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ボスの一言~ゲームデザイン事始め②~

「木村君さぁ、このゲームって双子屋とかそういうのが面白いんだろ」
クーロンの企画と格闘しているとき、会社のエレベーターホールでのボスの一言が発奮材料になったのはいい思い出だ。
アジアゴシックやらドゥルーズ=ガタリなどは後から出てきた材料であり、最初は視察で見聞した香港をなんとか再現すること、そこに歪みを加えカリカチュアすること、ただそれだけが課題であった。あらかじめボスから「好きなことをやれ」「全責任は俺が取る」と告げられていたので、そもそも微熱状態にあったわけだが、とはいえそう簡単に「絵が描ける」わけではない。双子屋云々というのも、シンクロニシティを取り入れた設定も、深い考えはなく何の気なしに企画資料に付け足した「一行」であった。それがボスにとってフックとなった。ならばユーザーにとってもフックになるだろうと、まるで蜘蛛の糸のような確信にすがり設定作業に拍車がかかったわけだ。
ギリギリでやっていると、外から聞こえてくる何気ない一言が大きな結果をもたらすことがある。今の時代もそれは同じだろう。SNSを使えば、もっと声が聞こえるはずだし、そこから多くを得たいとい思いがあって、『クーロンズリゾーム』では開発初期からいろいろと開示していきたいと考えている。
そもそも今作は続編的な位置付けなので、急にミリセカンドを競うアクション性が加わるはずもなく、表示方法こそリアルタイムレンダリングになるものの、ゲーム性の根幹がそれほど変わるわけではない。ということは、ゲームからもたらされる感慨は、相変わらずシナリオや設定に多くを依存することになる。これは責任重大というほかない。ある種の必然というか、「陰界方面」の設定についてはこの25年間に充分に煮詰まってきているので、そこを存分に引き出して臨むことにする。

写真は微熱状態のまま設定した双子中心の見取図だ。香港チックな縦型シャッター(?)だけはどうしても設置しておきたかった。ゲームではそれがアニメーションで開閉し、SEまで付いたので大満足であった。
「セミナー会場」とあるのが、おはじめ式会場である。

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