根村菊真

細々と小説を書いたりしています。未来があると信じる20代社会人。作家になりたい。 Tw…

根村菊真

細々と小説を書いたりしています。未来があると信じる20代社会人。作家になりたい。 Twitter→@nemura_ki

マガジン

  • 二人で死体を埋めよう!

    同タイトル小説のまとめです。 不定期更新予定です。なるべく早く投稿できるよう尽力致します。

  • 小説まとめ

    自作の小説です。良かったら読んでください。

  • 私利私欲

    私利私欲にまみれた感想たち。 偏見ばかり。

  • 電車の窓から

    ふと思いついたのが書くの楽しかったので、毎日連作で投稿してみようかなと思いました。続きのこと考えてないので、いつ終わるか、どんな話になるのか、私も楽しみです 終わりませんでした、無計画な私の生き様を見て

最近の記事

頭がいっぱい

青空が包み込む、夜明けを忘れるような風。 徐々に開いていく距離、戻っていく言葉遣い。 悲しくなんてない、覚悟の上だったとしても ご馳走の味を知ってしまったら覚悟も揺らぐ。 焦れったい熱よりも、身を切るような雷よりも、 手から伝わる柔らかさを覚えている。 丸い言葉を、包み込む熱を、ぬるい汗を、覚えている。 勢いだと片付けるにはあまりにもヘビー。 咲いてしまった花はもう蕾には戻らない。 摩天楼が見てる、私の小さな悪事を見ている。 ただ確かに幸せだった。 偽りだとしても嬉しいと

    • 【短編小説】パールロード

      私は暇があればトイレの個室に篭っている、薄暗い人間だ。 いつだって痛くて重くて苦しい。 何がと言われても分からない。ただ胸の中に大きな深い暗闇が広がっているだけだ。 深淵に呑み込まれてしまう自分自身の脆弱さを自覚する。 自分と世界との境目が激しく揺らいで痛い。 トイレの中で苦しみ悶え、吐き気を催す。 死にたいかと聞かれたら、別にそうでも無い。 生きたいかと聞かれたら、別にそうでも無い。 なんというか、ただ、生まれたから生きている。 いつ死んだって、何も変わらないのだ。 今

      • にせもののかみさま

        お前らが語る虫唾の走るような桃源郷のせいで、僕は可もなく不可もなく傷ついている。 馬鹿が考えた笑い話でお前らが笑う時、僕はそのだだっ広く無防備に開けた口の中に泥を詰め込んでやりたくなる。 そんなお前らの信じる神は偽物だ。 そんな二枚舌の信仰心などないも同然だ。 僕の隣には彼女がいる。 僕と彼女の関係性などどうでも良い。ただ、彼女が僕の隣に居るというだけだ。 彼女はやたらと神に祈る。何かあれば祈る。森羅万象どの神にも祈る。 忌々しい。 ちょっと、からかってやりたくなった。

        • 【短編小説】恋心がわからない

          恋心が分からない。 私もかつて恋をしてそれに絶望したりしたはずなのに、もう思い出せない。分からない。 恋の話をされると、脳みそがエラーを起こす。 何を考えて良いのか分からなくなる。 0の入力を想定していなかったエクセルみたいだ。 何度エンターキーを押そうが計算結果は変わらず訳の分からない英語と記号の羅列。 理解できない。人に恋をしながら生きている人間が。 なぜこんな事を話しているか。 私は告白を受けている。 バイト先の後輩だ。 私より後に入ってきた、ひとつ下の後輩。 帰り道

        頭がいっぱい

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        • 二人で死体を埋めよう!
          0本
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          5本
        • 私利私欲
          2本
        • 電車の窓から
          27本

        記事

          【短編小説】曇りの日のデイドリーマー

          涼しい風が吹いている。 顔を撫でて、心地よい。 鬱憤を溜め込んだような曇り空が、怠けるような朝を彩っている。 こんな朝には散歩がしたくなる。いつも乗っているバスを無視して歩き出す。 このバスに乗らないことは遅刻を意味するが、どうせ僕が遅刻しようが淀みなく会社は回るし、こんな僕の為のような朝を、僕が歩かなくてどうする。 歩きながら、考え事をするのが癖だ。 考え事をしていると、次第に道も見えなくなっていって、僕の頭の中の世界と、現実世界との境界線がぼんやりしてくる。 街は姿

          【短編小説】曇りの日のデイドリーマー

          【短編小説】死についての曖昧な思考

          死について延々と考えている。 死ぬこととは、例えばパソコンの電源を切るように、洗濯機のスイッチを切るように、命が途切れることだ。 それ以上の何でもない。 けれどそれが恐ろしい。 ああ、死ぬ前に一度くらい、愛してもらいたかった。 愛していなくてもいいから愛して欲しい。ただ、愛して欲しい。 そう言い表す以外、私の願いは言い表せない。 愛されたいと、願うならば、性的魅力を全面に押し出すのが一番だ。 だがそうはいかない。私は自分がそれをするのが嫌いだ。嫌なのだ。人に猫撫で声出して

          【短編小説】死についての曖昧な思考

          【毎週ショートショートnote】おにごっこ?

          初めての鬼 「もーいいかい!」 「まーだだよ!」 子供たちの声が公園に響き渡っている。 「なぁ、今日が初めての鬼なのか?」 「うん」 草陰に座る二人が話し始める。 二人は木の幹で顔を隠すようにしていた。 「お前、緊張してんのか?」 「してないよ……」 「嘘だぁ!」 男は女を小突いた。 女はわざとらしく叩き返す。 「うるさい。緊張なんて関係ない。やることやればいいんでしょ?」 「そうだけどさぁー! 緊張して失敗したら元も子もないよねー」 「マジうるさいわ……」

          【毎週ショートショートnote】おにごっこ?

          【毎週ショートショートnote】夢運送

          『フシギドライバー募集中!』 僕は求人広告に妙な文言を見つけた。フシギドライバー…… 普通運転免許は必須、シフト制で日給1〜2万円…… 条件は普通のドライバーの求人に見えた。異様なのはその見出しと業務内容だった。 “夢”を運ぶだけの簡単なお仕事です! 初心者歓迎! 経験者大歓迎! 夢を運ぶだけの簡単なお仕事? 全く分からない。某テーマパークのキャッチコピーでもあるまいし。 ……まぁ、丁度仕事を探していたし話だけでも聞きに行こうか…… 仕事の条件云々よりも、興味が勝っ

          【毎週ショートショートnote】夢運送

          マンションの孤城

          閉鎖されたこの部屋で、私は一人。 たまにくる宅急便を迎え入れるくらいしかわたしにはすることが無い。 眼下には街が、子供の声や車の音が絶えず聞こえて来ると言うのに、私は孤城に幽閉されているようなそんな気分になっていた。 まるで、悲劇のプリンセスだな…… 迎えに来てくれるアテはないけれど。 窓を開けると熱気が部屋になだれ込んでくる。 嫌になる夏特有の、重たくまとわりつくような暑さ。 それでも街の人間は活動を止めない。 絶えず動き続けている。 子供たちは遊んでいる。親はのうのうと

          マンションの孤城

          ざいほう【毎週ショートショートnote】

          むかしむかし、あるところにチャリンチャリン太郎という若者がいました。 いや、違うよ、ふざけてなんかないって。いいから聞いてくれよ。 チャリンチャリン太郎はチャリに乗って山を駆け巡り、川をくだりました。 いや、だから笑うなって……ふざけてないんだってば。 道をチャリで走り回っている間に、老婆に出会いました。老婆は鬼が村を襲って困っていると言いましたを チャリンチャリン太郎は、鬼退治に行きました。 おい、何ニヤついてんだ。え? やっとそれっぽくなって来た? そりゃそうだ

          ざいほう【毎週ショートショートnote】

          甘い恋の真似事

          俺には美しい彼女がいる。 白くて陶器のような肌に、黒くて指通りの滑らかな髪。 その美しさを保つために、毎日俺は丁寧に髪と肌の手入れをしてやる。 彼女の名は美雪だった。俺は毎晩耳元で彼女の名前を囁き、愛を深めている。 俺が作ったご飯も彼女は美味しい美味しいとにこにこしながら食べてくれるし、俺が疲れて彼女に甘えても、嫌な顔一つせず、にこにこと俺を見ている。 俺は本当に美雪の事が好きだ。そして美雪も俺のことが好きだと信じている。 ある日、会社の同僚から彼女を見せてくれとせがまれた

          甘い恋の真似事

          注ぎ合い【毎週ショートショートnote】

          目の前から、同じ傘を持っている人がやってくる。 今流行りのビール傘。 ビニール傘のような表面には、生き生きとした泡を携えたビールが映し出されている。 同じ傘の人物とすれ違う。 すれ違う瞬間、傘を互いに傾ける。そして、傘の先を合わせるのだ。 これが、ビール傘ユーザーの決まり事。 とくとく、と小気味良い音を立てて互いの傘のビールの量は同じになる。 私はぺこりと頭を下げると、真っ直ぐ歩き出した。 「あ、あの」 不意に呼び止められる。今ビールを注ぎあった……彼女、に。 「そのビ

          注ぎ合い【毎週ショートショートnote】

          【短編小説】部屋と空き缶と君の遺体と

          清原恭介は重たい身体を起こした。 くそ……昨日の記憶が全然無い…… 頭が…………頭が……痛い……………… 立ち上がると、無数の空き缶がゴロゴロと足にまとわりついてくる。 蹴飛ばしながら歩くと、今岡翔吾が床に転がっているのが見えた。 「おい、起きろよ。ここ、俺の家なんだけど」 そう言って首筋に手が触れた時、あまりの冷たさに背筋が凍りそうだった。 死んでいる…………? 首筋や手首で脈を探しても一向に脈は見つからず、鼻の前にかざした手の平の中には、淀んだ空気があるだけだった

          【短編小説】部屋と空き缶と君の遺体と

          この国を抜けるまで【毎週ショートショートnote】

          「どうか、この国を抜けるまで振り返らないでください」 君はそう言った。僕は君にまた会いたくて踏み込んだ禁忌の国。 僕は何も怖くない。君の為ならなんだってできる。 君は僕がここに来たことに心の底から怒ったけれど、僕は何も後悔していない。 僕らの国に帰るまでの道はとても苦しかったけど、沢山の茨も越えたし、底なし沼だって渡り切った。 もうすぐ、もうすぐ、明るい僕達の国に辿り着く。 嬉しくて、嬉しくて、君の方を振り返った。 あっ、と小さな声が君から聞こえる。 僕の手に持つ松明が、煌

          この国を抜けるまで【毎週ショートショートnote】

          【短編小説】とうめいなあめ 後編

          木漏れ日が燦々と降り注いでいる。 地面にも光は溢れて私と奴の身体をゆっくりと包み込む。 雨は陽気に葉の隙間から滴って、地べたに多数の水たまりを作っていた。 「ねぇ、来ないの」 いつのまにか振り解いた手をもう一度奴は私に差し伸べている。 こいつの言うことを聞くのは癪に触るが、行くしかなかった。 この狭い空間の中に満たされている世界に私は浸りたかった。小学生の時を思い出しながら、この中に、阿呆のように。 手をすり抜けて進む。ここは森の中の穴。ここだけ木の生えていない穴。 真ん

          【短編小説】とうめいなあめ 後編

          コマーシャルソング【毎週ショートショートnote】

          「美味しい美味しいサラダバス! 楽しい楽しいサラダバス! 君も今日からサラダバスマスター!」 テレビから陽気な音楽と共にこんな歌が流れてくる。 皆さんご存知サラダパスのコマーシャルだ。 幼少期の頃からずっと聞いているこの曲。 俺はこの曲が大嫌いだった。 小学校の頃、食べるのが遅かった俺は、給食のサラダバスを食べられなくて、五時間目までサラダバスと睨めっこをしていた。 中学校の頃、好きだった同級生にサラダバスでの遊び方が気持ち悪いと悪態をつかれてフラれた。 高校の時、隣の

          コマーシャルソング【毎週ショートショートnote】