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【小説】クお白チ 083【第一期】

ずーっと待ってたんだけど、次の子が来ない。教室を出て、みんながたまってる教室に行ってみる
俺「次は誰の番なの?」
白「クッキーちゃんなんだけど…」
クッキーは床に女の子座りして、下を向いて泣いてる
俺「どうした?」
ク「いやだ。離れたくない」
俺「俺と二人で話したくないのか?」
ク「話したらお別れでしょ?」
俺「それはみんな同じだろ」
ク「お別れなんていやだ!」
俺「クッキーだけ嫌いになるぞ!」
ク「……………」
俺「行くよ」
ク「立てない…」
俺「なんで?」
ク「分かんない」
左側に回り、クッキーの両腕を首にかけて、右手を両膝の下に入れ、左手で腰を持ち、ひょいっと持ち上げる。すねが痛い。
「行くよ」
黙ってうなずく
教室に入って、机に座らせる。まだ、涙をポロポロ流して泣いてる
「1日に会えるじゃないか」
「そのあと会えないじゃない」
「また三人でデートすればいいだろ」
「二人で会いたい」
俺はこの子とは、二人で会うつもりはない。クッキーはぬけがけしていた事を白に話した。白は俺との秘密をクッキーに話していない。それにクッキーは嫉妬心が強すぎる
「あれだけお互い譲り合ってたのに、白にぬけがけするつもりなのか?」
「でも…」
「それが親友なんだ?」
「……………」
「俺は二人を差別したくない。だから三人でデートするんだよ」
「ぬけがけは慣れてます…」
「そのぬけがけが辛くなって白に話しただろ?」
「もう言いません」
「誰もぬけがけしようとは思ってないのにクッキーだけ特別扱いはできないね。三人でデートするのだって立派なぬけがけだろ」
「二人じゃダメなんですね…」
「俺の考えは変わらない。区別はしても差別はしない」
「分かりました」
「三人でデート楽しもうぜ」
「会えないわけじゃないですもんね」
「そうだよ。完全に拒絶してるわけじゃないじゃん」
「一つ願いをかなえてくれませんか」
「なに?」
「言いにくいんですけど、キスしてください」
「どいつもこいつも同じ事言いやがって…」
「他の人にもキスしたんですか?」
「それは言えないね。俺と個人個人の秘密だよ」
「誰にも言いませんから、お願いします」
「キスの経験は?」
「ないです」
「初めてのキスはもらえないよ」
「私の事が嫌いなんですね…」
「嫌いな奴とこんなに仲良くできるわけないだろ」
「じゃ、お願いします」
「コーヒーで間接キスしたじゃないか」
「直接してください。お願いします」
「立てるか?」
よろよろしてるけど立ち上がった
「抱きつけ」
倒れるように抱きついてくる。腰に力が入らないようで、支えてる感じ
「目をつぶって、ちょっと上を向いて」
唇を重ねると、クッキーが唇を押しつけてくる。20数えて、離れる
「嬉しいです…」
また泣き出す
「泣くな!」
「ごめんなさい」
「嬉しいときは笑えよ」
「そうですよね」
無理に笑顔を作る
「クッキーは笑顔が一番可愛いよ」
「もう一つお願いがあります」
「なに?」
「電話してもいいですか?」
「いいよ。ただ、仕事でいなかったらごめんね」
「私の家には電話してこないでください…」
「親が厳しいもんね」
「はい。ごめんなさい」
「あやまることじゃないよ」
「1日が待ち遠しくなりました」
「あぁ、1日にさ、マドレーヌ作ってきてよ。あれ美味かったからさ」
「はい♪」
「あのさ、すねが痛くて支えてるの辛くなってきたんだけど、立てない?」
「あぁ…」
クッキーが足にしっかり力を入れる。すーっと軽くなる
「大丈夫みたいだね」
「なんか取り乱して恥ずかしいです」
「そこまで思っててくれて、嬉しかったけどね」
「よかったぁ」
「最後に質問です。この仕事を手伝った感想は?」
「仕事をしてる男の人ってカッコいいんだなって思った事と、優しいってこういう事なんだなって事です」
「俺は優しくないよ」
「じゃ、言い方を変えます。色々な事に気が付くって思いやりに変わるんだなって思いました」
「そか、嬉しいよ。次の人を呼んできてくれる?一人で歩ける?」
「大丈夫です。1日楽しみにしてます♪」
「あぁ、お姫様だっこしたのはクッキーが初めてだよ」
「やったぁ♪」

イメージカラーは彼女が丹精込めて作ってくれた甘い焼き菓子のようなベージュ

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