見出し画像

歌人と出会う

書き方の練習にちょうど良いお題をさがしてSNSを指先でつまんだりはじいたりしていたらとうとう出会った。穂村弘。

自転車のサドルを高く上げるのが夏を迎える準備のすべて

季節感といい音のシャープさといい堪らないなと思ったし、なんだったら水を入れ始めたばかりの25mプールと入道雲になりかけの白いモコモコが遠くに見える青い空まで浮かんだ。

すこし前から名前だけは知っていたけど、自分の読書習慣からして穂村弘にいきなり手を出しても響かない、受け取れないだろうなっていう確信めいたものがあって一定の距離を保っていたんだった。
だけど、こうなったらもう事情が違う。仕事上がりに本屋に寄って、探して、手に取った。

パラパラとめくってみたけれどやっぱり堪らなかった。一気に読んだりしないでいつも近くに置いておいて、ふと心が向いた時に手に取って、気持ちのいいところを探すような読み方で付き合いたい。正しさのために書いておくと、冒頭に引用した詩は両かっこで括られていて尚のこと堪らなかった。

言葉や文章を形として残すことが習慣化し始めた今このタイミングで穂村弘という歌人に出会えて嬉しかったし、どんなチューニングだったのか知らないけど自転車のサドルに強く反応してみせた自分のアンテナに対しても、グッジョブと褒めてやりたい心持ちで気分が良かった。
町田康の「バイ貝」を読んでいよいよカメラを買いそうにもなっているくらい、いま読書と生活がとても強く結びついていて楽しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?