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『加圧トレーニング』がよる筋力UPと筋肉の断面積の変化について

日本で1960年代に発案され、その後アメリカでも流行っている『加圧トレーニング』という単語を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。現在アメリカの理学療法界でもよく使われており、それは野球界でも同じです。

アメリカで加圧トレーニングはBFRと呼ばれ、これはBlood Flow Restriction Trainingの略称です。そもそも加圧トレーニングとは、腕と脚の付け根に専用のベルトで圧力をかけて、血流を制限して行う筋力トレーニングのことです。 血流を制限することで筋肉を素早く低酸素化し、低負荷・短時間で効率よくトレーニングすることができるのが主なメリットです。

今回読んだこの研究では、そんな加圧トレーニングの有効性を調査しています。特にこのトレーニング方法が筋力を向上させ、肩の回旋筋群のエクササイズと組み合わせた際に大腿直筋の断面積を増加させるかどうかを研究対象としています。

著者曰く以前の研究では、上肢にBFRを使用した際の回旋筋群の筋力増加には効果が確認されていませんでした。この研究では下肢のエクササイズに続いて、回旋筋群のエクササイズを含むBFRトレーニング群が、非BFRトレーニング群よりも効果であるかどうかを判別することを目的としています。

参加者

この研究にはトレーニング未経験の参加者35名(平均年齢25.8歳)が選ばれています。まずランダムにBFR群と非BFR群に割り当てられ、下肢と回旋筋群のエクセサイズを行ってもらいました。

結果

結果は言うまでもなく、BFR群と非BFR群の両方で、筋力が以下の通り向上しました。

  • BFR群では:棘上筋で11.6%の増加、肩の外旋で34.1%、大腿四頭筋で23.4%、ハムストリングで17.1%

  • 非BFR群:棘上筋で7.3%の増加、肩の外旋で20%、大腿四頭筋で12.8%、ハムストリングで10.7%

これらの増加にもかかわらず、筋力向上の程度についてはBFR群と非BFR群の間で有意な差はありませんでした。さらに、どちらのグループも直腸筋の断面積の有意な増加はありませんでした。

結論

この研究で使用された特定のBFRトレーニングは、下肢エクササイズに続いて回旋筋群のエクササイズを組み合わせたものですが、非BFRトレーニングと比較して筋力増加や筋肉サイズの増加に追加的な効果を発揮するものではありませんでした。

これらの結果からBFRは筋力を増加させることができるものの、著者はBFRのトレーニング効果は従来の筋力トレーニングと大きく異ならない可能性があり、直腸筋の筋肥大をCSAで測定することには効果がないようだと締めくくっています。

サンプルサイズがかなり小さいのと、研究対象がトレーニング未経験者だったため、この結果が必ずしもアスリートに応用できるかは少し疑問です。

結局どんな論文を読んでも双極の意見がありますね。なので何事もただ他人の意見を鵜呑みにせず自分なりの見解を持つ事が大事です。

論文(要約文)のURLを貼っておくので、ご興味のある方はどうぞ:https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1466853X21001723?via%3Dihub

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