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たとえ今死んだとしても、後悔はないけれど

「バケットリストを書いてみましょうか」

月に一度集まる仲間内の勉強会。
机に向かってガリガリ学ぶというよりも、
ひとつのテーマについて、そのことについて考えて、それを共有する。

同じ組織の中だと片意地張ってしまうようなことでも、利害関係のない相手との価値観や意見の違いは、素直にすんなり受け入れやすい。

「人って、こんなに違うんだ」

そんな気持ちを持ち帰って、
翌日の職場では、他の人の意見に耳を傾ける。

前回、課題図書になった本の中で、
映画『最高の人生の見つけ方』のエピソードが出てきた。

おじいさん2人が「死ぬ前にやりたいことリスト」をつくり、挑戦していくストーリー。

本の中では、ある経営者が、その映画を観て影響を受けたという。

「これ、いいですね」
「やってみましょうか」
メンバーからそんな提案が出て、みんなが賛成をした。

結果、次の課題は、
「バケットリストを書くこと」
それぞれが死ぬまでにやりたいことリストを書くことになった。

実際、わたしが書いたものがこれだ。

4人で書いたリストを共有してみて感じたのは、
わたしは、「死ぬこと」を強く意識しながら生きているんだな、ということ。

普段から、シャワーを浴びながら
「明日このまま目覚めなくても後悔しないかな?」と、自分に問う。

大抵の場合、答えは
「YES」だ。

人生の中で、今この瞬間が最高で、
今日死んでも後悔しないように生きようと思っている。
そう考えていると、少しずつ執着心が減っていくように感じる。

「そもそも、後悔するかどうかを、あまり意識してないな」

他のメンバーの意見に驚いた。

「うん、私も意識してない」

え、そうなの?

いつからだろう。
わたしの人生の判断基準は、
「後悔しないかどうか」だったように思う。

遡ってみると、ずいぶん前からだ。

たしか小学生のころ、
土曜の夜に「LOVE LOVEあいしてる」という音楽バラエティ番組があった。
KinKi Kidsと吉田拓郎がMCで、ゲストと一緒にセッションをする。
初めてギターを触ったKinKi Kidsが、吉田拓郎に教わりながらどんどん上達していくのが、すごく面白かった。

あるとき、女優の木村佳乃がゲストに出た。
「馬術部」がうまく言えなくて、何度も言わされてたっけ。
そんな中、彼女がおばあちゃんから教わったことばを紹介していた。

「後悔するくらいなら、反省をしなさい」

そんなニュアンスのことばだった。

小学生のわたしは驚いた。
「こっちを選んでいればよかった」
「こんなことしなきゃよかった」
こどもながらに後悔をして、ぶーぶー文句ばかり言っていた。

だけど、後悔をしてるだけでは前には進めないという。
反省をして次に進むことで、人は成長していける。
その気づきは大きかった。

高校生になったときに出会ったのは、
「恋のチカラ」というドラマだ。
当時ファンの多かった深津絵里のラブコメディ。
アラサーの恋も仕事もうまくいかないOLが、どん底に落ちてから仕事に恋に真剣になっていく。
そんなよくあるストーリーだ。
だけどそれが最高に面白くて、
再放送も録画のビデオも、何度も繰り返し観ていた。

仕事もうまくいかない主人公が、
過去に結婚を断ったことをぐちぐち言ってると、
堤真一演じる憧れのデザイナーがぴしゃりと言い放つ。

「後悔するやつはな、結局どっちを選んだって後悔するんだ」

そのセリフが、胸に突き刺さった。

そんなの、嫌だ。
そんなの、辛すぎる。

どっちを選んでも、結局しあわせになる。

そんな生き方がしたい。
そう強く思った。

木村佳乃のおばあちゃんのことばも、
堤真一のセリフも、
35歳になった今も、時々思い出す。

後悔をしない

そのために、今日を大切に生きる。

それが、いつしか、わたしの生きる上での価値基準になっていたみたいだ。

だけどすこし、死ぬことに意識を引っ張られすぎていたかもしれない。

今回作ったバケットリストは、
「これをやらずに死んだら後悔するかな?」という基準で選んでみた。
もし、これが全部達成できたなら、
本当にその瞬間に死んでも悔いはない。

だけどいまのところ、
達成せずに死ななくても、後悔をすることは、ないだろうとも思う。

うん、それは、
なんだかちょっと、もったいない。

「このリストを達成できなかったら、絶対自分は後悔する!!!」

今度はそんな暗示をかけてみようかな。

そしたらもっと、このリストに書いたことを実現させるために、力を入れるはずだ。

バケットリストを、
「夢のリスト」や「やれたらいいなリスト」にせず、

「to do リスト」「タスクリスト」くらいに考えて、真剣に取り組んでみよう。

そしたら今よりもっと、
「生きててよかった」
「生まれてよかった」と、
思わせてくれるようなリストになるはずだから。

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