心拍数と酸素欠乏の筋肉
心拍数を知る
当社がサポートしているプロサッカー選手たちに光学式心拍計GARMINの装着を推奨しているのは日頃から心拍数を捕捉し共有することで体調の変化やパフォーマンス変動をモニターできるからに他なりません。心拍数は1分間での心臓の鼓動数ですが、これは酸素や栄養素を血液に乗せて体中に巡らせる能力を示しています。単位はbpm(beat per minutes)で表されます。(*体内には地球の赤道周回3周分にあたる約12万kmにも及ぶ毛細血管網があり、その隅々まで心臓のポンプが血を押し出すというのは少し無理があるように思うのですが、ここでは心臓が脈を打つ回数が心拍数という定義に基づいて考察します。)
心拍数がカロリー計算のベースになっているのは周知ですが、血液が体内を巡る回数がATP産生を促すエネルギー代謝の活動量と相関するので、心拍数がその人の体力そのものと判断して差し支えないでしょう。安静時心拍数が高い人は生命維持のためにより多くのATP産生を必要としているので、食事や酸素をより多く必要とします。自分の心拍数が標準より高いのか低いのか、健康なのか不健康なのかを意識している人は少ないようです。
私もそうした人たちの一人でしたが、今は生涯を懸けて「血」の研究に没頭しているので心拍数は私にとって切っても切れない事象になりました。朝起きて真っ先に確認するのがその日の安静時心拍数なのですが、起きた時の体感と安静時心拍数はほぼ相関すると言って良いでしょう。現在の基準は39〜41bpmです。起きた時に疲労感や不快感がなければこの範囲に収まっています。現役のプロサッカー選手たちの中でも、自分自身の體と向き合い始めた選手は心拍数が氣になるようになります。今日の体調はどうか?最近の調子を客観的に判断するとどうなのか?そもそも自分がどこまでやれるのか?今日の試合で存分に躍動できるのか?、
心拍レベル
心拍レベルを設定したトレーニングが標準的になった現代のスポーツ科学ですが、自分自身の現在地を認識しているプロサッカー選手はどれくらいいるでしょうか。先月、53歳(体組成計の体内年齢は27歳と出る)になったばかりの私の心拍レベルの現在地はこのようになっています。
⬇️安静時心拍数:39bpm(4年でスポーツ心臓へ強化)
⬇️中強度有酸素運動:120bpm(最大心拍数×70%)
⬇️高強度有酸素運動:152bpm(10km走の自己ベストの耐久)
⬇️HIIT:154bpm(高強度イターバルトレーニング時の耐久、最大心拍数×90%)
⬇️乳酸閾値:157bpm(乳酸濃度が急上昇する値)
⬇️トレイルランニング中の最大心拍数:163bpm(最大心拍数×95%)
⬇️サッカーの試合中の最大心拍数:170bpm(最大心拍数×99%、ほぼMax)
⬇️最大心拍数理論値:171bpm(公式は208-0.7×年齢)
49歳から戦略的にランニングを取り入れてからの走行距離は8,000kmになりました。研究で走っているのでレースに出場したことはないのですが確実に走力が高くなってきた実感があります。心拍数に着眼したのは走り始めてすぐにマフェトン理論に取り組んだからですが、そのおかげで4年間の心拍数の変化がデータで残っています。ランニングを始めた頃の安静時心拍数は53bpmだったので現在の39bpmは30%弱改善されたことになります。(*私は病態の徐脈ではないので心拍数の低下は省エネルギー体質への改善と捉えています)
一般的に健康な人の安静時心拍数は60bpmが基準と考えれば良いですが、運動を職業にしている持久系アスリートは40bpm以下を目指してトレーニングを積んでいきたいと考えています。ただ、心拍数はトレーニング強度だけで改善できるものではなく、"一息四脈"と言われる通り呼吸と密接に関わっています。胸郭の開き(胸椎の動き)や丹田の動き(腸腰筋の硬さ)が呼吸の深さに影響するからです。つまり、呼吸法とトレーニングで心拍数は確実に下がっていきます。呼吸法は別の記事で触れているので割愛しますが、本題の酸素欠乏、いわゆる酸欠による悪影響をみていきます。
上記の運動強度における心拍数レベルを参照してください。中強度の有酸素運動がホメオスタシス(恒常性維持)を正常に機能させ、高強度の有酸素運動がアロスタシス(動的適応能)を実現します。アロスタシスとは激しい運動が骨や筋肉を強化し、筋肉細胞中のミトコンドリアをも強化することです。こうした有酸素運動はその名の通り酸素を取り込んだエネルギー代謝なので苦しさはあるものの體の調子を整える効果があります。
しかし、ある一定の心拍数を超えると無酸素運動へと移行します。それが乳酸閾値なのですが、これは高強度運動で溜まった乳酸濃度が急激に高まる心拍数のことです。筋肉で蓄積された乳酸は肝臓を経る嫌気性代謝のコリ回路でグルコース(ブドウ糖)へ戻されます。嫌気性とはその名が示す通り無酸素で行われるエネルギー代謝のことです。ランニングで乳酸が蓄積されるとこれ以上動くことができないほどの激痛が脚全体を駆け巡ります。これは乳酸によって體が酸性に傾くと生命活動に支障が出てしまうので防御反応が起きたと捉えればわかりやすいでしょう。
GARMINでの私の乳酸閾値は157bpmというデータが出ています。神経が麻痺しているような状態がこの閾値を超えての爆発的なエネルギーを産みます。過酷なトレイルランニングでは厳しい急登坂で乳酸閾値を超えていたというデータを後で確認することができますが、走っているまさにその時は気づいていないのです(笑)有酸素運動は、人類が進化の過程で手に入れたであろう内因性分泌物が大量に放出されて神経を錯覚させます。 ドーパミン、セロトニン、エンドルフィン(オピオイド)、エンドカンナビノイドによって 氣分が高揚し、集中力が高まり、心が落ち着き、痛みも和らぎ、幸福感に包まれます。だから、體がきつい状態に陥っても"ハイ状態"になっていれば制御よりも継続が優先されることがあるのです。
そして、サッカーの試合においてはトレイルランニング以上の強度で走り、最大心拍数(理論値)に極めて近い数値でプレーしている時間帯があります。「逃走と闘争」の本能がカテコールアミンを大量に放出します。副腎で分泌される神経伝達物質のアドレナリン、ノルアドレナリンが痛みや苦しさを麻痺させて制御を解放します。ランニングにはないディフェンス時の他者の動きに対応した強弱選択の余地がない、なかば強制的に動き続けるサッカーでは、乳酸閾値を遥かに超えた最大心拍数限界点でプレーしていることが多いのです。特に、休む間もなくスプリントしながらの上下動やスライドの繰り返し、そしてイーブンボールの奪い合いでの最大出力プレーの連続は、心拍数を最大値へ近づけ無酸素状態に陥らせます。
無酸素状態の筋肉
無酸素状態が頻繁に起きれば、脳の活性が落ちて思考が散漫になりプレー精度が極端に低下する選手がいます。汗の量が増えて、加減速のスピードが落ちます。ピッチサイドで見ている側からはそろそろ交代のサインかなと言ったところですが、我々はこうした選手の筋肉に注目します。無酸素で乳酸が蓄積した筋肉はどうなるだろうか?ただでさえ、筋拘縮が蓄積して硬く縮こまり血流が滞りがちな筋肉が無酸素に陥れば、酸素欠乏によりエネルギー代謝が急速に悪化します。ATP産生が落ちれば筋肉が伸縮する力を失いさらに硬く縮こまるという悪循環のループに嵌ります。この時に何が起きているのか?筋膜と筋膜は癒着し、筋肉は付着部以外も骨にこびり付きます。血流を失った不活性の筋肉は酸素と栄養素の供給が絶たれ、老廃物塗れの劣化した組織でしかなくなるのです。
このように質が悪化した筋肉をチューニングスペシャリスト(アスリート専門セラピスト)が触診した時の感触は以下です。
・筋膜が癒着し筋肉同士がベタッと張り付いている。
・起始停止以外の場所も骨にこびり付きねっとりしている。
・カラカラに乾いた棒のようにカチカチで全く弾力がない。
・ブヨっとした伸びきったゴムのようで浮腫みがひどい。
筋拘縮がさらに亢進したこうした筋肉は自然に再活性化することはほとんど不可能だと考えています。蛇足ですが、巷に溢れる関節可動域を改善するエクソサイズやワークアウトで質の悪化した筋肉が再活性化することはないのは言わずもがななのです。我々の筋肉チューニングでは一つ一つ悪化した部位に手技でアプローチをかけて再活性化させていきます。労力と忍耐力に加え卓越した技術力を必要とする地道な作業になります。だから、私はいつも口を酸っぱくするほど栄養、栄養と話しているのです。添加物塗れの加工食品、精製糖質過多、人工甘味料をはじめとする甘味過多の食事をしている選手の筋肉は、熟練度の高いチューニングスペシャリストがアプローチしても変化が出しにくく、ただでさえ地道な作業をさらに難しいものにしているのです。栄養については賛否あるでしょうが、もはやこれは我々にとって厳然たる事実なので早めに栄養改善に取り組んだ選手は選手寿命が伸びるのは間違いないでしょう。
経験則から、ほとんどのプロクラブでコンディショニングはこの筋拘縮を放置している状態なので、表層筋にはそれなりに弾力がある選手でも深層筋はなかなか手強い状態だろうことが推察されます。これで毎週のように強度の高い極限のプレーをしていれば筋肉系の怪我が頻発するのは当然でしょうし、運が悪ければ靭帯損傷、アキレス腱断裂、前十字靭帯断裂、急性椎間板ヘルニア、半月板損傷、足関節捻挫の常態化で骨棘骨片に侵されるなどの重症診断を受けることになるのです。
血液の質
最後に触れておきたいのが血液の質です。運動強度や生活習慣で血流を促す以外にも、血液自体の質の改善が心拍数の変動に影響を及ぼすのは間違いないでしょう。赤血球の中に存在するタンパク質であるヘモグロビンは酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っています。赤血球の代謝が滞ると古くなった赤血球が増えてしまいヘモグロビンの酸素運搬能力も衰える。そこで定期摂取を推奨しているのが「有機ゲルマニウム」です。体内に滞っていた古い赤血球を48時間で排泄して、新しい赤血球を新生させてくれる優れものです。
有機ゲルマニウムによる赤血球の再活性化力に着目し、オーバードース(過剰摂取による副作用)の心配がない有機ゲルマニウムの特性を活かし高容量摂取を継続すると、有酸素運動の強化で下がった安静時心拍数がさらに一段階下がることがわかりました。(*注:個人差がありますが、健康なアスリートは概ね同様の傾向が現れます)つまり、赤血球が運搬できる酸素量が増えたということの証左になると考えられるのですが、これによってゲームでのパフォーマンスに好影響が出るのみならず、ゲーム後の疲労回復力が高まり超回復を実感する選手が続出しています。
私は山を30kmほど走るトレイルランニングの2日前に1本摂取し、当日も1本摂取しながら走るようにしています。超回復は翌日の安静時心拍数に現れるのですが、それはこれまで高強度の運動をした翌日は回復のために酸素供給を増やすために15%ほど上がる安静時心拍数が、ほぼ上がらなくなったのです。だるさなどの体感疲労が翌日に残らないのは10代のころの感覚です。(*軽い炎症が起きているであろう筋疲労は多少残ります)
宣伝になってしまいますが、私が残り半生を懸けて世に広めていきたい有機ゲルマニウム(アサイゲルマニウム)を1000mgと高容量含有している『Growith 有機ゲルマニウムウォーター 500ml』をゲームの2日前に1本、ゲーム後から翌日にかけて1本を摂取してみてください。長いシーズンを怪我なく高パフォーマンスで乗り切るための秘密兵器として選手みんなのお役に立てると確信しています。