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【イベント運営】初めての14セッション企画・進行で、やってよかったこと5選

来週2/15(火)に自分で企画したオンラインカンファレンスを開催するのですが、その企画・運営時の学びを残しておきたいと思います。

イベントの企画や進行に興味がない方でも、かっこよく作ってもらったオープニング動画だけでも見てもらえると嬉しいです。


開催の背景や各セッションの紹介は公式ブログで公開していますので、詳細は割愛します。

このカンファレンスでは、イベントの企画・運営が初体験にも関わらず、自社で過去最大規模の14セッションの枠を作り、自身は全セッションの企画、登壇打診、収録・進行、編集ディレクション、うち4セッションでは聞き手として登壇もしています。

私はイベント担当でもマーケティング部門でもない立場で、他のプロジェクトを進めながら大規模なイベント開催に挑戦したのですが、なんとか望む形で実現できる目処が立ってきました。

今回は、そんな素人でも失敗するリスクを避けるためにやっててよかったことを紹介します。

「撮影・編集・配信のパートナーさんを見つけて一緒にやる」「社内でマーケやCS部門に協力してもらう」等も企画を進行するために不可欠なポイントでしたが、今回はあくまで開催者の立場でのTipsに絞って紹介します。

私のように"兼業的"に大きめのイベントを企画・運営する方の参考になれば嬉しいです。

以下、時系列(早期に決定した順番)で説明していきます。


事前収録形式にする

今回、リアルタイム配信ではなく、事前収録形式を取りました。

事前収録形式は、公開までのリードタイム確保や編集スキルなどが必要ですが、日程調整が簡単でやり直しができる等のメリットがありますす。


日程が合わないリスクを回避

今回は、いままで自社でやったことがない水準のゲスト・登壇者にお願いすることを想定したので、「日程が合わないリスク」を避けられる事前収録形式を選びました。

結果的にすべてのセッションで期待以上の豪華な皆さまに登壇いただけましたが、収録日が固定されていたら今回ほどのものは実現しなかったと思っています。


"やり直し可"のメリットも大きい

また、やり直しができることも重要でした。

そもそも進行/聞き手になる私達自身が初体験ですし、お願いする登壇者を考えるときに登壇経験の有無ではなく、「素晴らしい取り組みをされているか」「魅力的な考えをお持ちか」を重視したかったのです。

また、「外部の登壇経験があるか」「スピーチ/ディスカッションが上手か」という基準を優先すると、一気に候補者も少なくなり、開催の難易度も跳ね上がります。

これらの理由で、やり直しが効く事前収録形式が好ましいと考えました。

実際に、やり直しが効く形式だと伝えたとき、ゲストの方からも「こういう機会の経験がなくても、登壇を受けやすかった」という声を複数いただけて、良い判断だったと感じています。

私としても、他では聞けない方々の貴重な方のお話をお届けできることになったので、企画者、登壇者、視聴者それぞれにとって事前収録が最適な形式だったと思います。


セッションのフォーマットを揃えておく

収録タイムラインも含め、セッションのフォーマットを決めておくのも、やっておいてよかったことの1つです。

14ものセッションの進行や展開がそれぞれ異なると、進行スキルも必要になり、事後の編集も大変になります。

そこで、以下のように収録・セッションのフォーマットを固定化しました。

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実際のセッションフォーマットと撮影タイムライン


3者を意識したフォーマット

セッションの形式を決める時、企画者、登壇者、視聴者の3者それぞれの立場でニーズを考えました。

3社の立場と想定ニーズ
・視聴者:様々な他社の取り組みを、できるだけたくさん聞きたい。
・企画者:できるだけ多くの情報を話していただきたい。ただ、登壇打診を了承いただきたいので過大な負担は避けたい
・登壇者:負担は小さい方が好ましい。話すなら自社や自社の取り組みの良いところをうまく伝えたい

一定の情報量を担保しつつ、視聴者が予定を組みやすくなるよう、各セッションは45分もしくは55分に揃えています。

セッションの進め方として、全てをプレゼン形式にすると登壇者の準備も大変で、受けてもらうハードルも高まります。また、企画意図と合わなかったときにやり直したり編集する余地も少なくなるので、好ましくありません。

一方で、全てフリーディスカッションにすると、登壇者の方の準備は不要になりますが、高度なファシリテーション・ディスカッションスキルが求められたり、セッションの質が会話スキルに依存しすぎるリスクがありました。


実際のフォーマットと狙い

そこで、本カンファレンスでは、以下のフォーマットを採用しています。

セッションフォーマット(45分の場合)
・アナウンサーによるセッション紹介(別撮り):1分
・聞き手/進行による登壇者とセッション紹介:1-2分
・登壇者によるプレゼン:15~25分
・プレゼンを元にした質疑応答:15-25分
・まとめ:2分

今回は、自社との契約有無を問わず様々な視聴者の参加を想定していたので、はじめにセッションと登壇者の紹介の時間をあえて取りました。登壇をお願いした理由、企画者/話者として何を聞きたいか、を始めに伝えることで視聴者や登壇者と認識合わせをしておくためです。

登壇者は準備が必要とはいえ「15-20分程で話してもらう」程度なら、30分以上のプレゼンと比較すればかなり受けやすくなりますし、視聴者との認識を揃えたり、学びを得るには十分な情報量は担保できます。

質疑応答も20分程であれば、トピックのコントロールや部分的なやり直しもやりやすく、5分前後の時間超過があっても流れに影響が小さい、ちょうどよいサイズ感だったと思います。


アナウンサーMCでリスクと負担を回収する

アナウンサーによるMCを前に持ってきたのは、わかりやすさの担保とセッションへの期待値ズレの解消の意図がありました。

そもそも進行・聞き手は自社の社員です。お客様と仲良かったり、現場の様子に詳しかったりしも、ファシリテーション経験が乏しいスタッフも少なくありません。

そんなスタッフが、企業や登壇者の紹介をわかりやすくするのには限界がありますし、準備の負担が大きくなります。また、細かな台本など用意してないですし、用意しても完全にそのとおりに進行することも不可能です。

どこまで行っても「撮ってみなければわからない」「本番では想定通り話ができなかった」ということは起こりえます。

それらの可能性も考えて、撮った後でも「こういうセッションになりますよ」と冒頭に付け足して期待値を調整する狙いもあり、アナウンサーによるセッション説明を冒頭に持ってきています。


撮影タイムラインは1発撮り + やり直し形式に

「やり直せる」「編集が効く」と考えると、始めはテレビのように「長時間で収録して、良いところをピックアップして45分に収める」ほうが好ましそうに思っていました。

しかし今は、「配信時と同じ構成・時間で進めて、足りない/やり直したいところを取り直す」方が、絶対に良いと考えています。

体験して分かったのですが、14セッションを収録するとそもそも1回映像をチェックするだけで10時間かかります。収録時間が長くなれば、チェック・編集の時間・負担はそれ以上に膨らんでしまいます。

そもそも、「後から良いところだけを選ぶ」というのは想像以上に難しいです。せっかく話してもらった嬉しい話に優先順をつけるのも、所要時間を考えてカットするのも、カット後の整合性を撮るのも、非常に大変です。実際に2,3分削るたけでも、かなり苦労しました。

このあたりを踏まえて、撮影時は「45分のセッションを撮る」というつもりで進行・登壇していただきました。


"想定外"を吸収する撮り直し時間

一方で、撮り直す時間を残しておいたことも良い判断でした。

実際、今回は、半分以上のセッションで撮り直しをお願いしました。撮り直した理由の一部を紹介しますが、理由は本当に様々です。

撮り直しの理由
・緊張で十分質問しきれずに、早くセッションが終わってしまった
・緊張で当初想定していた質問をするのを忘れてしまった
・登壇者が製品を応援する気持ちが強すぎて、製品を褒めていただく時間が長くなりすぎた
・重要な部分の言い間違いや、誤解を与えたりネガティブに聞こえる表現をしてしまった
・画面を見せるときに、映ってほしくない情報が映った
・用意した資料を出すタイミングを逸してしまい、紹介しないまま終えてしまった
・進行上、必要なフレーズを言い忘れた

収録後に、「弊社を褒めていただく時間が長くなりすぎたので、御社の取り組みについてもっと話してほしいです」とお願いしたり、撮影終了でホッとして登壇者同士で真剣に会話している姿を見て「まさにいま話している話を撮りたいので、追加で撮らせてください」と頼んだりしました。

後からセッションの内容を調整できる余地を持てたことは良かったですし、テイク2は緊張が取れてより話が聞きやすくなるなどの副次的なメリットもありました。


参考:こんなフォーマットも良さそう

また、自分が今回の企画をやってみて、他の動画の見方が変わりました。

フォーマットに関しては、たとえばセレブリックス社の2B Salesのような一問一答形式も、企画者が扱いやすい優れたフォーマットだと感じています。

一問一答だと、ファシリテーションのスキルが必要にはなりますが、登壇者の準備の負担も低く、編集やメッセージ調整もしやすくなるので、継続しやすそうなフォーマットだと思います。


事前に進め方をすり合わせる

他の項目と比べると当然の項目ですが、登壇者との事前の内容すり合わせはやっておいてよかったです。

今回は、登壇1ヶ月ほど前(資料を作っていただく前)に、内容と進行のすり合わせを行いました。


事前の1時間が準備をラクに

事前に30分~1時間ほど登壇内容を軽く話しておくだけで、登壇者は資料の企画負担が軽くなり、どんな質問をされるのかも理解しやすくなります。聞き手も進行や質問を考える余裕を持つことができます。

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登壇者向けのご案内資料も作りました


褒め(られ)すぎない方がが望ましいことも

また、今回登壇をお受けいただいた方は、皆さま自社のサービスを気に入っていただいている方ばかりです(と信じています)。セッション中でサービスを褒めていただくことはムチャクチャ嬉しいですし、ご担当者がサービスに全く触れずにいるのは無理な話です。

しかし、セッションがサービス紹介/宣伝に終始してしまうのは、誰にとっても望ましい形ではないこともあります

なので、事前に「その背景にある考え方や関連する取り組みについても触れてほしいし、ディスカッション時に聞きますよ」と伝えておくことが必要だったと思います。

事前に認識を合わせておくことで、当日の録り直しも快く協力いただけましたのではと思います。

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登壇者向けマニュアルも作って、直前まで進行の認識合わせを図りました


進行役は質問を長めに

ここからは、自分が聞き手として進行するときに心がけたことですが、「質問を長めに」というのをかなり意識しています。

理由は、登壇者が考える時間を確保したいからです。


回答を考える時間が全員の利益に

聞き手もそうですが、登壇者の方も初めての機会で緊張をされている状態なので、想定外の質問が突然飛んできたときに、会話が止まってしまったり、思ってもいない答えをしてしまうことがあります。

もちろん、事前に質問案はある程度送って回答の心づもりはしやすくしているのですが、特に話の流れで追加の質問をするときなどは、質問文を長くして考える時間を作っています。

余裕を持って良い回答ができれば、視聴者のメリットにも繋がります。少し回りくどい形の質問は、結果的に全員の利益になるはずです。


自分の質問ならカットもしやすい

以下は、あるセッションでの実際した質問です。

「新しいことをやるとか、例えばセールスフォースを改修するとかで、
こうスピード感は恐らく速くなるかなと思ってるんですけど。
なんかどれぐらいのスピードでDXって、今、回していったり...とか、
なんかこう改善って前と比べて早くなったのかなと思ってるんですけど
何かどれくらい違いがあるようなものなんですか?」

すでに2行目で質問の主題に触れているのですが、たとえ話や関連話を挟んで長く話すことで、余裕を持って回答を考えられる時間を作っています。

質問が長くなりすぎたときには、真ん中をバッサリ編集で切ることができるので、時間調整のバッファーにもなります。実際、上の質問文も3,4行目を削って時間の短縮に使いました。


Zoom収録なら背景でタイムキープする

今回、1/3ほどのセッションはZoomでの収録にしたのですが、ここでも1つTipsがあります。

会議や商談でも、Zoomでのタイムキープは難しくないでしょうか?

これが、タイムキーパーがミュートをしてZoom背景で指示を出すだけで、かなり進行が楽になります。

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実際に収録する様子。タイムキーパーの背景を見れば進行がわかる


時間を守れないのは、意識や伝達が難しいから

そもそも、どの登壇者でも、時間を守りたくない人はいません。

時間が守れないのは、話しながら進行を意識するのが困難だったり、タイムキーパーや進行者が話の合間に状況を伝えることが難しかったりすることが原因です。

話を遮るかどうかを気にすることなく、無言でパッとZoom背景を変えるだけで全員が同じように進行を意識できるので、Zoom背景でのタイムキープは本当におすすめです。

実際に使った背景集もまとめてみましたので、是非活用ください。普段の会議でも応用できると思います。

また、後で編集できるよう、今回採用したZoomの録画設定はこちらです。


まとめ

以上、長くなりましたが、僕のように初めてオンライン登壇イベントを企画・運営する方にとって、参考になるところがあれば幸いです。

これらの工夫ができたのも、イベント初体験の僕に過去の経験を教えてくれたTrailbrazersや、同僚の皆様のおかげです。ありがとうございました。

また、「お手並み拝見...!」というスタンスで視聴されるのは本意ではないですが(笑)、僕が「話していただきたい」と思った方ばかりにご登壇いただけるイベントがあと数日後、2/15(火)に形になります。

もし製造・物流業、チェーン業態、DXに関わる方で、興味のあるセッションがあれば、イベントにもご参加いただけると嬉しいです。


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