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【清張地獄八景】【「松本清張」で読む昭和史】語られる昭和の巨人

清張地獄八景』(みうらじゅん)を読みました。


みうらじゅんさんが松本清張好きとは知りませんでしたが、
相変わらず好きなものには惜しげもない熱量で語るみうらじゅんの文章がぐいぐい清張の世界に引き込んできます。



「清張スイッチ」(平凡な小市民が調子に乗って誤ちを犯し、地獄へ転落していく分岐点)、
「後ろメタファー」(罪を隠してる人が必ず言ってしまう、言わなくてもいい例えやほのめかし)


など、ネーミングセンスも相変わらず秀逸。さすが一人電通。

しかしこの本の一番の読みどころは「2時間ドラマの王」こと船越英一郎との対談。
舩越英一郎氏は松本清張原作の2時間ドラマを数多く演じていますが、
船越氏によると犯人を崖に追い詰める演出は松本清張が起源とのこと。
そのほか、船越氏の意外な(?)知性と博識に驚く。こういう人だったのか。



私は松本清張の本は20代の頃に何作か代表作を読んだだけのライトファンですが、 最近また松本清張作品への興味が湧き上がってきています。

それは少し前に、『松本清張で読む昭和史』(原武史)を読んだからです。



松本清張はノンフィクションは言わずもがな、
ミステリものの作品にもその精緻な記述や市井の人々の生活描写が随所に見られ、
それら自体が昭和の貴重な資料であるとのこと。

確かに松本作品からは昭和の日本の社会の問題や都市の様子を読み取ることが出来ますが、肝心の犯人の動機や事情、罪を犯し、隠す心理などは普遍性があり、今読んでも断然面白い。

まだまだ読んでないけど面白そうな作品があるし、『小説帝銀事件』のようなノンフィクションも今後読んでみたいですが、時間がないな〜。

寝る間を惜しんで新聞社の仕事の合間に小説を書いたという清張さんを見習うか・・・

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