結婚について本気出して考えてみた〜そこにいてくれることが大事な存在〜

彼と些細なことで言い合いになって、彼は出かける時間が来てそのまま出かけて行った。

とにかく休日だったので、ネット配信動画サービスでお気に入りのドラマや映画を観ていた。
あの頃、まだ東京の狭い区域でただ一人の男性を見つけだそうと躍起になっていた頃、ハマっていたドラマ。今の立場から見ると、あれ、こんなシーンあったかな、と思うところも。純粋に感動できた場面も、違う側面が見えてきたりして。

結婚てなんなんだろう、とずっと考えている。
夫婦ってなんだろう、とも。

彼が夜中に帰ってきた時、私はまだそのドラマを観ていた。

私が言葉を発しようとした時、彼がそれを制して言った。ごめんね、と。
あの出て行き方はよくなかった、と。

彼が出かけている間、私はその些細な諍いのことを綺麗にすっかり忘れていた。
でも、彼は飲みに出てるあいだ、私のことを考えてくれていた。もう、それだけで、充分だと思った。酒臭い息を嗅ぐのも、もう充分だったし。

同じ家に住む利点は、喧嘩も多いけど、仲直りするチャンスも多いことだと思う。

これからきっと、いろいろな困難や障害があるんだと想像できる気がした。でも、それも、こうやって一緒に乗り越えていける気が、した。

根本的な解決はしていないけれど、まだこれからの時間の中で、すこしずつ、絡まった糸をほぐすように、時々見ないふりをしながら気を紛らわせて、それでも、問題から目をそらしても彼の心からは目をそらさないで生きていこうと思った。

本当に大事なことは、彼の心が私の隣にいてくれることだ、と思った。

若かった私の初恋。初めて恋を教えてくれたあの人のために、キャンパスを全力疾走した。

あの時の気持ちを思い出した。
いますぐ、あの人のそばに行かなきゃ、あの人に大切に思っていることを伝えなきゃって、息を切らして走った。

いま、私が抱きしめられる人は、あの人ではないけれど、抱きしめている思いの根っこの部分は変わらない気がする。

大切な人に大事だと伝える。抱きしめる。
それを惜しまない。
これは、私が大切にしていること。
ひとは、いついなくなるかわからないから。
いつか伝えようという気持ちだと、いつまでも伝わらない。本当に大切な伝えなきゃいけないことは、伝える努力を惜しんではいけない。
もちろん、言わなくても伝わることもあるだろう。でも、行動しないと伝わらないこともある。

彼が、ごめんなさいをきちんと伝えてくれるひとでよかった。
ちゃんと、ごめんなさいを言える人に育ててくれた彼の両親に感謝した。
そして、彼にあんな出て行きかたをさせた自分を少しだけ反省した。
たぶん、彼は私を写す鏡だから。

私には恋人がいる。
でもプロポーズはまだ、ない。

彼が出かけているあいだに、訃報があったので、今日はその喪に服している。

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