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無料バスで白峰をめぐる絶景日帰り旅

みなさんこんにちは。きょうはプチ旅行記です。

突然ですがみなさんは、金沢の市街地から南に約50km、車で約1時間半から2時間ほどの場所にある、石川県白山(はくさん)市の「白峰(しらみね)」をご存知でしょうか?

南側で福井県勝山市との県境と接している白山市白峰は、平成17年1月までは石川郡白峰村という独立した自治体でした(閉村時点での人口は1,128人)が、平成17年2月1日に「白山市」として、周囲の市町村とともに合併されています。

(白山市:松任市+石川郡美川町+石川郡鶴来町+石川郡河内村+石川郡吉野谷村+石川郡鳥越村+石川郡尾口村+石川郡白峰村)

白峰の周囲には大きな集落がなく、地理的・歴史的に孤立した村だったため、現在まで白峰独自の文化が色濃く残っています。
白峰弁(じげべん)という方言は特に有名です。

今回は旅行記として、令和3年から令和4年1月末まで期間限定で運行されていた、白山ろく地域の無料バスツアー「白山ろくシャトル」(株式会社ホワイトリングバスが運行)に乗車した際の写真をご紹介します。
少し余韻に浸りながら書きますので長くなりますが、しばしおつきあいください...

午前9時半 金沢駅西口集合→バスで鶴来方面へ

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まずJR金沢駅でバスに乗り込んだあと最初に向かったのは、白山市(旧鶴来町)のしらやまさんでした。しらやまさんというのは地元での愛称で、正式には白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)という名前がついています。

白山比咩神社は、全国に約2,000社あるといわれる白山神社(はくさんじんじゃ)の総本山として知られ、加賀国の一の宮としても非常に名高い神社です。まずはしらやまさんで初詣。

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お参りを済ませ、おみくじを引きます。

おみくじはガラガラするタイプかと思いきや、不必要な接触を防止するためでしょうか?(100円を納めたあと)大量にばらまかれているおみくじの海を眺め、これだ!と思うものをひとつ取る方式でした。結果は末吉。

自分用のお守りを購入しバスに戻ります。

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↑お守りを購入する授与所。1月9日でしたが、駐車場はかなりの盛況ぶりでした。ふだんからしらやまさんには多くの人が参拝に訪れています。(お顔で個人が特定できないよう、画像処理をしています)

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そして河内・吉野谷などの集落を通り過ぎ、手取ダムのあたりを走ります。

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白山比咩神社から約55分で白峰の中心地に到着。特産物販売所「菜さい」の前で降車となりました(本来の下車地とは違うようですが、積雪により本来の場所では停車できないとのことで...)。

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はじめての白峰。

白峰という地名自体は、金沢でごくまれに遭遇する「白峰」と行先表示に大きく書かれたバスによって知ってはいたものの、どのようなところかはまったく知らなかったわけですが、第一印象として、山あいの集落とは思えないにぎわいだなあという感じでした。

白峰というと豪雪地帯で、平年の積雪量が2メートルを超えるような日があるとのことでしたが、訪問時はまだ1月で、積雪量が(ピークと比べると)それほど多くなかったようでした。
石川県の観測データでは89cmでした。

まずは中心街から北方向(鶴来方向)に向かって5分ほど歩いてみます。
(白峰観光協会「アクセス」 http://shiramine.info/access.html こちらのリンクに白峰の観光マップがあるので参考まで。「白峰温泉総湯」の少し下にある「菜さい」さんから街歩きしています。)

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白峰の中心地の交差点に面しているのは、名物「とち餅」の有名店「志んさ本舗」さん

山あいの集落では田んぼの面積がそれほど取れず、コメが貴重なため、木の実を混ぜた食べ物が広まり、いまでも特産品として根づいているのだとか。

志んさ本舗の道を挟んで左側、「うどんそば」の文字があるのは「みのすけ」さんというおそば屋さんです。

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おっとなんだこれは!
私の通う大学のセミナーハウスがあるとは...

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すでにお気づきの方がいらっしゃるかもしれませんが、古そうな見た目の建物が多いです。白峰の中心街は「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されています。

正直なところ、古い建物が見たいだけであれば、金沢でも、四高記念館や金沢文芸館・ひがし茶屋街など、いくらでもあるわけです。バスで金沢駅からたった200円、10分そこそこで到着できます。

しかしそれでも、わざわざ50kmも離れた白峰に行ってみたいという思いがかき立てられるのは、やはり物理的にほかの都市と隔絶されているという点に魅力を感じたからです。見世物として存在しているというよりは、そこに存在することの必然性を感じる、とでもいいましょうかね。

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と力説しておいてなんですが、新しめ(?)の建物がありました。

「しらみねショッピングストアー コヨモ」

営業しているのでしょうか...?そういえばスーパーのようなものが白峰にはありませんし、食料品・日用品の調達場所がないと、買い物のたびに何十キロもクルマを走らせるのは現実的ではないような?

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ちなみにこの「コヨモ」の横に立っているバス停は、北鉄白山バスのバス停です。白山線と白峰線の2路線が白峰まで乗り入れていて、「白峰北口」バス停とその次の「白峰」バス停(このあと写真が出てきます)のあいだが白峰の中心街という感じになっています。

金沢市街地・JR松任駅からのバス運賃は約1,300円と、(リクライニングもしない普通の路線バスに1回乗るときに支払う運賃としては)べらぼうに高いですが、距離が50km以上あるので必然的にそれくらいの金額になります。ここまでひたすら運転してもらうわけですし、2~3kmほどで200円支払うのとはわけが違って、むしろ安いかもしれません。

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さてお次は茶色の建物。非常に白山市鶴来支所(旧 鶴来町役場)に似ているなーと思いましたが、予想どおり役所でした。

こちらは白山市の白峰市民サービスセンターで、旧 白峰村役場です。まわりの建物に配慮してか、役所によくある白やシルバーではなく茶色の外壁が特徴的ですねー

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こちらは石川森林管理署の白峰森林事務所。

そろそろ集落を通りすぎたので戻ります。

「白峰観光協会 アクセス」( http://shiramine.info/access.html )(再掲)こちらのリンクにある観光マップでいうと、中央やや左下、桃色に塗られている重要伝統的建造物群保存地区の端(白峰交差点の近く)まで来ています。

さて、先ほどの志んさ本舗のところを抜けて、中心街の反対側(奥のほう)(観光マップでみると右のほう)へ行ってみます。

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こちらにもバス停が。「白峰北口」の次の「白峰」バス停。数年前までローマ字表記のあるバス停だったらしいですが、現在はローマ字のないものに更新されており、集落を代表するバス停として独特の風格を漂わせています。

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白峰のバス停を過ぎると少し上り坂に。この場所は白峰の風景の象徴として、ここから撮った写真は、さまざまなポスターやパンフレットなどに使用されています。

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5分ほど歩くと建物が急に途切れ、林が見えてきますが、集落の終端にもうひとつバス停があります。

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バス停の名前は「白峰車庫」。営業所のような運行管理業務は行っていませんが、バスの折返し・乗務員の宿泊場所として使われています。夏の白山登山バスのシーズンには、急行バスの休憩場所として使われています。

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金沢駅・北鉄鶴来駅・JR松任駅まで向かうバスが運行されていますが、金沢駅・松任駅へのバスは朝6時台の1本ずつ。公共交通を利用して、日帰りで白峰に行く場合は、14時台の鶴来駅ゆきを利用して帰ることになります(これが白峰から帰る最終バス)

さらに歩いて5分ほど進み、短いトンネルをくぐると「白山まるごと体験村」の入口が見えてきます。

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ここで脇道にそれてみます。

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ここには天望の湯という温泉がかつてありました(上の写真の左側)が、現在は閉館してしまっており、中に入ることはできません。そしてここが、白峰まで来る北鉄白山バスの終点「白山体験村」です。

朝に金沢駅でも見かける「白山体験村」ゆきのバスはここまで来ている、というわけですね!

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ここはあまり立ち寄る場所がないので、すぐに白峰の中心地に戻ります。

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奥にハシゴが見えます。雪下ろしをするときに使うのでしょうか?

白峰車庫を逆側から見てみます。正面が乗務員詰所で右が車庫です。

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同じ道でも行きと帰りでは景色が違うので面白いですね笑

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まちの建物ひとつひとつに風情があってすてき

しかもそれが、観光地の一角に残した場所ではなく、実際にほかの都市から隔絶されたまちというのがそそられます!

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白峰にある金融機関は、ゆうちょ銀行とはくさん信用金庫の2つです。ゆうちょ銀行はATMのみの設置ですが、まさか石川県内で大量の店舗を抱える北國銀行すら支店がないとは驚きです...

最近ゆうちょ銀行は手数料が改定されましたし、白峰を訪れる際は現金を少し多めに持っておくと便利です。(バスで行く場合は、往復するだけで2,500円~3,000円近く現金が必要になります)

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そして白峰の「菜さい」の前にある白峰温泉総湯に戻ってきました。

バスツアーとして参加していたので滞在時間が決められており、ゆっくり散策しすぎて温泉にゆっくり浸かる時間がなく、今回は断念... おみやげを買って帰ります。

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先ほどの志んさ本舗でとち餅を購入。

1個150円で、私は5個入り(750円)を買いました(特にあげる人がいるわけではないので2個入り(300円)で十分でしたが、品切れで5個入りしかないとのことで...)。おばあさんの店員さんが対応してくださいましたが、こんな遠いところまでわざわざありがとうございます!と言っていただけました。ありがとうございます。

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白峰温泉総湯を少し遠目から。建物自体もすごく味のある雰囲気です。

たまに地元の方がタオルと自分の風呂桶を手にもって、(1月とは思えない)半袖+サンダル姿で総湯に入っていくのが見えました。

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総湯から白峰のメインストリートへ向かってもう少しだけ散歩。

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集落で唯一の家電販売店、白峰電機がありました。北陸電力送配電のサービス取次店の看板も。重要な役割を果たしているらしいことがわかります

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この日の白峰、積雪は昼で89cmとのことでしたが、よく除雪されており、走ると危ないですが普通に歩くぶんには問題なかったように思います。

ですが、あくまで夏と同じというわけではなく、一部はスケートリンクのようにつるつるになっていましたので、積雪時のクルマの運転は要注意といったところでしょうか。当たり前ですが。

また、除雪されたあとの雪が高く積みあがっています。日中でも除雪車があちこち走り回っていたので、(集落内は道幅が狭いこともあるので)徐行で通り抜けるのがよさそうです。

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白峰特産品販売施設「菜さい」に戻ってきました。おみやげ・お食事はこの1か所で片づきます。

ここまでで1時間55分ほど。白峰での自由時間は2時間でしたので、ちょうど時間切れとなりました。

さて白峰をあとにして、金沢方面へ帰ります。

約40分ほど走って、白山市一里野にある一里野温泉スキー場に立ち寄り。お客さんの乗降のための停車のため、白峰から金沢方面へ帰る人は降りられませんが、白峰よりも積雪が多い(当時は積雪1m13cm)一里野の様子を車窓観光できました。

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一里野へは、防護工で守られた道路がしばらく続きます

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車窓より、白山一里野温泉スキー場を眺めました。この少しあとになって、例の感染症の第6波が来ることになりますが、このころは感染者数が落ち着いており、多くのスキーヤーでにぎわっていました。

金沢市街地・鶴来からは、白山セイモアスキー場・白山一里野温泉スキー場へ向かう急行バスが運行されています。

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一里野温泉スキー場の駐車場にある雪の山も、これまで一度も見たことのない高さになっていました。2mどころか3m近かったでしょうか。(そもそも私は、積雪自体今年の冬が人生初だったわけですが。)

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一里野から約20分、白山市瀬戸の道の駅「瀬女」に到着。

「瀬女」、なんて読むのかと思ったら「せな」だそうで、意外と難読かも?などと思いながら約15分の休憩です。このとき気温は0度近かったですが、なぜかカフェ「山猫堂」でソフトクリームを...

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もちろんかわいい猫のイラストに惹かれたわけですが、そばの実をかけるおしゃれなソフトクリームを味わいました(カフェ以外の食事メニューも楽しめます)

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中宮(なかみや ではなく ちゅうぐう)温泉・白山白川郷ホワイトロードは冬季クローズのため、今回は立ち寄ることが叶いませんでした。

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日中は鶴来駅からここ瀬女までの路線バスが一定数走っています。スキーシーズン限定運行の、一里野温泉スキー場ゆきの急行バスに、瀬女から乗車することも可能です。

というわけで道の駅瀬女からはどこにも止まらず、夕方4時すぎに金沢駅西口に到着、解散となりました。

私にとっては、鶴来のしらやまさんから奥へは行ったことがなかったため、非常に興味深い滞在となりました。白峰は、出発地の金沢から非常に遠い場所にあるため、日帰りで行くと滞在時間をあまり長く確保できないことが残念です。

ただ、何度か足を運ぶことで、少しずつ白峰の味わい深さを体感できるようになるのだろうという認識もできました。

訪れる前は、なにもない田舎まで、金沢から朝と夕方にバスがあるというのはもはや異常なことではないか?などと思ったりしましたが、いざ行ってみると、ほかと隔絶された地だからこそのまちの雰囲気が心地よく感じられたものです。

いまも金沢にいると、朝9時半ごろに「白山体験村ゆき」、夕方5時半ごろに「白峰車庫ゆき」のバスを見かけますし、偶然白峰へ向かうバスに乗ることもあります(金沢市街地を走っているあいだに降りてしまいますが)。

そのたびに「白峰」の2文字が、北陸とはまったく関係のないまちで生まれ育った私にも、なぜか懐かしさを感じさせてくれます。それはなぜ?少し前に、しかもたった2時間、まちを散策しただけなのに?

と思って編集画面の文字数を見てびっくり。5,000字を超えてたらしい!

すっかり白峰のとりこになった私でした。おしまい。

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北鉄白山バスの行先表示。「白 峰」の文字が旅情を誘う

香林坊・片町という市街地と横並びで出てくる文字列としては異様