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境界線を無くしていったら見えてきた話。

2020年製品リリース第二弾です。

2020年2月20日(木)20:00~『着たくないのに毎日着てしまう』ジャケパンの春のニューカラーを発売します。限定100セットです。

今回はこの製品に絡めた話をします。

地球を外側から眺めた人の話。

1992年9月12日。
アメリカ合衆国フロリダから「スペースシャトル・エンデヴァー号」が宇宙へ飛び立った。

日本人初の宇宙飛行士である毛利衛さんが宇宙へ向かった日である。

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ミッションを終え地球へ帰還した時に毛利さんは言った。

“I could see no border on Earth from the space.”
「宇宙から見た地球に国境は確認できませんでした。」

そう、国境線は実際には存在しない。
ある種の『虚構』を多数の人々が承認しあい、信じあうことで国境という『線』は成り立っている。

世の中に引かれた見えない線

この話は、単に国家間の話だけではない。僕らの生活にも喩えられる話だ。

いろいろな見えない境界線が生活の中にも引かれている。
違いを区別し、分けることで世の中をシンプルに捉えようとしてしまう。

例えば僕らもそうだったんですよね。

いつの間にか男女をわけている。

でも僕らの商品って、男女でパターンも素材も変わるわけじゃない。
最初のきっかけは、昨年から「女性モノはありますか?」という問い合わせが多く「女性の着用画像をわかりやすくしたい」という発想から分けたのですが、パターンも素材も変わらない、ただサイズ展開が広い商品を扱っているだけなので「男性女性という区分けがない」というのが僕らの本質だった。

僕らの服はストレスがない状態をつくり、気持ちよく生きたい人たちのための服。という開発をするのを理想としている。だから、分けないことでサイズレンジを広くし、より多くの人たちに対応しながら違和感を感じる細部をカスタム受付で最終的にはカスタマイズしていくというスタイルが生まれた。

分けないからこそできた発想だったのに、一見分かりやすそうな方向へ、いつの間にか分けてしまっていた。これは時代的にも社会的にも時代錯誤だと判断しました。

今後オールユアーズは男女を分けずに全部一緒に見てもらえるようにウェブサイトならびに表現を変更していきます。

随時変更できるところから変えていきますので、よろしくお願いします。

僕の生活にヒントを与えてくれたこと。

こんな考え方に、僕は非常に感銘を受けました。

禅寺の僧侶は坐禅を組んだり経典を読む時間だけが修行ではなく「生活それ自体」を修行だと捉える。掃除、食事あらゆる行為が修行であって、修行と生活とを分けることがない。と言います。

『すべては身と心を整えるための行為である。』

一見ストイックな姿勢のように感じますが、僕には人生をとらえる時のヒントのように感じられました。

・仕事の目的
・私生活の目的
と分けて考えると、24時間を分割して、そこに公私のタスクを詰め込んでいくという考え方になってしまいます。

僕もこういう考え方をしていて、欲張りな僕はガンガンに物事を詰め込んでしまい、仕事も私生活も崩壊しているような生活をずっとしていたような気がします。

そんな矢先に、前述の禅僧のお話しを聞きました。

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それからというもの、自分の行動の目的を公私に分けるのではなく「自分の心と体を整える」ことを一番のゴールとして捉えた時に、公私で分ける意味がなくなってしまった感覚を覚えたのです。

もちろん仕事中は真面目にやってますし、休みの時はちゃんと休むようにしているのですが(笑)

いろいろなものがマーブル状に混ざり合っている状態が自分の人生であれば、それをそのまま捉えればいいではないか。あれこれ考えるのではなく、今自分のやりたい事に集中すれば良いではないか。

仕事の発想はプライベートでのインプットに依存することが多かったり、仕事からプライベートに影響が出ることもたくさんありますし、仕事とプライベートは完璧に別々ではなく、相互に依存したり関わりあったりしている。

そういうふうに仕事や食事や私生活を全体でとらえると、自分のやっていること全てが繋がってきたのです。

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だから僕の場合は、毎朝必ず味噌汁を自分で作って食べる。という習慣が仕事に繋がっていくし、日々のインプットやアウトプットに影響を与えていると感じています。

境界線を引かない服

さっきのオールユアーズのオンラインストアの話と共通する部分なのですが、僕らは「境界をなくしていく」ということもオールユアーズの機能の一つなんじゃないかな?と最近考えています。

特に昨今は働く環境も「服装自由化」が推進されたり、オフィスの打ち合わせスペースがオープンなスペースの企業さんも徐々に増えてきたり(カフェ併設などもよく拝見します)、フリーランスで活躍する人たちが増えました。

「はたらく」ということさえも『ライフスタイル』に内包されつつあると感じています。

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特にいま、このコロナウィルスの影響などで、企業に所属している方々も、在宅でお仕事されている方も少なくないのではないでしょうか?
自宅で仕事をしていると、自宅⇄職場という物理的な境界線もなくなり、シームレスになっていく感覚がありますよね。実際この文章も自宅で書いていますし。

服装はむかし、所属や階級を表すシンボルとして機能していましたが、服装自由化がすすんでいる今この状況を考えると、仕事とプライベートで着替える必要性がどんどん減少していると思います。

“仕事と日常生活関係なく着られる。着ているときはストレスがなく、その後の手入れも簡単。それでいてちゃんとして見える”

これは僕らのオンラインサイトに掲載させているメッセージです。

多様性の一つの選択肢として
仕事と日常を飛び越えて、あなたのライフスタイルに寄り添う服。
そういうものを僕らは作りたい。

『境界線を引かない服』

そのオールユアーズのコンセプトの象徴物が今回シーズン限定色をリリースする「着たくないのに毎日着てしまう」セットアップなのです。

機能的なことで言えば

・シワにならない
・驚くほど伸び縮みする
・丸洗い可能
・洗濯して3時間で乾く

などの機能で説明できますが、機能性を追求するのではなく、あくまで『仕事と日常を飛び越えて、あなたのライフスタイルに寄り添う服。』を追求していった結果、この機能に収斂されていきました。

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細かな機能説明は次のnoteで書こうと思っていますので、今回はもう一つだけ説明させてください。

それはこのポケットのこと。

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このポケットは昔「ウォッチポケット」と言われ、100年前は懐中時計を入れるためのポケットでした。

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腕時計じゃなかった時代に時計をしまうためのポケットだったんですね。

懐中時計が腕時計に移行していくと、このポケットは「コインポケット」と言われるようになりました。小銭を入れておくポケットとして使われていったのです。

そして、このポケットはデザインディテールが150年近く一つも変わることなくAirPodsポケットとして機能します。proも入ります。

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このディテールが優れた点は150年近く同じデザインだということ。
時代が変わると用途が変わる。
時代を超えてユーティリティー性があることが美しいと思っています。

オールユアーズの製品はさらに生地がストレッチするので入たまま座っても痛くないし快適です。

これは僕らが考案したディテールでもなんでもなく、先人がプレゼントしてくれたエッセンシャルなアイデアなのです。

これも、先人がつけた定義の境界を超え、新しい意味を帯びていったディテールなんて言ったら言い過ぎでしょうか?

時代や使う人によっていろいろな意味を投影できる製品を今後も開発していきたいと思います。

ぜひ、新しいキャメルカラーを見ていってください。
他のカラーもオンラインストアにあります。


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