(令和5年7月議会予算委員会)環境に配慮した農業の推進について

現在の日本は、化学肥料原料のほとんどを輸入に依存しており、窒素は国産4%、リンとカリウムはほぼ全量を輸入しております。近年の円安や運送コストの上昇により、化学肥料の価格が高騰しており、農業経営が圧迫されています。地域の農業を将来にわたって維持していくためにも、耕畜連携などの取り組みを今後も推進し、未利用資源を活用することで、輸入に依存しない農業のあり方を目指すことは大変重要です。

 昨年施行された、みどりの食料システム法でも、「地域農業の持続的発展のための取組」として環境負荷の低減を図ることとされており、有機農業等を推進するとしています。

 この法律では、国が示す基本方針に基づき、都道府県と市町村が連携し基本計画を策定することとなっています。令和5年3月31日にこの基本計画が策定されましたが、この内容についてお示しください。


(農林水産部長答弁)
〇「緑の食料システム法」に基づき、本県でも、令和5年3月、「青森県環境負荷低減事業活動の促進に関する基本的な計画」を策定。
〇今後の動向を県に確認したところ、「青森県環境負荷低減事業活動の促進に関する基本的な計画」に基づき、環境負荷低減事業活動実施計画の認定手続き(認定されると税制上の優遇措置や制度資金等での優遇を受けられる)を9月から開始する予定としており、現在、それに向け、認定要領等の策定を進めているほか、これに併せ、市町村に対する説明会を実施する予定であると聞き及んでいる。

(再質疑1)認定手続きが9月ということですから、もうほとんど時間がありません。これは県の事情によるもので、市では如何ともし難いところではあると思いますが、県に対しては早急な認定要領の策定の要望、認定要領が策定されましたら、市内農業者等への周知にぜひ努めていただきたいと思います。
 今後取り組みをスムーズに進めていく上では、これまでの取り組みを基礎にしていくことも必要と考えます。そこでお伺いします。青森市での環境に配慮した農業への取り組みについてお示しください。


(農林水産部長答弁)

〇本市では、国の「環境保全型農業直接支払交付金事業」を活用し、有機農業に取り組む農業者団体に10アール当たり1万2千円を交付
〇令和4年度は、2団体・120アールの取組に対し支援。
〇地域内で発生・廃棄される残渣や余剰生産物などを減らし、これらを資源として再活用し循環させていく、いわゆる地域循環型農業にも取り組んでおり、具体的には、
 一つに、市内コメ農家の協力のもと、農業者以外でも稲わらを自由に持ち帰り、家庭菜園等で活用いただける「稲わらふりーでん」の市内70か所のほ場での開設を、
 二つに、旧畜産振興センターでの八甲田牛の子牛生産等において、市内複数のコメ農家から乾燥精米時に排出されるもみ殻を受け入れ、牛舎の敷料としての有効活用を、
 三つに、旧畜産振興センターで飼育している牛の排泄物の堆肥化及び飼育牛の飼料となるトウモロコシ畑への肥料としての散布
 などに取り組んでおり、今後も引き続き環境に配慮した農業の普及・促進に取り組む。

(再質疑2)境保全型農業直接支払交付金事業の交付条件は、複数の農業者で構成される法人または、取組面積が、自身の耕作する農業集落の 耕地面積の概ね1/2以上となる農業者個人、となっており、環境配慮型の農業を、地域ぐるみのものにしていかなければなかなか取り組みが増えていかないのではないかと考えます。市としてまずは様々な形で、こうした交付金のメリットなどを周知していただきたいと思います。
 また、耕畜連携についても、飼育牛の肥料高騰などが聞かれますので、引き続いての取り組みをお願いいたいします。次に、県内他市町村における取り組みをお知らせください。

(農林水産部長答弁)
〇国では、有機農業の発展を図ることを目的に、平成18年に「有機農業の推進に関する法律」を制定、平成23年には、地域内で農業者が連携し、環境保全に効果の高い営農活動に取り組めるよう、「環境保全型農業直接支払交付金事業」により、有機農業等に取り組む農業者団体等を支援。
〇県では、国が定めた「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」を基に「青森県特別栽培農産物認証制度」を設け、減農薬栽培を普及拡大
〇県内では、黒石市及び五戸町において、農業者や事業者及び地域内外の住民を巻き込み、地域ぐるみで有機農業の生産から消費に取り組む「オーガニックビレッジ」を宣言。
〇具体的には、
・黒石市では、国のみどりの食料システム戦略推進交付金を活用しながら、有機農業の普及や販路開拓等の取組を実施。
・五戸町では、有機農業に取り組む人材の育成やスーパーにおける有機農産物コーナーの設置等、
環境に配慮した農業の推進に向けた取組が進められている。

(要望)新規就農を志す方や、新規就農した方にお話しを聞くと、有機栽培など環境配慮型農業に関心がある方が一定数いらっしゃいます。理由をお聞きすると「新規参入者は小規模な面積での営農となるし、資金もないので機械購入による規模の農業は難しい。他と差別化できる農産物を作って単価を上げ、営農を軌道に乗せたい」という趣旨のお話しをされている方がたくさんいらっしゃいました。もちろん「環境に良いものを」などの理念もあるのでしょうが、経営的な判断の中でも有機農業などが注目されていると考えられます。
 青森市では「移住してはじめよう♪ 青森で農業♪」として、農作業を2泊3日で気軽に体験できる「青森市短期就農体験モニター事業」や、最短2週間から就農に必要な基礎知識や技術を学べる「農業インターンシップ」などを行い、新規就農者の獲得にも力を入れているところと承知しております。環境配慮型の農業は、営農に関する選択肢を増やすことで、新規就農者の獲得にも意義があると考えます。先行する黒石市や五戸町などに続いて、環境に配慮した農業を推進していただくことを要望して、この項を終わります。


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