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哲学入門書の紹介

立正大学文学部哲学科のフェイスブックページに掲載した、哲学入門書の紹介を転載いたします。

(1) 物語形式の哲学入門書
 まずは比較的楽しく簡単に読むことができる、物語形式の入門書を三冊紹介いたします。

①原田 まりる『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』 ダイヤモンド社
 現代に転生(?)したニーチェと議論することで成長していく姿を描くジュブナイル小説。イケメンのキルケゴールや大学教授のハイデガーも出てきます。

②さくら剛『(推定3000歳の)ゾンビの哲学に救われた僕(底辺)は、クソッタレな世界をもう一度、生きることにした。』ライツ社
 思わず笑ってしまう対話篇。現代を生きる人間の実存の孤独やSNSの怖さなどの現代的な問題を取り扱っています。

③戸谷洋志『Jポップで考える哲学 自分を問い直すための15曲』講談社文庫
 
 ハンス・ヨナスの研究者による、Jポップを手がかりに哲学的な問題を考察する一冊。こういう角度からも哲学することができるという、哲学の間口の広さがわかると思います。Mr.Children、BUMP OF CHICKEN、宇多田ヒカル、乃木坂46などの楽曲が取り上げられてますので、それらのアーティストのファンの方にもお薦めです。


(2) 小説から哲学してみる
 哲学の入り口は、必ずしも哲学書からだけではありません。他のエンターテインメントを入り口にしても、哲学することはできるでしょう。哲学的なテーマを扱っている三冊の小説をご紹介いたします。

④ジャン=ポール・サルトル『嘔吐』人文書院
 フランスの実存主義の哲学者サルトルの書いた小説。港町で研究をしているロカンタンが、日常的な意味に違和感を覚え、様々なものに「吐き気」をもよおしていくという筋立てです。私と君、空と大地、枝と幹と根、世界はさまざまな意味で区分されることで安定していますが、それについて疑いをもつとどうなるのかを教える物語です。

⑤レイ・ブラッドベリ『華氏451度』早川書房
 本を読むことが禁じられた未来の世界(みんなテレビばかり見ています)で、本を読むこと、考えることの意義を示す、傑作SF小説です。YouTubeをどうしても見続けてしまう方などは、考えさせられる内容であるかなと思います。同じ著者の『火星年代記』も詩的で、すばらしい作品です。

⑥森博嗣『彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone? 』(Wシリーズ)、講談社タイガ
 技術の発達で人が死ななくなり、人工的な知性が発達した未来の世界。人間とは何なのか、知性とは何なのか、死ぬとはどういうことなのか、人類はどこに向かっているのかを、考えさせられます。全10巻のWシリーズの第一巻です。

(3) いきなり本格化志向の方
 「哲学の入門書なんて読みたくない」「いきなり哲学書を読みたい!」というチャレンジャーな方向け。すでに数年間哲学の勉強をしている在学生は、そろそろ本格的な哲学書を読んでもよいかもしれないと思い、三冊紹介いたします。

➆ハイデガー『存在と時間』
 20世紀の哲学を代表する一冊。翻訳は、手に入りやすいものでよいと思います。この中の「不安」などの気分や「死」、「決意」についての考察は、現在の新型コロナウイルスに対する自分の感じ方、生き方を再考するきっかけになるかもしれません。

⑧アーレント『人間の条件』志水速雄訳、ちくま学芸文庫
 「人間とは何か」という問いを、古代ギリシアから現代までを俯瞰する眼差しのもと、労働、制作、活動という三種類の行為から考察した哲学書。「なぜ人は働かなければならないのか」、「働くだけで人生は有意義となるのか」などについて考えたい人にお薦め。「公共性」などの政治的なテーマや現代科学の意義について哲学したい方にもお薦めです。

⑨ヨナス『責任という原理 ―科学技術文明のための倫理学の試み』加藤尚武監訳、東信堂
 「未来倫理」・「世代間倫理」を提唱した哲学書。現代の技術の伸張と、それによる人類のち力の増大に対して、危機感を持っている方には、ぜひ読んでもらいたい一冊。たとえば、CO2を排出し続けると100年後どうなるのか、原子力発電所から出る廃棄物を自分たちの子孫に残してもよいのか、などの問題を考えてみましょう。

(4) とりあえず、この本を

⑩立正大学哲学科『哲学 はじめの一歩』(春風社)シリーズ
『哲学 はじめの一歩』(「生きる」「〈私〉であること」「心」「行動する」の四冊が収録)

『哲学 はじめの一歩 働く』
『哲学 はじめの一歩 楽しむ』

 哲学科教員が執筆した哲学の入門書です。エッセイ風の考察、対話篇など、さまざまに工夫を凝らした内容となっております。
 他の教員が挙げないようですので、挙げておきます。在校生で持っている方は、読み直しましょう。新入生・在校生でまだもらっていない方は、しばらくお待ちください。それ以外の方は、ぜひご購入をご検討ください。
 私は、『働く』に「宝くじがあたったので、働くのやめます」という対話篇を執筆しています。

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立正大学文学部哲学科に在職。ハイデガーやアーレント、ヨナス、哲学教育について論文を書くことが多いです。

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