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作品について

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小説家・木爾チレンの、新刊情報や掲載情報ほか、お仕事のお知らせです。
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新刊と新婚の話――あるいは才能と嫉妬の話

先週、最新作となる『神に愛されていた』が発売になった。 今作は珍しく「あとがき」があるので、この小説を書いたときの思いは、ぜひ本編とともにそちらで読んで頂きたいのですが、本を刊行したときくらいしかnoteを更新しなくなってしまったので、近況をあわせて、今の気持ちを書き連ねていこうと思う。 まず、新刊『神に愛されていた』について。 この作品のテーマを一言で表すのなら、「才能と嫉妬」そして「究極の愛」になるだろう。 最初に言っておくと、実はこの小説は、天才音楽家モーツァルトとサ

みんな誰かを殺したいほど羨ましい

この小説を書くために、私は黒歴史を過ごしたのかもしれない。 暗闇から見つめる光はあまりにも眩しくて、羨ましくて、憎くて、そして、美しかった。 ミステリ小説『みんな蛍を殺したかった』が発売されて、一週間が過ぎました。 これは、多岐に渡るジャンルで少女を描いてきたからこその、私の集大成だと思う。 でもこの作品は「イヤミス(嫌な気持ちになるミステリ小説)を書いてみませんか」というオーダーがあったので、決して性格のいい作品ではない。 前作の「これは花子による花子の為の花物語」を読ん

受賞|この梅酒が漬かる頃には

お知らせです。集英社コバルト編集部さん主催の『青木祐子の がんばるorがんばらない女性小説賞』大賞を受賞しました。 短編「この梅酒が漬かる頃には」 ↑のURLから無料で読めます。 あらすじを、ざっくり一言でまとめると、 自身の過ちによって婚約破棄された女性が、祖母の住む島で、梅酒作りを通して自分を見つめなおす。 という、ストーリーがあるようでないようなお話なのですが、 舞台になっている島のにおいだったり、祖母と過ごす時間だったり、初恋の人との再会だったり、物語にながれる