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ネトゲ婚した人にインタビューした話!(3/4話)

前回のつづき)

■オフ会での出会い

ドラクエ10の発売から1年ほどが経過したころ、ノウキンさんがよく閲覧していたドラクエ10ブログの管理人がオフ会をやりますという告知を出した。
オフ会といっても、みんなが集まってゲームの話題をしつつお酒を飲む集まりらしい。
開催地が東京ということもあり、ノウキンさんは行ってみようと考えた。

当日、オフ会に参加したのは、男5人、女4人。

その参加者の中に、マロニーさんというと素敵な女性がいた。
埼玉から参加していた彼女に、ノウキンさんは惹かれてゆくことになる。

■第一印象と第二印象

マロニーさんと初めて会った時の印象はどうでしたか?
という私の質問に、ノウキンさんはこう答えた。

『おしとやかな人だなと思って、派手な人だなと思いましたね。』

一見、矛盾するように思える感想だが、これには理由がある。

ネットゲームがきっかけで人と出会うときの面白いところなのだが、リアルの印象とゲーム内のキャラの言動にギャップがある人が結構多い。

ゲームでは小さくかわいいキャラクターを使っている人が、現実で会ってみると190cmはありそうなめっちゃ体格のいい男性で驚くこともある。。
この辺のギャップを感じることができるのも、ネットゲームオフ会の醍醐味かもしれない。

リアルのマロニーさんはとてもきれいで、スマートな立ち振る舞いをしていた。
楽しく飲み会をして、周りの会話も盛り上げている様子を素敵だなと思ってノウキンさんは眺めていた。

オフ会は盛況に終わり、参加者全員がそれぞれフレンド登録をすることになった。
ゲームの中でもよろしくお願いしますというわけだ。
ノウキンは帰宅して、オフ会で気になっていたマロニーさんのゲーム内のキャラクターを見て驚いた。
マロニーさんのキャラはかなり派手派手な格好をしており、ノウキンいわくかなり攻めた格好をしていたという。

キャラクターの様子を知ったことで、マロニーさんに対するイメージが
『素敵な女性』から『素敵で楽しそうな女性』へと更にアップした。
現実世界の第一印象も、ゲーム内での第二印象もノウキンさんにとって非常に魅力的に映ったというわけだ。

■ノウキンさんに対する第一印象は悪かった

ちなみに、マロニーさんがノウキンさんに抱いた第一印象は
「結婚詐欺師かな?」という非常に手厳しいものだった。
実は当時、都内でIT関係の経営者を自称して女性に高額のお金を貢がせて行方をくらませる事例が結構あったらしく、経営者を名乗るノウキンさんは詐欺師に思えたらしい。
そんな悪く振り切った状態から結婚まで行くのだから、人生わからないものだ。

■初デートまで

オフ会の後、ノウキンさんはゲーム内のフレンドチャットでマロニーさんに話しかけるようになった。
会話の内容はすぐに広がっていき、ゲーム内の話からリアル生活の話題が8割ほどになっていった。
マロニーさんもパソコンでわからないことをノウキンさんにチャットで質問してくるようになり、2人でチャットをする時間は増えていった。

■初デートはルイーダの酒場

チャットをしばらく重ねてから、ノウキンさんはマロニーさんを食事へと誘った。
場所は、都内にあるドラクエをコンセプトにしたルイーダの酒場というお店だ。
ドラクエのモンスターやイベントにちなんだフードやドリンクメニューが楽しめるお店をマロニーさんと楽しむことができて、ノウキンさんはとても幸せな気分になった。
それと同時に、付き合うなら絶対にこの人がいいなと思うようになった。

■告白して交際へ

「ルイーダの酒場楽しかったし、もう一度飲みに行こうよ」
2回目のデートは居酒屋だった。楽しく飲んでその日は終わりとなったのだが、
別れ際にノウキンさんはマロニーさんに告白をした。
自分と付き合ってほしいと素直な気持ちを包み隠さず伝えた。
マロニーさんの返事はOK。

オフ会で初めて会ってから約3ヶ月、2人の仲はフレンドから恋人になった。
そして次のステージに向けて交際をスタートした。

■誘ってみることの大切さ

実はマロニーさんと出会った最初のオフ会のあとに、男たちだけでで2回ほど飲み会をしたことがあるらしい。
ゲームの話が中心なのだけど、どうしてもこの前のオフ会に参加した女性の中でどの人が一番いいか?という下世話な話になってしまった。
そのとき、ノウキンさんを含めた三人がマロニーさん推しであったという。

しかしご存知の通り、マロニーさんはノウキンさんと交際することになった。
交際できた要因は、ノウキンさん自身の魅力もあるだろうけども、誰よりも早く誘ったからだと思う。

マロニーさん推しだった他の2人の話は聞けていないので推測するしかないのだが、
おそらくこの二人はマロニーさんをデートなどに誘うことはしていなかったのではないか。
いきなり誘うにためらいを感じたのかもしれないし、もう一度くらいみんなでワイワイ集まるオフ会をして、もうちょっと仲良くなってから声をかけようとしていたのだろうか。

ノウキンさんが交際まで行けたのは、3人の中で誰よりも早く行動したのが大きい。
逆にノウキンさんがこのときマロニーさんに何事もアクションをしなかったり、行動を先延ばしにしていたら結婚することはなかっただろう。

ネトゲのオフ会に限らず、いい人だと思ったら誘ってみることが何より大事ではないだろうか。
まごまごしていると、他の人に取られてしまいそれを後悔することになる。
下手をすれば一生の恨事として抱え続けることになりかねない。

気になる異性が居るのならば、行動して誘ってみることが大事であるとの教訓を得ることができた。

■プロポーズはちゃんとしよう

さて、これまでうまくやってきたノウキンさんだったが、交際から入籍に至るまで大きな失敗をしている。

『結婚するなら絶対にマロニーさんしかいない』

交際が始まって約1年、ノウキンさんはマロニーさんとの結婚を決めた。
自分が今まで生きてきた中で、最も楽しく幸せそうな生活を一緒に送ってくれるのはこの人しかいないと強く感じていた。

そしてある日の夜、その決意をマロニーさんに伝えることにした。
プロポーズである。
夜、家のベランダで自分と結婚してほしいと熱意を込めて語りかけた。

マロニーさんの答えはこうだった。

「今は応えられない、ちょっと時間が欲しい。」

プロポーズへの返事は保留ということになった。
しかしそれからも、デートの頻度や付き合いは特に変わることはなく、2人の楽しい時間は過ぎていった。

プロポーズの保留から1ヶ月ほど経ったある日、ノウキンさんはマロニーさんと餃子の王将でご飯を食べていた。
美味しい餃子をお酒で流し込み、ゲームの話や仕事をの話で盛り上がっていた。
その会話の流れで、先日保留となっていたプロポーズの話になった。
まだ結論がでていない話題なので、さすがのノウキンさんも緊張してしまう。

だが、しばらく話をしていると、
「プロポーズ、受けていいかも。」
というような言葉をマロニーさんが言った気がしたのだ。

やった!
望みが叶ったと思ったノウキンさんは大喜び。
手に持っていたジョッキでマロニーさんと乾杯して、美味しい餃子に舌鼓を打った。
これほど美味い緑茶ハイを飲んだことはなかった。

プロポーズがOKとなれば、これからやらなければならないことがたくさんある。
餃子の王将の翌日からノウキンさんは結婚へ向けての準備を始めることした。

ところが、日に日にマロニーさんの機嫌が悪くなっていった。
ノウキンさんは気のせいだろうと思っていたのだが、彼女の機嫌は上向くことはなく、不機嫌なままだった。

心当たりがなかったので、どうしたの?と尋ねると

「ちゃんとプロポーズされていないのに、本当に私たち結婚するの?」

という答えが返ってきた。
マロニーさんは、改めてちゃんとしたプロポーズをしてほしかったのだ。

「やっぱりプロポーズは、結婚においても人生においても大事なイベントですもんね、餃子食べながら緑茶ハイで乾杯!ではしっかりしたプロポーズとは思われなかったんでしょうね……」

後日、しっかりしたプロポーズでフォローしたものの、あやうく取り返しの付かない失敗をするところだったとノウキンさんは肝を冷やした。

余談だが、3年ほど前に私たち夫婦とノウキン夫妻でテレビ電話をしたことがある。
そのときも、マロニーさんがこの話をしていたので、かなり気にしていたのだろう。

人生の節目の出来事は何かと記憶に残りがちだし、ちゃんとできることはちゃんとしたほうがいい。

プロポーズは中途半端な感じで済ませるのではなく、しっかりやっておくべきという現実的な教訓を得ることができた。

お二人の馴れ初めエピソードを伺ったところで、私は今回最も知りたかった質問をノウキンさんに投げかけた。

■ネトゲ婚の秘訣とは

『それでは、ネトゲ婚がうまくいく秘訣ってなんでしょうか?』

私は今日インタビューする中で、最も重要なポイントをノウキンさんに尋ねた。
手元のバインダーに挟んである『今日聴いておきたいリスト』の中でもこの質問だけはバッチリ太字になっている。
私が昔から気になっていたことでもあるし、沢山の人の参考になると思っていたからだ。

しっかりとした統計のない完全な独自研究になるのだが、ネトゲがきっかけで結婚をしたカップルの離婚率は結構高い。
いつの間にか交際が終わっていたり、離婚してしまうパターンをSNSでは見かけることがある。
そもそもネットで堂々と離婚しましたと発表するケースは稀なので、実際にはネトゲ婚した夫婦が別れているケースは更に多いと思う。
ここにはネトゲ婚特有の問題があるように思えてならなかった。

だが、目の前にいるノウキンさんはネトゲがきっかけで結婚したが、交際期間を含めて10年近く円満に暮らしている。
かなりレアなケースだと言っていいだろう。
そこには何か、ネトゲ婚したカップルのうまくいく秘訣があるのでは思っていたのだ。

鼻息荒く質問する私に向かって、ノウキンさんは驚くような答えを口にした。

つづく