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着物の繰り回し

着物は仕立て直すときに、繰り回しがきく衣裳です。
もちろん、訪問着や振袖などのように、柄があるものは、どの部分を袖にするか前身頃にするかなどを考えて染めておりますので、部分部分の取替えがききません。
紬や小紋・無地などは、かなりの繰り回しをすることが可能です。
茶道のお稽古をしておられる方は、正座をされる時に膝に手を置かれますので、上前の膝上ぐらいのところが、どうしても、汚れたり擦れたりしやすいものです。また、膝行膝退などで、畳の上を動かれることも多いので、上前は、結構、痛みます。

衽は、上前下前ともに同じ部品がありますので、簡単に交換することが可能です。身頃は、左右を取り替えるとすると、衿肩開の切込みがありますので、上前の位置は、交換すると右の後ろ身頃の位置に来てしまい、目立ってしまいます。
この場合は、身丈が短くなっても大丈夫であれば、上前と下前の帯下に入る場所で、上前と下前を切り、交換します。
また、意外にしみで気になるのが、脇じみです。長年、汗をかいたものをそのままにしておいた場合に生じるしみで、輪取りになっている場合が多いのです。しかし、これは、良く考えますと、もともと、きものを着たときには、脇に入ってしまう位置だということです。
しかし、平らに畳むと、結構目立ち気にする方が多いのです。
しかし、この部分を繰り回すことは、難しい部分ですから、

万一、どうしても気になる場合には、一旦色抜きして、染め直すしかないように思います。しかも、無地にではなく小紋柄に染め直すことをお勧めいたします。
また、上前のしみが何らかの理由で下前にまで突き抜けている場合があります。
この場合は、上前と下前との交換では対応できませんので、上前を袖と交換します。
汚れのひどいほうを内袖になるようにすれば、袖を広げて歩く人はいませんから、意外と目立ちません。ただし、しみの位置が裾から高い位置にあると、ちょうど、袖口あたりにしみが来てしまう場合もあるかと思います。
そのあたりが、クリアできましたら、その取り替えも、有効です。
その他、以前にも書きましたが、衿の掛け替えです。
衿の汚れと言うのは、常にきものを着ると避けることのできない悩みです。現在のように白粉に油分が多くなると、自分で取るのにも限界があります。それでも、常日頃、こまめに手入れをしていれば、問題はないのですが、たまにしかお召しにならない方に限って、ついつい、ご着用後目立たないからと言ってそのまましまってしまい、気が付いた時には、大変な状態になっていることが多いのが、衿汚れです。
しかし、これは、一回しか出来ないことではありますが、地衿から掛け衿分を取って、掛け替えることができます。
その前に、まず掛け衿だけを解いて洗い張りをして、反対向きに掛ける事が大切です。
問題は、きものが焼けている場合です。
地衿には、日が当たっていませんから、取り替えた場合、身頃が焼けていると、衿が妙に綺麗で、目立ってしまう時があるのです。
ここは、気をつけなくてはなりません。
もうこのきものは着ることができないのではと思うようなきものでも、
仕立て直しをすることによって、綺麗に着ていただくことができるものです。困った時には、是非、ご相談下さい。

  お着物のご相談は、きもの蔵人みやもとまで

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