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「ゆれる」よんだ/みた

久しぶりに書いたブックレビューをinstagramだけでなくnoteにも載せたくなった。しかしほとんど出来上がっていたドラフトをコピペしたら文章のトーンがnoteに合わないような気がして気持ち悪い。noteのことをSNSだと認識していないからだろうなと納得がいったので、構成も文体もばらして書き直した。結局、instagramのキャプションには冒頭と余談だけを、レビューの本文はnoteにだけ載せることにした。

映画は2006年公開の有名作品。そんな高さじゃ死ななくね?とツッコみたくなる吊り橋以外はホントに何もかも素晴らしい。カタルシスって言葉はラストシーンの香川照之のためにあるんじゃないかと言いたくなるほど彼の演技が飛び抜けており、あまり邦画を観ないあたしでも思わず興奮して力説せずにはいられない!(とはいいつつこないだドライブ・マイ・カーみた)

映像美と演技力とで丁寧に綴る映画版に対して、書籍版は脚本の妙で登場人物の心情をいっそう明瞭に写し出す。ページをめくる速さは映像にしか生み出せない間やテンポを演じることはできないけれど、ゆっくりなぶん西川監督がこの作品を通じて描きたかったものにスポットライトが照らされるような、導かれるような滑らかさを、読者側の心象を肯定されるような心地よさを味わうことができた。

映画版と書籍版、ふたつが互いに補完し合って揺らぐ兄弟の心のさまをますます強く揺さぶるかのよう。普段だとなにを観ても「書籍のがおもろい」あたしだけど本作に関しては甲乙つけがたく、なんだったらもう突き落としたのかどうかはどっちでも良いやとさえ思ってしまった。
すごく良い体験しました。

しれっと身につけてるリストゲイターおすすめ。

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