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ちょっと変わった家庭教師のはなし。

僕には家庭教師がいた。
先生の名前はあさこ。ちょっと変わっていた。

自分のバンドを持ちボーカルをしながら、口コミだけで英語の家庭教師を個人で請け負っていた。
日本人離れした明るさとテンション。
初めて会った時「この人絶対日本人じゃない」と思った。

小学5年から幼馴染3人で、グループレッスンが始まった。

教科書はなぜかディズニーの本を使っていた。
子供が興味を持つかららしい。
自分たちで英語の曲を作曲して、CDを作ったりした。
とにかく枠にとらわれない指導法で、僕らは英語の楽しさに引き込まれた。

授業のたびにあさこは洋楽を1曲紹介してくれた。
歌いながら、歌詞の意味、背景を説明してくれる。おかげで僕は洋楽が大好きになった。

小6になるとみんな英検4級(中学レベル)に合格した。楽しんでいただけで、英語力もしっかりついていた。あさこは教え方がうまかった。

ハロウィンで仮装パーティーした時(たぶん小6)

中学生になると、僕に変化が現れた。
遅めの反抗期だ。
親にぶつけられなかった反抗心を、僕はあさこにぶつけた。

「こんな授業意味ない」
「一人で勉強したほうがマシ」
あからさまに態度に示した。

それでもあさこは文句ひとつ言わず教えてくれた。
僕とあさこは性格が似ていた。だから「この人にはぶつけても大丈夫だ」と思ったのだろう。あんな生意気な生徒を、見捨てないでくれた先生に感謝しかない。

中学を卒業し、5年に及ぶレッスンは終了した。

「英語が得意」そう思えたから、学校でも受験でも自信を持てた。
「英語が楽しい」そう思えたから、大学で留学生の友達をたくさん作れた。

留学生の友達たち
海外に行ったとき、事業のプレゼンも英語でできた。


あさこは僕の人生の幅を広げてくれた。

今でも英語が好きだ。
困っている外国人を見かけるとすぐ話しかけてしまう。
あさこも学生時代は、「私はあなたを助けます」と看板を持って外国人を助けていたらしい。おせっかいは師匠譲りだ。

二十歳になってあさこの家に遊びに行った時

「英語は楽しいものなんだ」

僕らにそう教えてくれたあさこへの1番の恩返しは、どんな形であれ、英語を使い続けること。そして英語を通して、今までにない世界を経験したり、いろんな友達を増やして、人生を豊かにすることだと思う。

そしたらまたみんなで集まった時に、教えてあげるんだ。
「ねえ聞いて、あさこ。こんなことがあったよ」って。

あなたにも人生の幅を広げてくれた人がいるのではないか。

もし僕が先生になったら、あさこのように、生徒の人生の幅を広げてあげられる人になりたい。

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