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八代ケーキ

CDショップの全盛期、その日もいつもと変りなく店内には賑やかな楽しい雰囲気が漂っていました。あの1本のクレーム電話が鳴るまでは。

1.クレーム
店に年配男性からクレームの電話がありました。あまりの剣幕で言葉になっていなかったように思いますが要約すると、「オマエんとこの店で買うたCD(八代亜紀のベストアルバム)を家で再生したらなんかわけわからんうるさいROCKが流れるだろ!どーなってんだ!?あん!?」と言うことでした。

2.社長
偶然にも近くに社長がいたので、社長に相談しました。すると交換用の八代亜紀のCDを持って社長自らがお客さんの所に慌てて向かいました。

3.笑顔で戻る
しばらくして社長がお店に戻ってきました。しかも笑顔で。そして社長はわたしに事の全てを話してくれました。

4.Enter Sandman
社長が年配男性の家に着くと、既に落ち着きを取り戻していたようです。そして八代亜紀がプリントされたCDのラベルを見せられ「間違いないだろ?これを今から再生するぞ」と言いながらCDデッキのトレーに置き再生ボタンを押したそうです。するとなんと年配男性の言う通り、八代亜紀ではなくどこか聴き覚えのある洋楽ROCKのイントロが流れてきたそうです。

5.続Enter Sandman
社長は慌てて交換用で持って行った八代亜紀のCDパッケージを開け、CDラベルを確認し、改めてCDをのせ替えて再生したそうです。
しかし流れてきたのは先ほどと同じ聴き覚えのある洋楽ROCKのイントロだったそうです。社長はここで気付いたそうです。あ、この曲は…METALLICAの「Enter Sandman」だ!と。

6.黒幕
スラッシュメタルというジャンルで四天王に君臨するMETALLICAが1991年にリリースした世界的大ヒットアルバムは通称『ブラックアルバム』といい、パッケージもほぼ黒ならCDラベルまでほぼ黒。
こいつが黒幕だったのです。

7.息子
ここで結論を話します。息子さんが好きで聴いていたMETALLICAのブラックアルバムがCDデッキのトレーにのったままの状態で、それに気付かずその上に八代亜紀のCDをのせて再生した場合、その下にあるMETALLICAが再生されるのであります。社長がこのカラクリに気付いたそうです。

8.クリームケーキ【最終章】
社長曰くこの年配の男性、平謝りだったそうです。
翌日、怒鳴ったことに対してお詫びの言葉とクリームケーキをお店まで持ってきてくれました。実はこの日、他の店で買った商品の中身が違ったらしく、それに加えて八代亜紀の一件があったので中身違いが2回連続で続き、とてもイライラしていたとのことでした。

貧困をなくすというのは、SDGsにおいて最も根源的かつ主要な目標の一つかと思います。最初に電話をうけた時、まさかこんな未来になるとはとても想像もできませんでした。CDで音楽を聴く機会がほぼなくなった現代では起こりにくいクレームですが、これとは全く違ったカタチでどこかの未来ではクレームがクリームに変わっているかもしれませんね。

「#sponsored」「#未来のためにできること」


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