見出し画像

世田谷は素敵さ 2

東京生活を思い出すと、
ひとり暮らしをいちばん楽しんでいたのは
2度目の引っ越しとなる
世田谷区梅ヶ丘での日々だ。

シリーズの記事はこちら↓

若林での暮らしを経験していたため、
次は2階以上の部屋にしたいと思っていた。

1階にチビ女ひとりで住むのは、
防犯面からよしたほうがいいとアドバイスされ、
自分でも2階の住人の足音が
気になっていた思い出もあり、
では日当たりの良い2階の角部屋がいいなと
またもや下北沢から近い範囲で探した。

以前の職場の先輩が、
祖師ヶ谷大蔵に住んでいて行ったことがあり、
小田急線がなんだか上品で
居心地が良かった記憶があったので
(先輩のイメージと重なるだけかもしれないが)
小田急線沿いで、自分に合いそうな街を
一駅ずつ下車して探索する日々を送った。

これがすこぶる楽しいのだ。

知らない街のよその雰囲気。
知っているひとがひとりもいない。
物語に入り込んだような異邦人感がたまらない。
部屋探しの醍醐味だと思う。


梅ヶ丘駅に降り立ったときのことは忘れない。
あ、ここがちょうどいいな、と即座に思った。

当時の梅ヶ丘駅周辺には、
小さなカルディや変わった造りの本屋、
ナチュラルローソンもあった。
こぢんまりしたスーパーと、パン屋さん。
全部がちょうど良かった。

何より、路地裏を散策した雰囲気が良い。
ノラネコが結構いて、
そこここでのんびり寝そべっていたり
丁寧に手入れされた花壇、綺麗な色の実のなる樹。
遊歩道が夕陽に照らされて、
ここを何度も散歩する自分が想像できる。
自分の町という感じで、しっくりくる。

それから何度も梅ヶ丘に降り立ち、
散策を重ねて不動産屋もいくつか訪ね
大家さんの自宅の敷地内に建つ、
小さなアパートの2階角部屋に決めた。

決して広くはないが、日当たり良く
北と南に窓があって明るくて、
何よりなぜか友人がよく訪ねてくる
風通しの良い家となった。


この部屋で暮らしているときは
南青山のデザイン事務所へ勤務していて、
そこで夫と出会った。
梅ヶ丘での暮らしは、恋の期間でもある。
下北沢でカレーを食べたり、
一緒にうちへ帰ってご飯を作り、食べる。
出会った初めから、
夫とはご飯を一緒に食べることが
自然で違和感がなく、
共に暮らすことが容易に想像できる人だな、
と思ったのを覚えている。
そしてさまざまな障壁があったにも関わらず、
やはり結婚に至った。


梅ヶ丘は、近くに羽根木公園があり
そこで毎年の今ごろ、せたがや梅まつりが催される。
気になって調べたら、
今年も本日2月11日(土)〜3月5日(日)
開催されるようだ。

会場に入ると、真ん中にメインの散策道があり、
他に細い小道が梅の樹の間近に入り組んでいるので
鼻先で可愛らしく芳しい梅たちを見ることができる。
それともうひとつの見どころが、
羽根木公園に棲みつくノラネコたちだ。
梅の樹の下や散策道を、我が物顔で往来し
それがまた梅の花とマッチしていてかわいい。

梅の花と猫がお好きな方は、
垂涎ものだ。
お近くの方はぜひ行ってみてほしい。


わたしは、桜よりも梅の花が好きだ。
桜は一気に咲いて華やかで、
綺麗だし気持ちが浮き立つが
また一気に散り、道路の端に茶色く跡を残す。
そこがあまり好きになれない。

一方梅は、桜よりもだいぶ早くに
まだ寒いのに健気に咲き、
樹も花も小さく紅く、白く、可憐だ。
香りも良い。
散る時も少しずつ花びらを落として
足元を汚さない。
そこが好きなところだ。

自分も、梅の樹のような女性になりたい。

この記事が参加している募集

この街がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?