映画#64『パーフェクトブルー』
虚構と現実が入り乱れる……『パプリカ』などを生み出した奇才・今敏のデビュー作『パーフェクトブルー』。
たまたま観る機会があり観てみたけどこれは正真正銘の衝撃作。ここでは多くは語らないけれど、とにかく展開の早さ・目まぐるしさに度肝を抜かされるばかり。
そんなストーリーが1時間以上も続くのだから、もはや瞬きする余裕すらない。(他の映画に例えるなら、クリストファー・ノーランの『プレステージ』と『インセプション』を混ぜた感じ?)
この映画における最大の魅力とは、やはり目まぐるしい展開とそんなストーリーを遜色なく描き上げた作画だろう。当時はCGもあまり発達していない時代であった為、シーンは全て監督の手描き。
アイドル業を辞め、女優に転身したもののそこは想像とはかけ離れた世界で、徐々に精神を病みつつある女性・霧越未麻が主人公。
そんな彼女の哀愁漂う表情と、一昔前のアニメの作画は妙にマッチしており、さらに物語が孕む狂気性も助長している。(もしこれが現代に公開されたら、評価も変わっていたかもしれない……)
「現実かと思っていた出来事が実は幻想の中の出来事で、ようやく目が覚めたかと思ったらそこもまた幻想の中」……いわゆる「無限ループ」を題材とした今作だが、それを狂気的とも言える作画で描く、という表現力には脱帽せざるを得ない。
思えば、後に世界的なカルト人気を得た『パプリカ』に観られる狂気性は、もしかしたらこの時すでに生み出されていたのかもしれない。
今敏、彼についてもっと深く深く知りたい。そう思った今日この頃。
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