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【小説】クお白チ 100【第一期】

タイルにしゃがみ込み、タバコを出して火を付けた。大きく吸い込み、息を止めてからおもいっきり吐き出した。みんなの匂いは消えはしなかった
恥ずかしそうにマドレーヌをわたすクッキー。妖艶な美しさで俺を見つめるおしゃべり。透けるような肌と八重歯を見せて笑う白。悩みを打ち明けて涙を流すチビ。心を癒す優しい声で語りかける小鳥。返事も出来なかったムック。爽やかな笑顔とさらに爽やかな芳香の香。そして俺が未だに待ってるラブ…みんなの顔が頭の中をグルグルと駆け回る…気が狂ってしまうと思う位駆け回る…このまま狂ってしまえば良いのにと思った…
立ち上がって入り口を入り内側から鍵をかけ、ラブの下駄箱の前に座りラブの下駄箱を見上げる。もうどうして良いか分からない。チビになんて返事をして良いか。ラブになんて話せば良いか。白は自分が一番だと未だに思っている事をどう訂正すれば良いか…涙は止まっていた
ポケットから石を出し、いつも座っていた順番に石を並べる。一人で裏庭に行く事が出来ない。石を手でバラバラにしてポケットに戻す。ちょっとだけ移動して窓の外を見ると、雲が凄いスピードで流れている。閉めきられた校舎は暑くて息をするのも苦しい。外へ出ようとして、鍵を開けたけど、そのまま校舎の中へ歩き、裏庭の鍵をかけた。入り口までもどり、再び鍵をかけ、ラブの下駄箱の前に座り、タバコを出したがそのまま引っ込めた…混乱して自分がなにをやっているか分からなくなってた
時計を見ると5時半を少し過ぎてた。しばらくすると入り口の扉がガチャって鳴った。背の高い女のシルエットがそこにあった。鍵を開けるとその女が入ってきた。穴は一瞬で塞がりやられてしまった…また涙が出た。ラブは私服で薄いグリーンの麻のような素材のシャツに黒のミニスカートを穿いていた
「まだ悲しいんですか?」
「バカ!嬉しくて泣いてるんじゃないか!」
「どうしてですか?」
「なんでミニスカなんだよ!」
「私がミニスカートは一番ですよね?」
抱きしめてから
「そうだよ。嬉しいよ」
「あとはショートカットですよね?」
「そうだね」
顔を見つめてそのままキスをする。ラブに言った言葉を思い出す。言いたいときに言わないと後悔する…
「一番だよ…」
「明日ショートカットにしてきますよ」
「違うよ…俺が一番好きなのはラブだよ…」
ラブの目が涙でどんどん濡れていく
「どうした?」
「おにいさんと同じです。嬉しいで…」
嗚咽で言葉が詰まった。ギュッと抱きしめて涙が流れるラブにキスをした…
「ただ俺は、正直にラブに話さなくちゃならない事が沢山あるんだよ」
「なんですか?」
「裏庭に行こう。一人で裏庭に行けなくなっちゃったんだ」
「どうしてですか?」
「一人で裏庭にいると、みんなが俺の頭の中で笑うんだ…」
「悲しくなるんですね…」
「ラブがいれば平気だからさ。裏庭で最後に話しをするのもラブだ」
「一番最初と一番最後が私なんですね」
「ラブが一番好きだからね」
「行きましょ♪」
手をつないでラブと歩く。手をつないだのはラブが一番じゃない…裏庭に出ていつもの席に座ろうとしてやめた。いつもラブが座っている席に座る
「ちょっと待ってて」
「はい」
鞄からタオルを出して、俺の左側に敷いてやる
「どうぞ」
「おにいさんって言葉は悪いですけど、優しくてロマンチストで紳士ですよね」
「帰っていいぞ」
「え゛ーーーーー!なんでですか、どうしてですか」
「照れる言葉とか褒められるのが好きじゃないの」
「だから朝もおこったんですか?」
「そう…」
「私の事が一番好きなんですよね?」
「うん」
「一番好きな人から言われてもダメなんですか?」
「一番好きだから言われると恥ずかしいんじゃないか」
そうなんだ好きだから恥ずかしくなるんだ。白の時もそうだった。チビに言われたことはない
「そうなんですか…」
「ロマンチストと紳士って言ったのもラブが一番だね」
「なんでも一番は嬉しいです♪」
「普通、女は一番にこだわらないはずなんだけどなぁ…」
「私、変なんですかね?」
「それは個性じゃん」
「そうですよね」
「残念ながらキスは一番じゃないんだよな…」
「チビ先輩ですか?白先輩ですか?」
「チビに飛びつかれて無理矢理キスされたのよ」
「ちょっと残念です…」
「二者面談最後だったから七番目」
「八人いて七番目なんですか?」
「ムックに最後キスした時に聞いてたろ?」
「はい」
「二者面談の時はムックだけキスしなかったのさ」
「それで聞いてたんですか…」
「二者面談の事は誰にも言うなよ」
「言ったらここに来てたの分かっちゃいますよ」
「それもそうだね」
「いつ私が一番って決めたんですか?」
「ミニスカートで入ってきたとき」
「え゛ーーーーーーーーーー!」
「みんなと別れるのと、チビ、白、ラブの事で頭が混乱してて決められなかったの」
「苦しんでたんですね…」
「ラブが一番になったのはもっと前だったんだと思う。気になりだしたのは、ずっと前」
「そうなんですか…」
「ラブの前は誰が一番だったと思う?」
「…チビ先輩ですよね?」
「なんで分かったの?」
「チビ先輩が残業だって言ったのが嘘に聞こえましたよ」
「がさつでオオボケでも、緻密で繊細もたまには使うんだな」
「酷いですよー!」
「そういうところが魅力的だって言っただろ」
「好かれてるんならなんでも嬉しいです♪」

今の俺にはミニスカートから突き出た二本の太ももが一番魅力的だ

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