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ホームスクーリングを選択するということ。

学校には通わずに、家庭を拠点に学ぶ「ホームスクーリング(英語: homeschooling)」をご存じでしょうか?世界中で、著名人やスポーツ選手などが、ホームスクールで育っていることもあり、選択肢の1つとして知られるようになってきました。ホームエデュケーション(英語: home education)とも言われており、オルタナティブ教育のひとつの形です。

我が家もホームスクール実践していますが、とっても素敵な手法の1つだと実感しています。その反面、難しいと感じている面もあります。

今回は、ホームスクーリングとは、いったいどういうものなのでしょうか。ホームスクールを選択するということについて、実体験交えてまとめてみました!


日本では認められてるのか?

残念ながらホームスクーリングは、認められていません。日本の場合、学校教育法にて就学義務を規定されています。日本では、学校でしか義務教育は受けられてないとされているということです。そのため、義務教育を家庭で行うことは、認められていない!ということになります。

ただ実情として不登校などの問題が大きくなり、自治体の責任の上でホームスクーリングを許容する動きが広がっています。子どもの意志で不登校になる場合、子どもの学ぶ権利を尊重する1つの動きとして、許容されはじめています。(許可や認可とは異なります。ご注意くださいね。)

ホームスクーリングが認められている国(合法)

下記の国では、ホームスクーリングが法律で認められています。

アメリカ(50の州すべてで合法)、カナダ、オーストラリア、フランス、スイス、デンマーク等、10か国ほどあります。

世界のホームスクーリングとは

ホームスクールが合法の国には、必ずルールや基準、仕組みが存在しています。ホームスクーリングが盛んなアメリカでは、州によって法律や仕組みなどが異なります。多くのところでは、ホームスクールを始める時に、親が届け出を行います。ホームスクーリングの計画や内容を住んでいる市の教育委員会に提出し、許可を受けてはじめてホームスクーリングが行えます。また、ホームスクーリングの計画が達成されているかどうか、これについても提出や報告義務があります。テストの結果等も提出する必要があり、義務教育の到達レベルなどと照らし合わせ、チェックされるようです。

ホームスクーリングの方法も、一時的なもの、短期的なもの、長期的なもの、学校との併用、部活動だけ参加など、色んな選択肢があります。

ホームスクーリング生のコミュニティーも各地域に用意され、ホームスクーリングでも同世代の子どもたちが繋がりを持ち、学びあうことができる環境が整えられています。

ホームスクーリングを選択する理由(諸外国の場合)

☑家が学校から遠いため(アメリカやオーストラリアの農村部等)
☑宗教的・思想的な理由
☑アレルギーの問題が深刻なため
☑宗教・思想・学習内容が合う教育機関が通学範囲にない
☑理解度が高く・学校の授業が簡単すぎる
☑学校の環境が安定せず、落ち着いて学習に取り組めない
☑障害や健康面等で、学校があわない
☑いじめなど学校における問題で、子どもが不登校になっている
☑いじめなどの問題を避けるため
☑ギフテッドのため、レベルのあう教育が受けられない
☑世界的に活躍するスポーツ活動や芸能活動を行っている
☑国の政策により教育を受ける権利が制限されている

このような理由が多いようです。


ホームスクーリングを選択する理由(日本の場合)

☑日本の学校の教育環境が合わない
☑宗教・思想・学習内容が合う教育機関が通学範囲にない
☑理解度が高く・学校の授業が簡単すぎる
☑学校の環境が安定せず、落ち着いて学習に取り組めない
☑障害や健康面等で、学校があわない
☑いじめなど学校における問題で、子どもが不登校になっている
☑いじめなどの問題を避けるため
☑ギフテッドのため、レベルのあう教育が受けられない
☑世界的に活躍するスポーツ活動や芸能活動を行っている

などが多いようです。

ホームスクーリングのメリット

【1】子どもに合わせてで学ぶことができる

クラスの理解度に合わせる必要がないため、自分のぺースで学びを進めることができます。

・時間割
・学習環境(タブレット、パソコン・・)
・手法(オンライン授業、シュタイナー、モンテッソーリ、イエナプラン、プロジェクト型・・)
・カリキュラムやレベル

これらすべてを、子どもに合わせて選び、進めていくことが可能です。

学年を超えて先取りで学習を進めることができたり、理解がゆっくりのものに関しては、わかるまで時間をかけて取り組むことができます。また、自分のレベルに合ったカリキュラム・教材・学習方法で学ぶことができます。効率よく、興味ある科目や内容に焦点を当ててより深く学ぶことができます。それらを、自分が取り組みやすい方法(オンライン学習や体を動かして学ぶなど)で取り組むことができます。

【2】リラックスして学ぶことができる

学校の教室であれば、座る場所・学習態度など決められていることが多いですが、家庭であれば好きな場所などで学習に取り組むことができます。また誰かと比べられることや、クラスメートが叱られている、クラスが落ち着かない・騒がしいなど、環境の問題に悩むことがありません。

人間関係においても、大勢に囲まれて、周囲に合わせて過ごす必要がありません。人間関係や、距離感を自分の自由に持つことが可能なので、人間関係のストレスが少ない状態で過ごすことができます。

休憩のタイミングも自由に取ることができるので、自分の体調やコンディションなどに合わせて、過ごせる安心感があります。自分がリラックスした状況の中で、自分の学びに集中することができます。

【3】自分の興味があることに、時間を使うことができる

ホームスクーリングは、時間の効率がとてもいいです。場所を移動する時間などは必要なく、自宅でほとんどのことが完結します。時間割があるわけではありませんので、自分が興味を持っているテーマや分野に、十分な時間を取ることができます。

図書館で半日調べ学習を行うこともできます。また美術館やコンサートなどに出かけて、1日体験学習のように過ごすことも可能です。興味があることに対して時間に縛られずに、学びの計画や一日の過ごし方を考えて、決めることができます。

また学習時間を短く効率的に終わらせて、1日の多くの時間を趣味や、課外活動などの芸術面やスポーツ部分に時間を取ることも可能です。興味があること、好きなことなどに十分な時間を使うことができます。

【4】セルフマネジメント力(自己管理能力)が育つ

時間割や学習内容など、自分の学びに責任をもち進めていくことになります。課題の内容、その他のやることなど、1日の中でどう過ごすかなどを自分なりに考えて計画を立てていきます。それが習慣となるため、時間管理、学習スケジュールの管理、調整など、自分で考えて、自分で工夫するなどの力が育ちます。自分の集中力、取り組める課題量なども、自分で把握し調整などを行う、調整力も育っていきます。

【5】自己決定力が育つ

ホームスクーリングでは、自分の学びは、自分のものという意識が強くなります。親がサポートするとはいえ、子どもは自分でやりたいことや、学ぶ方法を考えることになります。そのため、誰かに与えらえる機会よりも、「自分がどうしたいのか」「自分が何を選ぶのか」という自分で考える機会、自分で選ぶ機会というのが、必然的に多くなります。自分で決めることが多くなるため、自己決定力が育っていきます。

ホームスクーリングのデメリット

【1】親の影響力が大きい

ホームスクーリングでの先生は、親になることが多いです。学校であれば、先生に任せることができますが、ホームスクーリングの場合は、多くはほとんぼの場合、親が教えることになります。

価値観などが大きく影響する環境の中で学びが存在するということを、押さえておく必要があります。いくら子どもの自由意思で決めたとしても、子どもがたくさんのことを知っているわけでも、将来を想像できる範囲も限られています。親の価値観・方針が子どもに大きな影響を与えるとともに、親次第で、人生が大きく変わる可能性があります。

広い視野・第三者機関との繋がり・軸のある教育方法がなければ、子どもの将来を狭めてしまう可能性があるでしょう。

【2】視野・価値観が狭くなる

ホームスクーリングは、本人の興味を中心に展開される教育方法であることが多いです。興味を追及することはとても素敵なことですが、適切なサポートがなければ、どんどん世界が狭くなっていく可能性があります。子どもが自分の力で、視野を広げる、探究を広げるというのは、とても難しいです。

また、「興味があるもの」を見つけるということは、簡単なことではありません。学校であれば、様々な科目の授業を受けたり、課外学習や文化活動・クラブ活動などで、「いろんな体験」「新しいこと」に触れる機会が、半ば強制的に用意されています。それらをきっかけに自分の興味があることを見つけられることもあるでしょう。

そして、「自分で決める」「興味があるものを中心にする」力が強すぎると、「興味がなさそうなもの」などに手を出すことなどが、少なくなる傾向があります。

ホームスクーリングで新たな発見や視野を広げるためには、両親が色々なところに連れて行く・いろいろな体験をさせてあげるなどのサポートが必要になります。

【3】人間関係を学ぶ機会が少ない

ホームスクーリングは、基本的には人と出会う機会が少なくなります。また、付き合う人を選ぶことができます。そのため人間関係が限定的になる傾向があり、人間関係が学ぶ機会が少なくなります。

学校などの教育機関にいると、いろんな年代の、いろんな価値観の先生との活動、いろんな性格や趣味興味を持つ同級生、年齢の違う下級生や上級生との関りがあります。クラスや委員会などの活動で、色んな役割や立場を体験する機会があります。

学校などの教育機関には、選ぶことが難しい出会いや人間関係も多い環境になります。その中で、人間関係の煩わしさを体験することもありますが、人との距離感、付き合い方のあらゆる体験をすることができます。価値観の多様さ、視点の違いや、なにより自分という人間の多様さを見つけることができます。

コミュニケーションはどうしても、人と人との関りや交流の中で育まれるものになります。習い事などコミュニティーを見つるなど、対策が必要です。

【4】日本では認められてない

先にも書きましたが、日本でホームスクーリングは、法的に認められていません。日本では義務教育は、就学義務があるため、家庭学習は認められておらず、子ども本人の意思や、きちんとした手続きをされないと違法に当たります。まだまだ認知度も低いので、家族や周囲、進学の際など、理解も得られにくい可能性があります。

また、日本の潜在的な価値観として、学校に行くことが当たり前という価値観は、根深く存在します。表面上は「行かなくていいよね」という空気が生まれてきていますが、潜在的な価値観は変わっていません。

ホームスクーリングなどの選択は好きにすればいいけれど、「学校で行われていることはできて当たり前(履修できている)」の上で、「それ以外の他の力や能力が育っている・際立っている」部分を評価されている状況です。義務教育年限の子どもの場合は、残念ながら、特に強い傾向が見られます。天才的な才能で、有無の言わさず突き抜けてしまうような人は、これらは当てはまりませんが、そのような人ははっきり言って、多くはありません。

それが今の日本の現状として理解した上で、ホームスクーリングの計画や長期計画などを、お子さんと一緒に考える機会も大切かもしれません。

【5】ルールや基準、評価がない

日本には、ホームスクーリングのルールや基準がありません。家庭の数だけ、ホームスクーリングの形がある状態です。諸外国に存在する「評価方法や履修確認方法」など、基準がいっさい存在しません。そのため、何をどれくらい理解し、学び終えているのか、実際にどのような力が育っているのか。それらを計るものが存在しません。ホームスクーリングは、あくまで学校に代わり、家庭で行う教育ですので、この点の対策を考えておく必要があります。子どもも親も、教育の質や方法、取り組み自体がこれいいので、変えたほうがいいのかが、わからないまま年齢を重ねてしまうことにも繋がります。また、第三者や機関のチェックなども、ありません。家庭という閉じた場所で行われる分、万が一道がずれてしまっていた場合、それに気が付き、修正することがとても難しい環境であるといえるでしょう。

【6】お金がかかる

ホームスクーリングの教育を、学校で配布された教科書のみで行う場合は、少ないと思います。家庭で何か独自のものを購入したり、用意したりすることが考えられます。学校ではそろえられている教材や、あらゆる学習備品、学習環境をすべて家庭で用意することになります。オンライン教材を使ったり、教材を購入したり、美術館や博物館などに出かけたり、習字や音楽、プールやスポーツなどの体験をさせてあげようと思うと、その都度費用が掛かります。また、検定試験などを受講する方も多いので、何かとお金がかかる教育手法になります。

まとめ

ホームスクーリングという選択し、いかがでしょうか?ホームスクーリングを選ぶという家庭が増えてきました。しかし、ホームスクーリングには、親の覚悟と協力が絶対的に必要です。ただやりたいことをやる、子どもにすべて任せる、ただ家にいて好きなことだけをする・・・それだけでは何の意味もないからです。子どもは、自分で学ぶということに責任を持ち、親はそれらが達成されるようにサポートし、協力する責任を持つことだということを、忘れてはいけません。

基準もルールもありませんので、気を付けないと適切な教育が行われていないということにも、なり得ます。ホームスクーリングは、適切にできれば、子どもの個性や力を育てるすばらしい教育手法の1つです。現時点では、考える点が多い選択肢ですが、これからよりホームスクーリングなどの新しい教育が認められるような時代になっていくと考えられます。長い目で見て、教育のよき選択肢の1つになることを願っています!

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