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【小説】クお白チ 065【第一期】

10時までに9灯。このペースでやれば、廊下の灯具は今日中に全部付け終わる。1階の教室の灯具が点かなかったのが気になっていたけど、まぁそれはそんなに時間のかかる作業じゃない
チ「サッちゃんサンドイッチ♪」
俺「ちょっと待ってて」
またジャンプしてマンホールへ。タバコを出して火を付ける。三人の前で吸ってしまえばラブがオオボケこいても平気だろう
香「サッちゃんタバコ吸うんですね」
俺「うん。学校だから吸わなかったんだけど、もう仕事も終わるからいいかなって」
香「どうしてそんなところで吸ってるんですか?」
俺「香の匂いがタバコ臭くなっちゃうからだよ」
香「あぁ…」
ラ「香ちゃんちは誰もタバコ吸う人いないの?」
香「いなーい」
チ「そうなんだ。うちはお母さんが吸うから平気」
ラ「私はお父さんが吸ってるの」
香「サッちゃんごめんなさい…」
俺「気にしなくて平気だよ。香のいい匂いを消したくないのは俺だしね」
吸い終わる直前に小鳥とムックが裏庭に出てきた
小&ム「おはようございます」
「おはよう」×3+俺
小「なんでそんなところにいるんですか?」
黙ってタバコを見せる。小鳥がきょとんとしてる
ム「匂いが移っちゃうから?」
俺「そうだよ。もう吸い終わるから気にしないで」
タバコを消して、缶をマンホールに置いてジャンプ!いつもの席に座る
俺「帰ってきましたよ。チビ、サンドイッチください」
チ「あいよ♪」
キュウリが入ったツナサンド。キュウリのツナサンドは初めて食べる。一口かじる。へぇー…
俺「キュウリのツナサンドは初めて食べたよ」
チ「美味しいか不味いか言ってよぉー」
俺「チビのサンドイッチで死んじゃうよー」
チ「やったぁ♪」
俺「塩加減を微調整。ブラックペッパーとレモン汁が隠し味になってるね。キュウリは塩もみしてからツナに練り込んである。昨日作ったでしょ?」
チ「この人見てるだけじゃなくて、味もすごい分かるんだよ…」
俺「目もいい、耳もいい、鼻もいい、悪いのは頭と態度と言葉使い」
「あはははははっ」×5
チ「でも、ブラックペッパーは分かるとしてもレモン汁は2~3滴だよ?」
俺「弁当作るのもこわくなったでしょ?」
香「私たちが作ったお弁当も分析されてたんですか?」
俺「うーん…してたかもね」
小「なんか恥ずかしくなってきた…」
俺「香のおにぎりは腐らないようにちょっとだけ酢が入ってた。小鳥のそぼろには味噌が使ってあった。ラブのカツ重のカツは二度揚げだったかな」
香&小&ラ「………………」
チ「三人とも当ってるの?」
「はい…」×3
ラ「なんかこわいですよ…」
俺「香は体を心配して、小鳥は味で勝負、ラブは技で勝負って感じかな。これで性格も分かるのよ。全員美味かったのは変わりないけどね」
小「それで読まれちゃうんだ…」
俺「昼とか休憩の時の方が、仕事の事気にしてないからアンテナも敏感になるしね」
ムックがうつむいてる。めずらしい…
俺「ムックどうしたの?」
ム「なんでもない…」
俺「俺の目を見てもう一回言ってごらん」
ム「……………」
俺「言いたい事があるなら後悔しないうちに言った方がいいよ」
ム「おにいさんは見てて分かっちゃうんだよな…」
ムックが自分の手提げ袋から茶色の紙袋を出して、テーブルに置く
俺「なにこれ?」
ム「8時までお仕事でしょ…」
俺「そうだよ」
ム「今の話し聞いたら出しづらくなった…」
俺「中見ていい?」
ム「うん」
中を覗いたら小さないなり寿司が三つと黄色いのはたくあんかな
俺「自分で作ったの?」
ム「うん」
俺「ムックのは初めてだから楽しみだなぁーありがとね」
ム「自信なくなった…」
俺「気にしなくていいんだよ。作ってくれた事の方が大事だし、嬉しいよ」
ム「食べてね」
俺「当たり前じゃん」
ム「出してよかった♪」
俺「後悔しないためには引っ込めちゃダメだよ。たとえそれが失敗だったとしても、次を考えられるじゃん」
ム「明日も作る!」
俺「ぜひ俺に挑戦して下さい」
ム「そうだね♪」
ラ「ムックちゃんなにを作ったの?」
俺「ムック言うな。俺とムックの秘密ね」
ム「うん♪」
ムックがいつもの笑顔になった
チ「なにを作ったかくらい教えてくれてもいいじゃんさー!」
香「私もしりたいです」
小「教えてくれないんですか?」
俺「なんでみんなして俺とムックの楽しい秘密の邪魔するのさ」
ラ「ちょっと気になりますよ」
俺「みんなで俺をいじめるよームック助けてよーエーン」
ム「あははははははっ」

日焼けした笑顔に綺麗にそろった真っ白な歯が浮かび上がる…

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