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【小説】クお白チ 045【第一期】

指の止血方法を教えて、そのまま待つように言う。一番東側まで行って、Tシャツを脱ぎ、バタバタとはたく。ハチマキと首に巻いたタオルを取り、そのタオルでズボンをはたく。Tシャツを着ないで、チビのところへ戻る
「水道へ行こう」
「どうしたの?」
「事情はあとだ。いいから来て」
額と首がちょっと痛い。顔を洗って、手も二の腕まで洗い、手を振って水を切り、ビチャビチャのままチビの左手を持って
「右手の力を抜いて」
そのままチビの左手の人差し指を咥えて、おもいっきり血を吸い出し、水道に吐き出す。三回
「手を洗っていいよ」
「照れるじゃん…」
「いいから手を洗って」
「どうしたの?」
「蛍光管の中には水銀が入ってるんだよ。だからもしもの事を考えて吸い出した」
「目を閉じて、息を止めたのは?」
「蛍光管のガラスは薄いから割れると粉末になるの。あと、蛍光物質と水銀も浮遊するから、目を閉じて息を止めさせたのよ。怪我させてごめんね」
「サッちゃん。おでこと首から血が出てるよ」
「俺は平気。傷も浅いし」
「水銀って毒じゃん!サッちゃんも危ないじゃん!」
「男はあんまり関係ないんだけど、女の子は子供を産むからダメなの」
「本当に平気なの?」
「好きな子の前で嘘はつかないよ」
「そか。あんまり心配させないでよ…死んじゃうよー」
「好きだから死なないでほしいな。絆創膏持ってる?」
「うん」
「絆創膏貼ってきて」
「分かった」
「あと、俺の鞄から、タオル三枚持ってきて」
「あいよ♪」
Tシャツを着て、ハチマキを頬っ被りにして、首のタオルはきつめに縛り、脚立を上って、残骸を外す。防水用のゴムが曲がって入ってる。どうして気がつかなかったんだろう?疲れてるのかな?新しい蛍光管に防水ゴムとキャップを付け、灯具に取り付ける
チビが戻ってきたので再び水道へ。もう一度顔と手と首を洗い、拭いて、チビに渡り廊下下の一番西側にいるように言う。一番東側に行って、手を拭いたタオルで全身をはたき、頬っ被りと首に巻いてたタオルとはたいたタオルをゴミ袋へ。新しいタオルで頬っ被り、もう一本は首にかける
「なんでハチマキじゃないの?」
「俺の頭からガラスの粉と蛍光物質が飛ぶから」
「あぁー…」
「残念なお知らせです」
「えっ?」
「今日は抱きしめてあげられません」
「ガラスの粉?」
「そう」
「えーーーーー!」
「腕と、顔は平気だからキスはできるよ」
「我慢するよ。ブーー!」
「ガラスを踏まないように、一番東側に行って待ってて」
「はい」
1階のコンセントのブレーカーを上げ、道具置き場からコードドラムと掃除機、新しい軍手、ゴミ袋、ほうきを持ってくる
脚立をほうきではらい、風向きを確かめて掃除機の排気口を北側に向けて、ガラスの破片を吸い込む。大きい破片はゴミ袋に入れる。無駄な時間を使ってしまった…
「いいよ。こっち来て」
「電気屋さんって大変なんだね…」
「建築屋はみんな大変だよ」
「見てるとドンドン好きになるんだよ♪」
「色々な事が出来ないと電気屋はやれないの分かった?」
「そうなんだねー」
「あぁ、右利きだよね?」
「うん」
「怪我さ、不自然な場所じゃないから弁当作ってるときに包丁で切ったことにして」
「うん、分かった」
「10時に突っ込むからその時に嘘っぽっく聞こえないように言ってね」
「どうすればいいの?」
「お弁当作ってる時に切っちゃった。えへへっ♪って得意技を使えばいいじゃん」
「あぁー」
「絆創膏を取らせるかもしれないけど、自信を持って取ってね」
「そうだね」
「多少いじめるけど、自然に振る舞わないといけないから冗談だからね」
「いじめてるの愛情なんでしょ?」
「そうだよ」
「いじめっ子なの?」
「どっちかって言えばそうだね」
「喜んでいいのか、悪いのか分かんないね」
「一人でほとんど独占してるじゃん」
「じゃ、喜ぶ♪」
「いじめられて喜ぶって変態だな…」
「なんでよーー!」
「マゾじゃん」
「違うもん…」
「じゃ、もういじめない。独占させない」
「あーーー!独占したいよぉー!」
「じゃ、いじめる事にする」
「うん♪」
「さっきさ、どうして私の中が分かるのって聞いてただろ?」
「うん」
「答えは、好きだから。この答えで満足かな?」
「うん!嬉しいよ。サッちゃん大好きだよ♪」

校舎の陰から顔を出した太陽の光りが眩しくふりそそいだ…

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