すべての5月の空
5月の空って、好きになるたびになつかしくなる。
あの人の顔みたいに。
だからってわけじゃないけど、こうして見つめる間にもう忘れていってしまいそう。
「それがやさしさなんだよ」って、いつの間にかポケットに紙切れがしのばせてあったりして。
この空を手のひらに包んで隠してしまいたい。
あなたの顔の前で「ほら」って驚かせてみたい。
見つめたら見つめただけ吸い込まれる。
いくら汲んでも涸れることのない水。
青い毛糸玉になって、今子どもの手の中でくすぐったくなっている。
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