることはありつつも、ポカン口になっている自覚は一切なかった。舌小帯も異常だと思っていなかった(実際は本書でいう異常Ⅰ型に該当した)。

僕が本書を手に取った時、自分の滑舌が悪いというつもりは全くなかった。むしろ平均よりかはハキハキ話せるほうだと思いこんでいた。「滑舌が悪い人間には該当しないと思うが、それでもなにかしら参考になる情報があるかもな」といった心持ちで本書を読み始めた。しかし、読んでみたら自分のことが「滑舌の悪い人」としてたくさん語られていたので驚いた。自分があまりに当てはまりすぎて、これって運命的な本との出会い!?とすら思ってしまった。新鮮な体験だった。

手術したくなっちゃうね

本書では、鼻中隔湾曲症も強く残った舌小帯も、手術することをおすすめしている。なので、手術受けたくなっちゃうね。

自分が本書でいう「滑舌の悪い人」に該当したのが驚きだったが、それと同時に、自分のしゃべりは改善の余地がたくさんあるんだと思うと、改善を試したくなるね。

実は僕は人生で一度も手術というものを経験したことがなく、手術というものはかなり怖い。だから手術するかどうかは慎重に検討するつもり。でも、本書を読んだら手術した後の世界が見たくなるね。手術受けたいなあという気持ち。

医師の意見が気になる

本書はかなり医学的な領域まで踏み込んで書かれている。著者は高名なアナウンサー・ナレーターの方のようだ。が、こういっては何だが、医師ではない。(無論、医師の話を十分聞いた上で執筆されていると思うが)

個人的には医師が本書を読んだら納得するのかがとても気になる。特に耳鼻科や歯科の先生に読んでみてもらったら、どんな感想を抱くのか。すごく気になる。

本来の読んだ目的とはマッチせず

読後に冷静に考えてみると、前段で書いた「発声および語り方の向上」という目的と本書の内容はあまりマッチしていなかった。確かに本書で舌力(著者による造語)つまりは良い発声&滑舌を生む筋肉のトレーニング方法は解説されている。が、それについて書かれているのは本書の中でも10%程度である。

本書のメインは良い発声&滑舌を妨げる要因の紹介であった。またその要因への対処法も記載しているが、トレーニングなどではなく「手術するといいよ」という話だった。

では読んでムダだったかというとそうではない。今まで深く考えたこともなかった発声&滑舌を妨げる要因や、なんなら自分がそれを抱えており「滑舌の悪い」側の人間であったことを知れて、とても勉強になった。読んでよかった。

おわりに

なんとなくで手に取った本を読んで、運命的な出会いを感じてしまう。そんな珍しい体験を本書から得ることができた。面白かったなあ。
読むだけでイケボにはなれなかったのは残念。そんな都合のいい話があるわけないか。

本書が気になった方向け

本書はタイトルと反して、滑舌が悪くなる原因の説明が大半の内容を占めています。声をよくするためのテクニックを求めている人にはマッチしないと思うのでご注意を。

本書は個人的に日本語が少し分かりづらく感じました。因果関係が分かりづらかったり、論点が途中からずれているように感じる箇所がところどころ見受けられました。

が、知識を得るための本として面白いです。ですので、前述の点を覚悟した上で読んでみるのはおすすめです。特に本書では、滑舌が悪くなる要因を子供のうちから直していくことが重要だと語られている(子供のうちなら治すのが比較的簡単)ので、自分や身近にまだ幼いお子様がいらっしゃる方々は読んでみると良いかもしれません。


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