#毎週ショートショート『だんだん高くなるドライブ』

「パパー!ドライブしてー!!!」

 よく子供のころに“ドライブ”なんてしゃれた名前を付けて父の肩車を縋っていた。父はおおきな人だった。身長も、心も。自衛隊員だった父だったから日焼けをして、逞しい体で家族全員を抱きしめてくれた。
僕はそんな父の肩に乗って高い位置から周りを見渡すのが楽しくてたまらなかった。グーンと急に開ける景色にキラキラ眼を輝かせていた。


「パパはお空にお仕事に行ってくる。」
 
僕が小学校に入るころ、父は病気で亡くなった。父はより高い世界へと旅立っていった。僕はまだ地上でのドライブしか知らないけど、僕も空へ飛んでいったときに、もっと高い場所で父とドライブをしたい。きっとこれまでにない美しい世界があると思う。

「ぱぱー!肩車!」
今はまだ娘とのドライブを存分に楽しむけれど。


小説…?

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