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目の輝きが蘇ったJリーガーの話

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『Mountain Trail Running ー山が教えてくれたことー』シリーズのスピンオフ短編です。サガン鳥栖44番、堀米勇輝選手の再生物語。たった4ヶ月の出来事が走馬灯のよ… もっと読む
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目の輝きが蘇ったJリーガーの話

第1話 サッカー楽しみますアマチュアながら40年間続けたサッカーをやめて3年が経つ。当時は週2回はジムで自主トレーニングし、毎週末は公式戦のために80km離れた千葉まで車を飛ばしてボールを追いかけていた。今は…、欧州のビッグマッチがある日は深夜も寝ずにテレビ観戦して戦術分析をしていた当時の自分からは想像できない生活をしている。ボールを蹴らずにひたすら走る。ワラーチを履いて山の中を30km駆け巡る。雪山の急登坂を黙々と登る。大自然に溶け込むようになってから、これでもかと言うほど

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第2話 静かなる覚醒彼はすでに怪我をしているのでリハビリ組の選手だから、これ以上の怪我の心配がない。これが地方在住のために施術現場に来れなくても、まずはリモートで彼のサポートをスタートする事に決めた理由だった。チューニングスペシャリストが選手と顔を合わせないリモートでの指示でどれだけやれるかで、その選手のコミット度合いが確認できる。そして、そのコミット度合いは何より動きの早さでわかるものだ。 私の信条は、 「とにかく動く」 会社でも、Twitterでも、『覚悟の人體セミ

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第3話 見習いと同じ釜の飯を食う初回の筋肉チューニングの後しばらくの間、彼の調子は上がらなかった。それもそのはずで、チューニングスペシャリスト2人による180分間の筋肉チューニングで體全体の筋肉が弛緩されて感覚がずれていたのだ。シーズンも終了間際で彼が再びピッチに立つ可能は極めて少ない事から決断したセッションはそれだけ効果絶大だったという事だ。もちろん、これは予想通りの展開だったので私は慌てる事もなく彼に状況を説明し、焦らずプレーをアジャストさせるよう伝えた。 ランニング能

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第4話 開幕スタメン年明けから一斉に始まる各クラブのシーズン開幕前の全体合宿。長いシーズンを乗り切る體をつくるためにかなりハードに追い込む傾向があるのだが、これがまったくの逆効果なので多くのクラブで筋肉系の怪我で離脱者が続出する。筋肉がロックしたように硬く縮こまる現象を認知していないスポーツ医療現場の弊害がこうしたトレーニング負荷にも影響を及ぼしているのだ。普通に考えれば、怪我で離脱者が続出するようなトレーニング負荷をかければ、ギリギリで生き残ることができた選手でさえも怪我の