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【小説】クお白チ 099【第一期】

彼女達が俺にくれた最後の一日をみんなで大いに楽しんだ。楽しみのあとに大きな苦しみが来るのを待っているかのようだった。楽しい時間を早く終わらせ、苦しい時間が来るのを早くしてしまおうと思った…なぜそう思ったかは分からない…時計を見ると4時40分を過ぎていた
俺「5時に親方が来ちゃうんだよ。だからみんなこれで解散」
「………………」×8
俺「しょうがないだろー俺にだって都合があるんだよー」
香「また会えますよね…」
俺「俺が会いたいから会えるさ」
ム「みんなでどっか行こうね」
俺「そうだね」
チ「絶対だからね!」
俺「俺が絶対会いたいから大丈夫」
ラ「今言った言葉わすれませんよ」
俺「あぁ」
「………………」×8
俺「じゃ、教室を出て」
みんながバラバラに立ち上がって、教室を出て行く。香とムックが入り口で待っててビッコを引いてる俺に手を貸してくれた。俺が一番最初に泣き出してしまった……みんなの温もりが欲しくなる…道具置き場にしていた場所で
俺「ちょっと待って」
俺の目からは涙が流れ続ける
「………………」×8
俺「みんな俺から離れて」
小「ここでお別れなんですか?」
俺「違うよ」
みんなは黙って俺から離れる
俺「ムック来て」
ムックが歩いてきたので、しっかりと抱きしめておでこにキスをした。首にかけたタオルで涙を拭いて
ム「ありがと」
俺「つぎ小鳥」
小鳥は走ってきて俺に抱きつき
小「6回目」
と言ってキスをした
俺「おいおい」
小「あははっ♪」
泣き顔で無理に笑って見せた
俺「クッキー」
くっきーはよろよろしながら近づき、俺に抱きついて泣き出した。あごを持ち上げてキスをした。さらに泣き声は大きくなったが、よろよろと離れた
俺「チビ」
ダッシュして来て首にぶら下がり、無理矢理キスされ。俺は倒れそうになった。ぐちゃぐちゃな涙顔で
チ「ごめんごめん。えへへっ」
って笑った
俺「ラブ」
ラ「来て下さい」
俺「なに?」
ラ「最後位言う事聞いてください!」
階段に一段上がらされ、抱きつかれた。両手で顔を持ち上げ、キスをした
俺「じゃ、つぎはおしゃべりだ」
「あははっ」×8
おしゃべりは俺の顔を持って、濃厚なキスをしてくれた
俺「おまえだけひいきになっちゃうじゃないか」
お「いいじゃーん。最後だしぃー」
俺「そうだね」
階段を下りて
香「つぎ香」
香が近寄ってきて
俺「待った!」
香「なんですか?」
俺「この距離で香は分かるよ」
香「待ったなんて言わないでくださいよ!」
爽やかな香りと共に泣きながら走ってきてキスされた。思い切り抱きしめて肩の匂いを嗅いだ
俺「白だ」
首に腕を回して俺の顔を見つめる。薄茶色の瞳には涙で汚い顔をしている男が映り込む。あの時と同じ様に茶色の髪を一度だけなでてキスをした
白「大好きです」
俺「知ってるよ」
と言ったら離れた
俺「ムック、もう一回来て」
ム「なんで?」
俺「いいから来て」
ムックをもう一度抱きしめて
俺「初めてのキスを俺がもらってもいいかな?」
ム「………うん」
少し考えてから返事をする。ギュッと抱きしめて唇を重ねた
ム「嬉しい♪」
俺の顔を見つめながら、両目の涙がどんどん増えたが、離れた
俺はうわずった声で
俺「全員にキスしちゃった。得した気分♪あははっ」
気持ちとは裏腹に、強引に笑顔を作って見せた
小さな声で
チ「ドスケベ…」
お「体に気を付けてね」
小鳥の言葉を借りた
俺「そんな事言うなよ。永遠の別れみたいじゃないか。俺は大丈夫」
香「怪我しないでくださいね」
俺「みんながいれば俺は死なないよ」
小「元気でいてください」
俺「あぁ。じゃ見送るから入り口に行こう」
今度はチビと小鳥が手を貸してくれたけど、全然役に立たなかった。みんながローファーに履き替え、俺も靴を履いてタイルの上で
俺「おしゃべりの長音も心配ないな」
お「なんでぇー」
俺「さっき一瞬だけ長音が消えたよ。あははっ」
「あははははっ」×8+俺
ム「さよなら」
俺「バカ!またね だろ!」
ム「そか、またね」
俺「今度は振り返ってもいいよ。手を振ってくれると嬉しいな」
「分かりました」×8
俺「じゃ、またね。みんなでどこか行こうねー」
「はーい、またねー」×8
みんなは重い足取りで正門へ向かって歩き出した。少し行くと、チビが後ろ向きで歩きながら手を振る。つぎによろよろしてるクッキーが後ろ向きで歩きだした
俺「あぶないぞー」
その言葉で全員が振り向き手を振りながら歩いて行った。全員が正門前で立ち止まり、一列になって
「ありがとうございましたーーー!」×8
俺「またねーーー!」
手を大きく振った。涙がどんどん出てくる

彼女達は正門から出て…消えた…また、大きな大きな穴が空いた…

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