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【コロナニート】主人公がキメてるヤバそうな薬、自分が毎日飲んでる睡眠薬だった【Netflix クイーンズギャンビット 感想】

画像:Netflix『クイーンズ・ギャンビット』より

『クイーンズ・ギャンビット』を一気に鑑賞した。面白かった。ハマった。
だけど、作中で、主人公が依存しているヤバそうな「薬」、調べてみたら私が医者から処方されてる睡眠薬でびっくりだね!!となった。

そこで今回、あの薬は、どんな薬なのか。作中の描かれ方についてなど、作中と同じ薬を飲んでる当事者として書いてみようと思うよ!!
精神薬、睡眠薬は本当にヤバいのか、薬漬けの人間の書いた人間の文章を読んでみたまえ(笑)

作品に興味がある方ももちろん、睡眠障害に悩んでいる方、身近にそういう悩みを抱えている方にも何かをお伝えできるんじゃないかなと考えている。

当作は、Netflixオリジナルの作品は最近勢いも強いが、その中でもヒット作と呼ばれている。第78回ゴールデン・グローブ賞にもノミネートされたりと、その評価はとても高い。

その『クイーンズ・ギャンビット』で、ある「薬」が登場する。養護施設育で与えられてからというもの、中毒性に抗えず、長く依存してしまうという、作中のキーアイテムだ。

女性として、ミステリアスかつ魅力的で、チェスに関して天才とされる賢い女性が、表舞台の裏で縋っている「薬」。それは、視聴者の注目の的だった。あれは、いったい何の薬なんだろう?

それは、観ていて私も気になったので、視聴しながら早速検索してみた。

作品中の時代では、歴史上、実際に養護施設で子どもを扱いやすくするため、ある薬を子ども達に飲ませていた。主人公も養護施設で育ち、その過程で何のクスリか分からずに服用を始め、そのうち依存状態に陥っていく。

チェスで天才的な才能を見せ、選手として評価され、世界中でプロのチェスプレイヤーとして試合をする華やかな生活の傍ら、中毒症状に悩まされ、薬が手放せないという描かれ方だ。

その薬は、リブリウムやクロルジアゼポキシドとして出回っていたベンゾジアゼピン系抗不安薬と酷似していると『ニューズウィーク』が推測した。

その情報を目にしたとき、ふんふん、なるほどね~。

おい、ちょっと待て、ベンゾジアゼピンって聞いたことあんな!となった。

そりゃそうだ、自分が一年以上も服用を継続している睡眠薬はベンゾジアゼピン系の睡眠薬だったからだ。薬局で受け取る、お薬の詳細にその文字が毎回記されているので見覚えがあったのだ、びっくりだね!!

私は、子どもの頃から、寝るのが苦手で中学三年生くらいから、寝つきが悪かった。大学生の頃には、睡眠障害で大学の健康診断に引っかかり、医療機関の受診を勧められて今に至る。仕事を始めてから、ストレスが増え、お薬のお世話になり始めたのだ。

とはいえ、その前から睡眠導入剤は大学時代4年間ずっと服用しており、不眠症を抱えながら仕事をすることにおいてはもはやプロだと思っている(コロナニートになったのは、睡眠障害は関係していない)。

作中では、その薬を飲むと、天井にチェスの天板が見えてきて、試合の趣味レーションができる、チートみたいな、ドーピング材的に描かれていた。脳みその回転数を上げて、今まで見えてこなかったアイデアが手に入るから、体に悪いと分かっていてもやめられない。それにその薬がないとうまく眠れないし、薬が切れるとイライラする。という感じだ。

ただ、睡眠薬以外の薬効を調べてみても、自身の体験から推測しても、ベンゾジアゼピン系の薬剤は主に鎮静効果というか、緊張状態になっている体・脳をシャットダウンさせることで緊張を解いたり、興奮を鎮めるような作用をするはずである。

むしろ私は、アイデアが溢れ出て、寝なきゃいけない時間なのに目がランラン!!というのを強制シャットダウンさせることで体と脳を休める方向だった。

主人公のように天井を、目をカッと開いて見つめたりは難しい。飲んでから、そういえばトイレ行きたいと立ち上がろうもんなら、足元がおぼつかなくてふらついてしまい机の脚に、すねをぶつけたりする感じのクスリである。

養護施設でベンゾジアゼピン系の抗不安薬を子ども達に与えていた目的も、親と離れるにあたりトラウマを抱えている児童を鎮静させたり、問題児が興奮して暴れるのを事前に防ぐのが目的である。

なので、作中のように試合前に飲んだら、頭がぼーっとしてしまって試合にならないだろうし、寝る前も30分くらいで意識が飛ぶので、厳密にはああいう感じにはならないだろうな、という感想である。

ただ、作品の描きたかったメッセージは、主人公は薬以外にも、酒や、チェスでの勝利そのものに依存して、向き合うべき自分と向き合っていないというところなので、薬の効能の描写はフィクションなのだろう。

この作品は原作が小説で、その原作者の経験からこの作品は生まれたということなので、薬の存在をポジティブに描こうとは思っていないだろうし、その代償も作中できちんと描かれている。ただ、ちょっとクールだなとティーンの目に写ってしまうのは少し怖いところだ。

ここまでが、作品の中の作品の描かれ方とそれに対する感想である。
下記から、実際の薬剤の効き方と中毒症状について記述していく。

実際の所、依存性はある。私は、この薬がなければ今眠ることはできない。風邪薬や目薬のように、困ったところだけ取り除いて終わり!というシンプルなものではない。

ただ、眠れなくて苦しんでいる人に、周りからの視線や偏見などで「睡眠薬を飲まない方がいい」とは医者じゃない人は言うべきではないとも考えている(医者もきちんと選ばなければ、機械的に薬を出してくるだけの人もいるので、注意が必要だが)。

心療内科は行ってみれば案外普通の耳鼻科みたいなものだし、睡眠障害も、負担をかけすぎると肝臓がわるくなったり胃腸が悪くなったりするのと同じで、脳みその伝達物質がうまく出なくなるという科学的な病気だ。

「そんなのクスリ漬けになって、何もよくならないで終わるだけだ」という言葉は私も投げつけられて傷ついてきたが、眠れなくて日中ずっと吐き気や頭痛や眩暈を我慢し続けるよりよっぽど人間らしい生活が送れる。

もちろん、根本にあるストレス原因やトラウマに向き合ったり、カウンセリングをしたり、自己分析をしたり、認知行動療法をしたり、心の不調を治すにはすごく本人の努力が必要だ。

でも、既に眠れなかったり死にたくなってしまっている人は、治るための努力をするだけの体力が余裕がもうすでになくなってしまっている。

だから、一時的に薬で症状を抑えて、時間をかけて自分の問題にしっかりむきあってひとつひとつほぐして、その最終段階で少しずつ薬の量を減らしていくことは不可能ではない。

薬だけで治ると思ってしまい、そこで行動がとまってしまったり、薬を飲みながら仕事を続けなければならない状況があり追い詰められ続けてしまうと、とてもつらい結果になってしまうかもしれないが、必要以上に不安に思うものでもないのだ。

この作品の主人公は、大人に無理やり飲まされたのが服用のきっかけであって、何か問題があって服用を始めたわけではないので、実際の服用者と断薬のプロセスが異なるだろう。

最後に、読んでくださった方に伝えたいこととしては以下の通りだ。
精神薬・睡眠薬を必要としている人はリスクがあるものの、不必要に怖がる必要はない。それのおかげで、普通の人に近い生活に戻れるきっかけになるかもしれない。
薬を必要としている人の周りにいる人は、ぜひその薬のリスクを一緒に調べたり、その人の問題を一緒に考えてあげて欲しい「クスリ漬け」と無知なままで相手を傷つけて、回復のチャンスをなくすことがないように私は願っている。

『クイーンズ・ギャンビット』では、最終的に薬やお酒を断つプロセスも描写されている。フィクションだからそんな都合よくいかないかもしれないが、それでも、その中毒をたつヒントは十分に描かれているように思えた。

くるくると変わる主人公のファッションや、スリリングな試合の様子など、見どころは他にも尽きない作品なので、ぜひ一度視聴してみてはいかがでしょうか。

そんな感じで、今回は終わります。
毎日睡眠薬を摂取していても、このぐらいの文章は書けるんだよと最後にどや顔を残しておきます(ドヤァ

P.S.ニートになったのは、経営不振が原因で睡眠障害関係ないことを最後に残して・・・・・・。

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