見出し画像

【小説】クお白チ 095【第一期】

俺「なにがよかったんだよ?」
ク「秘密でーす♪」
俺「まったくどいつもこいつも…」
小「サッちゃんちょっと目を閉じててもらえませんか?」
俺「いいよ」
目蓋を閉じると全員でゴソゴソやってたと思ったら、木のテーブルにカタン、カタンってなにかを置いていく
お「目を開いていいよぉー」
目を開けた瞬間、我慢していたものがプツンと切れて、涙がいっせいにわき出してくる。押さえきれなかった…下を向いて嗚咽を我慢するのが精一杯で、なにも言えなくなってしまった…
チ「我慢しなくてもいいんだよ…」
涙声でチビが語りかける。なりふりかまわずに顔を上げて
俺「バカやろう!こんな…バカやろう…」
全員が涙目で俺を見つめている。白い子供用の弁当箱八つに、おしゃべりの前に薄焼きタマゴを巻いたおにぎり、チビの前にピーマンの肉詰めとキンピラ、クッキーの前にクッキーとマドレーヌ、白の前にハムサンドとタマゴサンド、香の前に普通ののりを巻いたおにぎり、小鳥の前にそぼろご飯、ラブの前にカツ重、ムックの前にいなり寿司。みんなが初めて作ってきてくれた弁当が並ぶ。また下を向いて声を殺して泣いた。もう我慢する必要なんかない…右側からハンカチが出された。受け取って涙を拭くけど、後から後から流れ出てくる…みんな黙って俺が泣いてるのを見守ってくれた…

俺が落ち着いてきたのが分かったのか
白「おにいさん食べてください…」
俺「もったいなくて食べられないよ…」
香「本当にこれが最後ですから食べてください」
俺「今度は誰のから食べてもいいの?」
「はい」×8
最初にムックのいなり寿司を一口かじった。ん?その次にチビのキンピラを口に入れた。あれ?クッキーのマドレーヌ、おしゃべりのオムおにぎり、小鳥のそぼろ、ラブのカツ重、白のサンドイッチ、香のおにぎりの弁当箱だけ香の匂いがするが香が作ったんじゃない!えーーー?
俺「な、なんだよこれ…」
ム「誰のか分かった?」
俺「ちょっと待って」
全部をもう一口ずつ食べたけど、誰がどれを作ったか全然分からない
俺「もしかして俺に罠をしかけたの…」
「やったー♪」×8
香「昨日の作戦が失敗したからリベンジしてみました♪」
俺「それでみんなで嬉しそうだったの?」
小「今度は絶対に勝てるって思ってたんです♪」
俺「これって誰のアイデアだよ」
チ「私と小鳥ちゃんが昨日のは考えたんだよ。今日のはリベンジだからみんなで練りに練ってアイデアを出しあったの♪」
ラ「昨日のスコートのアイデアは私が出しました♪」
俺「三人がなにかをたくらんでたのは分かってたけどここまでやるとは思ってなかったよ…」
お「私なんかぁー早く起きるのが大変だったよぉー」
俺「そこまですることないだろ」
白「だっておにいさんに勝ちたかったんだもん」
俺「参りました。今までいじめてごめんなさい…」
「やったやったー♪」×8
俺「誰がどれを作ったの?」
ク「ダメでーす。言いませーん♪」
俺「えーーーーー!」
チ「私たちの最後の意地悪だよーだ♪」
俺「なんか、ちょー悔しいんですけど!」
「あはははははっ」×8
俺「さすがに八人が手を組むと負けるね」
ラ「でも、喜んでもらえましたよね?」
俺「涙が我慢できなかったくらい嬉しかったよ」
お「みんなぁーやってよかったねぇー♪」
俺「そうか、その為のお茶だったんだ。よし!全部食うぞ!」
違うものに手を付けるたびに顔色をうかがっていたけど、自分が出した弁当箱以外を全員見ない。まだなにかたくらんでる気がするがそれがなにか見当もつかない。全部食べ終わったら、全員の手が伸びて弁当箱をサッて手元によせる
俺「ごちそうさまでした。美味しかったです。ありがとうございました」
「わーい」×8
白「おにいさんここで待っててくださいね♪」
俺「まだなにかたくらんでるの?」
香「たくらんでませんよ。大丈夫です♪」
全員で校舎に入っていった。今度はなにをするつもりなんだろう?しばらくしたら弁当箱を拭きながら戻ってきて
チ「サッちゃんマジックかしてよ」
俺「いいよ」
胸ポケットからマジックを出してチビにわたす。弁当箱の蓋に大きくチビって書いて横にも書いてからマジックをおしゃべりにわたす。全員が書き終わったらラブが手提げから白い紙の手提げ袋を出して、それに全部の弁当箱を入れて俺にわたす
俺「これどうすればいいの?」
小「今名前を書いたお弁当箱が、本当に作ったお弁当箱なんです」
俺「えーーーー!教えてよぉー」
チ「これでサッちゃんの誘導と連鎖はマスターしたよ♪」
俺「てめーらちょっと待ってろよ」
弁当箱を全部出して、ふたを開けて一つずつ匂いを嗅いで確かめようとして二個目であきらめた…
お「やっぱりぃー香ちゃんの予想通りだったねぇー♪」
香「絶対に匂いで分かっちゃうと思ってたから作戦成功ですね♪」
俺「こんなに綺麗に洗剤で洗われて、おまけに全部同じ香水かけられたら絶対に分かんないよ…」
白「これでスコート入れて三回引っかかりましたよ♪」
俺「なんか俺って変な事をみんなにマスターさせたんじゃないか?」
ム「勉強になったよ」
「あはははははっ」×8+俺
チ「目もいい、耳もいい、鼻もいい、頭もよくて、口が悪いだよ♪」
俺「態度が悪いが抜けてるぞ」
「あはははははっ」×8
俺「あれ?ムックは秘密を話しちゃったの?」
ム「うん。でも二者面談のやつは話してない」
俺「そっかそっか、秘密は残ったのね」
ム「うん♪」
俺「あれも美味かったよ。ありがとね」
ム「うん♪」
俺「あぁ、こんな小さい弁当箱八個ももらって俺はどうすりゃいいんだ?」
ラ「なにかに使ってくださいよ」
俺「なにかって言われても…」
チ「小物入れにするれば?」
俺「あっ!みんな髪の毛一本ずつ抜いてくれ」
ク「なにするんですか?」
俺「参加したくない人はいいよー」
ク「あーーーー分かりました。抜きます」
弁当箱のふたを開けて、名前の通りの髪の毛を入れていく
俺「これで使い道が出来た」
チ「髪の毛なんかどうするのさ」
俺「俺の宝石箱にする♪」
ラ「おにいさんロマンチストですよね♪」
俺「ラブだけ帰ってくれ。手紙も電話もいらないからね」
ラ「え゛ーーーーー!どうしてですか?」
チ「女の子の髪の毛なんか集めちゃってさ、変人なんじゃないの?」
俺「チビにはもう会わない。手紙は破り捨てるし、電話は居留守」
チ「あーーごめんよぉーゆるしてよぉー」
俺「二人は俺の仕返しに引っかかったね♪嬉しいよ♪」
「あはははははっ」×6
チ「意地悪だぁー!ブーーー!」
ラ「心臓がいくつあっても足りないですよー」

しばらくは笑っていられる。彼女達がくれた時間を楽しもう…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?