見出し画像

【小説】クお白チ 103【第一期】

ラブは身を起こして、樹のテーブルに座ってしっかり足を閉じ、右手で胸を隠した
「手を下ろして、そのままにしててくれないかな」
「…はい」
曇り空で少し早まった夕暮れの中、ラブの体から光りが出ているのではないかと思った。両腕と首から上だけ日焼けしてるのに、白にも劣らない真っ白で、針を刺したらパン!とはじけてそのままラブがどこかへ消えてしまうんじゃないかと思う位に張った肌…細いのにテニスで鍛えられたほどよい筋肉……酔ってしまいそうな均整の取れた曲線…その裸体はとても美しかった
「いいよ。目に焼き付けたよ。ありがとう」
「やっぱり恥ずかしいですよ」
黒い紙製の手提げ袋から下着を出して
「着けてあげる」
「やです!」
「なに言ってるの?」
「もう、初めての人になってくれたんだから、それをもらってください!」
「なにおこってるの…」
俺の手から下着をひったくって、紙製の手提げ袋に入れて俺の手の届かないところに置いてから、LOVE手提げから下着を出して俺にわたす
「こっちを着けてください!」
「そんなにもらってほしいの?」
「はい!」
「家に帰ってどこに隠しておけばいいんだよ…まったく…」
上履きを脱がせる。全裸に上履き。フッって笑い声が出た。膝まで上げてから立たせて、腰まで上げた。そのまま抱きしめ、素肌の胸をお互いが感じあって、キスをした…両手を前に出させ、ブラのストラップを両腕にかけ、途中までラブにまかせてから後ろを向かせ
「何番目?」
「一番はじです」
「三ヶ所ホックがあって、一番はじって先端か最後か分らないだろ」
「あぁ、一番先端です」
「体格いいからな」
「もう!」
「あははははっ」
後ろを向いたまま、ラブはブラの位置を直してから、背中に敷いていた俺の作業服とTシャツを取って一度匂いを嗅ぎ、抱きしめてから
「はい。おにいさん」
両方受け取ってから、Tシャツを差し出して
「やるよ」
「えっ?」
「おまえにやるよ」
「くれるんですか?」
「プレゼントしてくれた下着のお礼だ。俺が着てたものだからこれでおあいこだろ」
「ちょー嬉しいです♪」
スカートを穿かせ、シャツのボタンまできちっと閉めてやった。新しいTシャツを着てから座ると、ラブが腰に敷いてたフェイスタオルに『初めて』って描いてあった。財布から1万円札を出し
「ほら、受け取れ」
「私、売○なんかしません!」
「あぁ、ごめん、誤解させた…」
「どういうつもりですか!酷いじゃないですか!」
「だから誤解だってば。それに○春で1万円って安すぎるぞ…」
「じゃ、なんでお金なんかわたそうとするんですか!」
「この金でショートカットにしてきてよ」
「えっ?」
「俺がショートカットにしてって、たのんでるんだよ」
「お金ならお給料もらったからありますよ」
「おまえだけ特別扱いしたいんだよ…」
「バカにされてるのかと思いましたよ…」
「それで足りる?」
「足りますよ。あまったら返しますよ」
「おこって焦ったよ…」
「だっていきなりお金なんか出すんだもん…」
「金を出したわけが分かって嬉しい?」
「はい♪特別扱いはみんな嬉しいです♪」
右の太もものポケットからタバコを出し火を付けて、コーヒーを一口飲む
「途中まで震えてたね」
「本当はこわかったんですよ…」
「そりゃそうだろうね」
「でも、好きな人とこういう事って幸せなんですね」
「ラブがそう思うなら俺も幸せだよ」
「やっぱり嬉しかったですよ♪」
「俺も嬉しかったよ」
「秘密は言わないでくださいね…」
「言ったら秘密じゃなくなるだろ」
「この秘密は初めての人にしか話さない事に決めてたんですよ」
「親も知らないの?」
「知りませんよ」
「変な事聞くけど、中学の修学旅行は行かなかったの?」
「行きましたよ。大変でしたよ」
「そか。高校も大変だね」
「高校は自由参加なんで行きませんよ」
「俺も高校の修学旅行は行ってないけどね」
「なんで行かなかったんですか?」
「クラスに溶け込めなかったんだよ」
「え゛ーー!おにいさんが?」
「変人扱いされてた」
「なんでですか?」
「また、二人で会った時に話してあげるよ」
「本当に会えるんですよね?」
「もう一回聞くけど、チビの彼氏になっちゃっても後悔しないの?」
「平気です。嫌いにならないでくれれば、私はそれで満足ですよ」
「それってラブはキープって事になるんだよ?」
「キープでも二番目でも三番目でも、私がおにいさんを好きならそれでいいんですよ」
愛と言う言葉に『無償の』と言う言葉がくっついた
「ラブと会いたいよ…俺はラブを愛してるんだと思う…」
「嬉しいですよ。望みも全部かなったし、私も愛してますよ」
「ラブ」
「はい」
「俺の事も嫌いにならないのか?」
「なにがあっても、どんな事があっても、嫌いにならないですよ。ただ…」
「ただ?」
「死んじゃったら嫌いになります…生きててくださいよ。お願いします」
「ラブがいれば俺は死なないよ」
肩を抱き寄せてキスをした。ラブを女にした事は後悔していない。ラブが望んだ事、俺が望んだ事。二人での秘密の共有。これからの二人の生き方。そのためにたくさんの罪悪感に苛まれていた
この子は瞬間を生きている。今の気持ちを大切にして生きている。悲しい事も苦しい事も含めて全部を大切にして生きている。若いって事なんだろうか?箸が転がっても笑える年頃。一生と言う約束。それは続かないんじゃないのか?俺は続けられるんだろうか?嫌いにならない事。ラブが嫌われるような事をしなければ、俺は嫌いになる事はない。逆はどうだろうか?俺が嫌われるような事をしたら、ラブは俺を嫌いになるんじゃないだろうか?高校時代から始ったあの忌まわしい、俺の脳をかき乱す出来事の数々。自分でも止められない欲望だけになる俺…化物の俺…言えない
「私の事は好きじゃなくてもいいんですからね?」
「好きだよ。少なくとも今この瞬間ラブが大好きだよ。一番だよ」
ラブの方から抱きついてきて、今までにない位激しいキスをした…

ラブにしてやれる事はキスしか残ってない気がした…頭をなでた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?