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映画#12『シン・ウルトラマン』

作品の概要

『シン・ウルトラマン』
監督:樋口真嗣
脚本:庵野秀明
出演:斎藤工、長澤まさみ、有岡大貴、早見あかり、田中哲司、山本耕史、他
製作会社:円谷プロ、カラー、東宝
配給:東宝
上映時間:113分
公開日:2022年5月13日


『シン・ゴジラ』に次ぐ、新たなる「シン」

初めに言っておくと、正直言ってこの映画を語り尽くすことは私には不可能だと、2回鑑賞した上で確信に至った。
と言うわけで今回は、2016年公開『シン・ゴジラ』との類似点を中心に語っていくことにする。

本編の内容を語る前に、これは予告編などでもわかることだが雰囲気はどことなく『シン・ゴジラ』に似ている。例えば主人公・神永新二らが所属する禍特対や防災庁と言う組織、ウルトラマンの出現につき国家も動き出すなど、「現代にゴジラやウルトラマンなどの存在が現れたらどうなるか」と言うコンセプトは一貫している。
とはいえ『シン・ゴジラ』は、完全にゴジラと国家を主な視点に置いていたのに対し、今作『シン・ウルトラマン』はどちらかというと、国家そのものというよりは神永新二/ウルトラマンと禍特対の絆、そしてウルトラマンが向ける人類への愛を視点に置いている。
(余談だが、映画開始直後に『ウルトラQ』のように様々な怪獣(以後、今作の呼称に従い”禍威獣”)が登場するが、世界で初出現した個体”ゴメス”の歩き方…..というかフォルムが「シン・ゴジラ」にそっくり。)


数え切れぬほどの「オマージュ」の数々

『シン・ゴジラ』では、タイトルの出方や音楽、そして「人類VSゴジラ」という構図に至るまで、1955年公開『ゴジラ』のオマージュが盛り込まれていた。
今作も前作の例に違わず、1966年〜1967年にかけて放送されたTVシリーズ『ウルトラマン』のオマージュがされているが、その量は『シン・ゴジラ』と比べても比にならないと言ってもいいだろう。
私は当時の原作を全て観たわけでもない(というかまだ生まれていない)が、当時の世代の人たちからすれば今作はまさに感動モノだろう。
正直、私が視認できたオマージュだけでもかなりの量になるので、敢えて原作との相違点を紐解いていこうと思う。違ってたらファンの皆さんにごめんなさいします

よくみたらこのウルトラマン結構痩せてる….?()

まずは代表的な違いである見た目から。原作と比べると目のデザイン、そして胸のカラータイマーの有無が顕著に現れている。
ウルトラマンの代表的な特徴といえば、地球での活動時間が限られているということ。力が減少する、または一定時間地球に居続けると、胸のカラータイマーが点滅するというのは有名な話だろう。だが今作ではカラータイマーが存在しない。「まさか活動時間の限界っていう概念がなくなったのでは…..」と鑑賞前の私は考えたが、今作は体表の赤いラインが緑色に変色することで体力の減少を表現していた。
(後でわかったのだが、カラータイマーがないのは番組当初のウルトラマンの没デザインが元らしい。完全に映画オリジナルかと思ってた…..)
また、禍威獣及び敵対する外星人のデザインも異なっている。劇中主な活躍を見せるのはネロンガ、ガボラ、ザラブ、メフィラス。特に外星人の二人(ザラブ、メフィラス)は、人類と親交を結ぼうと変装をしているのも特徴的だ。

また物語の締め方も異なる。原作では唯一ウルトラマンを敗北、そして死へ追い込んだ最強の怪獣「ゼットン」が人間の手によって討伐され、ウルトラマンはゾフィーと共に光の国へ帰って行った。
一方今作では、原作通りゼットンは登場し(ただし禍威獣としてではなく、ゾーフィが人類を滅ぼすために送った「天体制圧用最終兵器」として)、ウルトラマンは敗北してしまう。しかしここで原作と異なるのは、ウルトラマンは死亡しておらず、人類は力を合わせてゼットンを倒す方法を編み出し、最終的なトドメはウルトラマンが刺したということ。その後ウルトラマンは並行宇宙へと飛ばされ、人類は生かす存在に値すると改心したゾーフィと共に光の国へ帰る…..と思いきや、人類を守りたいという心から自身の命を神永に捧げてしまう。結果的に神永は生き返り仲間の元へ帰るが、ウルトラマンは死亡してしまうのだった。


総評

とりあえず書きたいことは大体書けたと思う。
「あの設定とこの設定がどうたらこうたら」とか「あのシーンは原作のあそこのオマージュでウンタラカンタラ」とかあれこれ考えながら観るよりも、「うわぁかっこいいなぁすごいなぁ」と白目剥いて涎垂らしながら観る私なので、大抵こういう細かいオマージュは鑑賞後ネットで調べたりして「うわー庵野秀明ってやっぱ変態なんだな」ってなってます。

ぶっちゃけどのシーンのウルトラマンもかっこよさ100%でございました。それに尽きます。
特撮にCGを組み合わせたことにより迫力満点でした。
ガボラとのプロレス、ザラブとの空中戦、メフィラスとの光線の撃ち合い、勝てないと分かっていても人類のために戦いを挑むゼットン戦、そしてラストのお馴染みの変身シーンを多用したゼットン撃破、などなど…..
当時ウルトラマンを食い入るように観て興奮していた子供時代に戻れたような気がしました。まぁ原作見てないんだけどね!!!!

さてさて、来年は『シン・仮面ライダー』の公開でございます。予告編から見ると当然かもしれないけど『シン・ゴジラ』や『シン・ウルトラマン』とはまた一味違った作風になりそう。
はちゃめちゃにめちゃめちゃ楽しみです。

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