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アルデンテじゃなくていい

「パスタの茹で具合はアルデンテ」というのは、一体どこからきているんだろうね。個人的には、アルデンテに気をつかっているのは日本人くらいな気がしてます。
 BS日テレで放送している「小さな村の物語 イタリア」がすっごく好きで、毎回たのしみにみています。番組の中で食事の用意をする場面が必ず撮られているのですが、私が記憶している限りは「アルデンテがいいわよね」みたいな会話は一度も聞いたことがないもの。

 アルデンテって、たぶんスパゲッティにしか出来ない。
 そもそもパスタの形状は小さいのや平べったいものとかいろいろあるから「若干芯が残るくらいの茹で加減」が物理的に無理なパスタもあると、思うんです。
 個人的には、パッケージに書いてあるの茹で時間を参考にして、味見をして茹で具合をみます。茹で加減なんていうのは「お好み」なんだろうけども、パスタって、多少長く茹でてもぐだぐだにならないから、もっと気楽に茹でてもいいんじゃないかなぁ、アルデンテが全てじゃないよねぇ、って私は思っています。
 手作り生パスタは茹で時間が短いけれど、捏ねた粉には中まで熱を通した方がいいなぁって思いました。

 イタリアの人たちには、食事の時間をゆっくり過ごす習慣があるようです。ワインを飲みながらあれこれ話をしたり、テレビを見たり、おいしいねと言ったり、食事時間を長く愉しみます。だから、時間をおいてもぐだぐだになりにくいパスタを主食にしているのかもしれない。
 あるイタリアの人のお話です。
「出来立てを食べることにはこだわってないよ、食事中の会話がはずんじゃって、その間にパスタがソースの水分を吸って柔らかくなってもいいんだ、だってそれは、誰かとたのしい時間を過ごしたっていう証拠だからね。そうやって食べる柔らかいパスタはおいしいよ」

 私は食べるのが遅いほうなので、誰かに「冷めないうちに食べちゃいなさい」とか早く食べるように言われるのがイヤで。わがままなんですけどね笑。その昔の給食の時間も苦痛でした。食べるペースも食べれる量だって人それぞれなのに、与えられた時間も食事量もみんな同じだったから、私は給食の時間が終わってもまだ片付け出来ずに、校庭で遊ぶ子たちを眺めてて結局食が進まずに残しちゃって、申し訳なく思いながら給食室に配膳トレーを持っていく人でした。せめて、食べる量をコントロールできればよかったのにねぇ。

 食べる時間は、たのしくありたい。ひとりでも、誰かとでも。毎日のことだから、少しでも食事がたのしみであったほうがいいはずなんだ。

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 今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。誰かに、食事のたのしさやおいしさを伝えたい。そういう思いで書いたり描いたり作っています。出張料理人もやっています、私のホームページからお気軽にご相談くださいね。


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