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“超えた”MVメイキング

MVメイキングの話

今年の3月発売の‪『2020/Les Demoiselles d'Avignon(2020年/アヴィニョンの娘たち‬』
の中から「Ape to Ape」という曲のMV撮影を行った。
クラウドファンディング で参加したスタッフ11名
撮影スタッフ演者10名の総勢21人で都内のスタジオで撮影をした。
今日はその話。

人類の歴史と未来を描く「Ape to Ape」のMVを作る。このとてつもなく壮大な構想が始まったのは
去年の6月だった。自分がカメラマンの光岡兵庫に「人類の歴史を描く曲が、次のアルバムの中にあってそれを本気で作りたい。そのカメラマンをしてほしい。」と伝えたのが始まりだった。彼は二つ返事でOKをくれた。でも、ある条件があった。その条件は今回は伏せるが、いずれみんなビックリする条件であることが分かると思う。
実際にそこからは頭の中でできているイメージをどれだけ映像として形にするかの戦いが始まった。
頭の中で絵はできている。

縦2、4m横8mのポスターを前に人類の文明の繰り返しを描く。それを表現してこそ、表現者としてやっと私は「歴史の中で表現をして生きている。」と言える気がしていた。
アイデアはほぼ決まっていた。私は演出。監督は白磯大知だ。カメラマンは光岡兵庫だ。曲がまだできていない頃だったので、アイデア案は難航を極めた。
それでも根気強く、どうやって形にするかをグループライン→打ち合わせ→アイデアのシェア→ミーティングをして徐々に形にしていった。
良い役者が絶対にマストな今回のMVで初めに相談したのは、ききはなかだった。そして次におくなつき 、そして高橋里恩、UG、影山君、全員が一発OKだった。
高橋里恩以外、劇団子供巨人のメンバーで彼らの表現力の高さと化学反応で何倍にも輝くインディージバンドばりのポテンシャルに絶対的な信頼を寄せていた私は、彼ら役者として決まった段階ですでに、半端ないMVになることは確信していた。高橋里恩は前からの付き合いでよく日本の思想の話などをしていてグルーブの合うやつだった。

彼にMVの話をして、彼からOK出て、役者の5人が揃い、あとは演出としていかに彼らの良さが引き出せる演出をするのかを徹底的に考えていた。
今回衣装の数、大道具、小道具の数を追わせると100点は楽勝に超える。全部自分で発注して、家に置くと家の中が倉庫になって最終的にテレビも見えなくなり、足の踏み場もなくなり家の中に入ることもできなくなった。

そのくらい大変な作業だった。でも充実感しかなかった。これが映像の中であの役者たちに使われて輝いて行くのだと思うのと、嬉して眠れなくなった。実際眠れなくなって、ずっと作業をしていた。

2月10日にレコーディングがあり
2月11日にMVの撮影があった。

基本的にレコーディングの後一週間はOFFを作るのだが、今回はレコーディング終わりのナチュラルハイの状態でMV撮影に臨みたかったのでぶっ続けにした。
その方が良い作品ができることをどこかで確信していた。

MV撮影が始まりスタッフが10人もいてかなり現場のボルテージは熱くなってきていた。
撮影が始まり、撮った映像を光岡に見せてもらったときに。

超えた。

という一言が頭に浮かんだ、超えたのもは完全に自分の想像だった。
そして完全にイメージの共有ができていることがわかり、その後プレイバック(撮れた絵の確認)は一切しなかった。
もうものすごくえげつない作品ができていたのは分かっていたから自分の演技に没頭できた。

今回役者たちの衣装チェンジは全部で8回もあったのでかなり大変な現場だった、途中、備品が足りなくなってスタッフが買いに行ってくれたり、ととにかくやることがいっぱいで、大道具を組み立ててくれたりしたおかげでなんとかかなり膨大なカット数を撮りきることができた。本当に感謝しかない。みんな素直で、初めての現場で分からないことだらけのはずなのに、すごい頑張ってくれた。誰一人抜けてもダメだった現場だった。スタッフは都内から、茨城から、石川から、栃木から、京都から全国から集まってくれた。彼らのためにも絶対にいい作品に仕上げることはもちろんだし、彼らが楽しめる現場を提供できるように考えていた。その後打ち上げにみんなでいって、スタッフの方から「いい経験ができた」と言ってもらえて本当によかった。

現場の嫌なピリピリ緊張感を味わって欲しくなかったので、それをスタッフに聞いたところ「和気藹々」でしたよ。と言われてホッとした。

そして役者の5人の能力の高さに完全にど肝を抜かれた。
古代ギリシャ時代のシーンを撮る時に「男性は言論こそが最強の時代、女性はおしゃべり」を演じて下さい。と伝えた時に、5人が瞬間でその演技を始めた時に鳥肌がった。
女性二人(ききはなか、おくなつき )が自分のところに来て、「そーりくんこれどう?」と言って違う演出を急にはじめた時に、それが良すぎて、涙が飛び出そうだった。
なんじゃこその人ら!?天才か!?もう、その驚きでまた「超された」

撮影の絵の中に移る「微妙な配置」は虹郎や大知が事細かく指示してくれて、常に安心感があった。
演じているこちら側は、全体の絵が正面から見えないので、彼らの「脳みそもうちょっと右」とかの指示がないと全体のバランスが見えない。
その時に信頼関係が大切になるのだが、そこは完全に共有できていた。日々の何気ない服の話、日常の話、映画の感想などを言い合うなかでそのような互いの美的センスを熟知していた。やっぱりちょこちょこ会ってする何気ない会話は大切だ。とにかく大切だ。意味がある、あまりに大いな。

撮影は大大大大成功だった。
予想を700倍くらい超えた撮影だった。

撮影現場は7時間程度で終了して、打ち上げに行き。ずっと考えていた。
みんな楽しそうだ。
「なんでこんなことが起こっているのだろう」と。
私はこんなに人に頼り頼られる人間だったのか。と。
まるで夢のようで、なんだか覚めなければいいなーと思っていた。
なんでこんなことが起きているんだろう?
の答えはもっと考えて整理しないといけないし。それは自分の中で止めておくこと’だとも分かっている。

でもなんでもこんなことが起きているんだろう。
とにかく多くの人が協力してくれて、そしてあなたも自分を頼れるようになったんだね。

よかったねー!!総理ー!!とあいつに言われそう。

続きはまた明日!

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