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「手前味噌ですが」おいしいお味噌、できました。

寒い時期に仕込んたお味噌、4月に天地返しをしてから寝かせたまんまにしていました。どうなったかしらと、カビ対策のために厳重にしていた封を開けてみました。

わっ、味噌になってる!
試しに味見をすると、これがまぁ、おいしいんですよ。市販のお味噌にはない、粗潰しの大豆の旨みと甘みが美味しくってねぇ、金山寺みそのような味わいです。仕込みのときに炊いた大豆を潰す作業があってコレがけっこうたいへん、始めは丁寧にしていた作業も中盤から潰し方がだんだん粗くなっていたんだけども、これが功を奏していたのかな。麹のつぶつぶとはまた違う食感と味わい、これはまさに手前味噌。
お味噌を手作りしてる人がくちぐちにいうのが「お味噌は自分で作るのがいちばんおいしい」、その言葉の意味を理解した瞬間でした。

大豆と、米麹と、塩。今回の味噌の原料はこれだけです。麹菌さんが大豆たんぱく質を分解して旨みと甘みにしてくれます。お味噌は、熟成が進むと白っぽい色から赤茶色へと濃くなっていき、同時に甘みは酸味やコクへと変化していきます。

梅干しなどの漬物、お味噌作りの時も気にするのが、人間の体には合わないカビさんとの付き合い方です。
今回の味噌作りの際にも発生しました、黒や緑や白いこたち。いったいどこからやってきて、どうやって増えたのかねぇ、我が家のお味噌へようこそ。でも、人間にはよくないカビたちが嫌う塩分をしっかりと味噌に含めておいたので、思ったよりも住んでいませんでした。
私はきのこが好きで、きのこにある程度精通していると、きのこの実体である菌とかカビとかが好きになります。チーズのことも知ってると尚更です。我々人間は、カビや菌なしでは生きられません(腐海の毒と同じようにね)。彼らの運動の助けを借りて、食べものを美味しくしたり、健康を保っているんですから。マジで菌ありがとう。
とはいえ、お腹の中でやらかしてくれるこもいるので、お味噌の表面にいるそういうこはサヨナラです、人間の都合でごめんなさいね。また遊びに来てね。

我が家のお味噌汁は、基本的に鰹出汁ベースです。赤味噌もおいしいのですが、鰹節の風味とお味噌の一体感をいちばん感じられるのは、お味噌が白く甘いうちかなぁと思っています。もちろん、赤出汁も好きだけど、やっぱり私は白味噌が使いやすい。具材の味も感じやすいし、よく馴染む。

お味噌って、余ってる野菜とか、何を入れても美味しくなる、日本食の誇るべき優秀レシピだと思います。入れるものの組み合わせでスープの味が変わって、毎度不思議に美味しく仕上がる、もちろん食材の組み合わせもだいじかと思いますが。

【お味噌汁の具材、おいしい組み合わせ(ほんの一例)】
◎玉ねぎ+じゃがいも(男爵系が好み)
◎キャベツ(くったくたになるまでよく煮込んで甘味を出す)+油揚げ
◎トマト+なす
◎ドライトマト(水に漬けて柔らかくして、トマト色になった水で出汁をとる)+玉ねぎ
◎練り物+大根+豆腐
などなどなどなど、千変万化です。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
思えば、その昔はたくさんの家で味噌も梅干しもなんでも作ってて、家庭ごとに味わいが違ってて、それがお袋の味のベースになっていたんだ。時代は変わった、手作りしなくてもスーパーやコンビニで買える。でもきっと、お味噌の原料が何で、どうやって味噌になっていくのかは知っていた方がいい。自分で作らなくてもいいから、知ってて欲しい、そして、自分の好きなお味噌を見つけて欲しい。それは、人生を豊かにするたくさんの要素のひとつになるから。食の探究家は、そう願います。

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