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【小説】クお白チ 094【第一期】

コンビニで弁当を選んでた。食欲が無かったのでハムサンドとタマゴサンドとコーヒー三本買って、学校へ戻った
入り口を入って下駄箱の前にあるすのこに座って、下駄箱を見上げる。俺はチビとラブの下駄箱だけは知ってる。ラブの下駄箱の真ん前に座っている自分に気がつく…また石を取り出してさっきと同じ様に並べて、ハムサンドを口にした。クッキーと白の事を思い出す。クッキーに悪気がないのは分かってる。親友…そう呼べる友達を持った事がない俺には無縁の世界。俺さえいなければ、俺さえ感じなければそのまま通り過ぎていった普通の世界なのかも知れない。差別という言葉が頭に浮んだ…クッキーを最後に喜ばせようとして俺は差別をしてしまったんじゃないかと思った。俺さえ感じなければ差別は生まれてこなかったんだ…すまない事をしたとまた落ち込む…
入り口から出て、タイルの床に座りタマゴサンドを食べた。昨日見送った八つの背中を思い出す。また涙があふれてくる…タバコに火を付けてから、鞄を枕にしてタイルに寝転ぶ。時計を見たら12時20分だった。タバコを消して、曇り空から逃げるように背を向けた。ぽっかり空いた穴が、頭を真っ白にしてそのまま寝てしまった…

夢の中でおしゃべりに呼ばれた…次に白…その次にチビ…最後にみんなに呼ばれて目を覚ました…寝返りを打つと紺色の布が並んでいる。強い風が吹き、俺の頭の方から足の方へ紺色の布が次々と大きく揺れた。目の前にある布が揺れたとき真っ白な二本の足とその先に白い布が見えた。起き上がるとセーラー服に着替えた俺の妖精達が八人で立っていた。一瞬にして大きな穴が塞がる
紺色のスカート。上は白いセーラー服でカラーと袖の先だけ紺色。カラーと袖先に白いライン三本。スカーフはエンジ色。白いソックスを穿いて、全員濃い茶色のローファーを履いてる。みんないつもの鞄や手提げを持ってる。おしゃべりだけが包装紙で包んだ薄い箱を持ってた
俺「白。パンツ見えたぞ」
白「エッチー!」
「あはははははっ」×7
俺「今日の白のパンツは白でしたー」
白「やめてくださいよー!エッチー!」
「あはははははっ」×7+俺
俺「なにしに来たの?」
お「ないしょー♪」
時計を見たら2時だった
チ「サッちゃんさーお腹空いてない♪」
俺「さっきサンドイッチ食べたよ」
ム「知ってる♪」
俺「はい?」
ム「コンビニにいたらおにいさんが入ってきたから急いで隠れた♪」
俺「声をかけてくれればよかったじゃないか」
小「それもないしょです♪」
俺「なんなんだよいったい」
ク「裏庭に行きましょうよ♪」
俺「うん…」
立ち上がって、作業服をはたき、尻の左のポケットに入れてたスリッパに履き替えてみんなのあとを付いて行く。クッキーと白が振り返って肩を貸してくれた。いつもの席に座り、鞄からコーヒーを出そうとするその前に2リットルのお茶が香の手で置かれた
俺「ありがとう。でも、なんでお茶なの?」
ラ「あとで分かりますよ♪」
俺「なんかみんな妙に嬉しそうじゃない?」
白「ちょっとね♪」
俺「なんでみんなでセーラー服なのよ」
香「見せた事なかったからです♪」
俺「セーラー服の方が幼く見えるね」
お「そぉーおぉー?」
俺「チビと小鳥は中学生に見えるよ」
チ「ブーーー」
小「酷ぉーい!」
「あはははははっ」×6+俺
お「サッちゃーん。使ってるタオルぅーチビちゃんと私があげたやつぅー?」
俺「そうだよ」
チ「ちょっと嬉しいんだよ♪」
ク「作業服新品なんですね」
俺「今日は汚れないから新品で来たの」
ラ「染みだらけよりカッコいいですよ♪」
俺「なんでおまえはデリカシーのない事言うんだよ!このオオボケ女!」
ラ「あ゛ーーー!ごめんなさい…」
「あははははははっ」×7
俺「なんで仕事が終わったのが分かったんだよ?」
チ「私とムックちゃんで昼に見に来たんだよ♪」
俺「何のために?」
白「秘密でーす♪」
俺「昼に来たのに、なんでこんな時間に来たの?」
小「秘密でーす♪」
俺「あぁ…なにかたくらんでるんだ…」
香「秘密でーす♪」
俺「なんなんだよみんなして」
お「サッちゃーん。これプレゼントぉー♪」
包装紙で包んだ薄い箱をわたされた
俺「あぁ、ありがとう。開けていい?」
チ「いいよー♪」
包み紙を丁寧に剥がして、箱を開ける。九本のタオルが並んでた。左からピンク、水色、ベージュ、白、スカイブルー、黄色、薄いグリーン、オレンジ。そして真ん中に赤…また涙が出そうになる
俺「ありがとう。よくこれだけの色をそろえたね」
香「私のが一番大変でしたよ。サッちゃん無理な色言うんだもん」
俺「あはははははっ」
お「ごめんねぇータオルしか思いつかなくてさぁー」
俺「みんなのパンツでもよかったのに」
チ「このドスケベ!」
「エッチーー!」×6
俺「あはははははっ」
ム「あとこれ♪」
白い紙袋をわたされた。出してみるとお守りが九個。色はタオルと同じだけど、ベージュがなかったのか金色が一個。真っ赤だけ健康祈願、あとはみんな縁結び…
俺「なんで赤だけ健康祈願で、ほかのは縁結びなんだよ?」
全員が手提げやら鞄からなにかを出す。全員が赤い健康祈願とそれぞれの色の縁結びのお守りを手に持ってる
ラ「みんなで愛してまーす♪」
「愛してまーす♪」×7
俺「嬉しいけどさ…照れるじゃん…」
チ「サッちゃん照れてるよー♪」
俺「うるさい!チビ!」
小「時間がなくて探すの大変だったんですよ♪」
俺「みんなで買ってきたの?」
ム「うん♪」
俺「ムックも行ったんだ。よかったね」
ム「おにいさんのおかげ♪」
俺「ありがとね」
香「ご飯食べられますか?」
俺「サンドイッチしか食べてないから食えるよ」
白「よかったぁ♪」

優しさと温かさと柔らかさと微笑みが、少しずつ心を包み込む…

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