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Know the digitalization, update the traditions.

「初めてスマホ持ったのっていつ頃だったっけ?」


先日、妻とこんな話になった。

振り返ってみると、たったのここ10年そこらの話だった事に気づいた。

この10年間での世界の変革ぶりに改めて驚いた。


私は福岡県の朝倉町(現:朝倉市)という片田舎で生まれ育った。

山、川、畑の大自然に囲まれ、物心がつくまでデジタルな要素とはほぼ無縁の環境だった。

黒電話だったし、ぼっとん便所だったし、野生動物はそこら中にいるし、

夜は街灯もほぼなく、虫の囀りや風の音しか聞こえない

そんな環境で育っていると、

初めてインターネットと呼ばれるものに触れた時の衝撃といえば凄まじいものだった。


それが確か私が小学校4年生の時、パソコンが導入された時だった。

ブラウン管の様などでかいデスクトップ。

あの衝撃から僅か10年後、

私はスマートフォンと呼ばれるものを手にした。またもや衝撃的な文明の利器であった。

そしてその10年後、私たちは今や手元でパソコン同様もしくはそれ以上の機能を使い、

ありとあらゆる情報にアクセス出来るようになった。

凄まじい加速度的な時代の変化だ。



今や、どんな人でもどこにいても、ほぼ全ての情報にアクセスできる。

昔の様に、「田舎には情報が入って来ない」「最新の情報は都会に行かねば」「金を払って分厚い本を読まなければ」みたいな原始的な時代はとっくに終わっている。


田舎者には、往々にして保守的な気質がある。

情報が民主化する以前の習わしを良しとしていて、そこからなかなか抜け出せない、

こと地方の産業に関して言葉を選ばずに言えば、

不安や恐怖から新しい文化様式を避け“伝統”という二文字にかこつけているだけ、といっても過言ではない。


新しい世界は今、万人の手元にあるのだ。

新時代を生きていく為には、新時代の流れを汲まなければいけない。

“伝統”が悪いと言っているのではない。

新しい時代の在り方や、知識や技術を取り入れていく事が、

より良い形でその伝統なるものを後世に継いでいくに不可欠であると考えている。


ネット社会以前と以降では、時代の変化のスピードがまるで違う。


黒電話からたったの20年で、現代のスマホまで辿り着いた。

GAFAMなど、20年前からすると信じられない世界だ。

今後はもっともっと急速に時代は変わっていくはず。


アナログ時代の常識やスピード“だけ”で今を生きていると、取り残され淘汰されることが多いのではないかと強く感じる。

“だけ”と強調するのには理由がある。

矛盾している様だが、これからは再びアナログ時代が来ると、私なんぞは予想している。

「アナログ」が価値を持つ時代、と表現した方が良いかも知れない。

AIなどを筆頭にデジタル化が進めば進むほど、「人」の価値が上がっていく。

コンビニやスーパーのレジ打ちはなくなる、とされている事が典型的だ。

「人でなくても出来る仕事」「正解がわかっている仕事」は、人間でなくても出来る仕事。

そしてデジタル化が進むのと反比例的に、経済合理性の檻の中に閉じ込められる時間が増える。

人の温かみ、感情、自然など、アナログなものに触れる機会は減る。

だからこそこの価値がどんどん上がってくる。

「人だからこそ生み出せるもの」「人でなければ生み出せない物」

飲食業はまさにこちらだと捉えている。

機械にオーダーを取らせて、レシピ通り機械に作らせて、機械にサーブさせる様なモデルも

出てくるとは思う。ただ、そのモデルが果たして世間に受け入れられるのか?

一定の層からは指示を得たとしても、

機械が作り機会が運ぶ料理とお酒を、どれだけの血の通った人間が心から楽しめるのか?

甚だ疑問である。


第一次産業だってそうだ。農業なんか、経験や勘、感覚で成り立っている様なものだ。

機械のプログラミングではどうにもならない部分がとても多い。


完全にデジタルな世の中と、完全にアナログな世の中がパラレルに存在する世界になる。

これまで中間に君臨していた人や物、

「なんとなく」雇われて、「なんとなく」仕事をしている人間は、

社会全体から戦力外通告を受け、人工知能に代替されていく。


アナログが価値を持つ、というのも、デジタル化ありきの話だと思っている。

デジタルな社会への理解度を高めた上で、アナログの価値を高めていくのが、私の様な田舎者の務めであるとすら思っている。


現代の流れに引っ張られ、奇をてらった事をしてしまうのは、伝統を侵すことになりかねないので、精査すべき。

アップデートを続けながら、進化し続けながら、伝統の価値を高めていく。

そしてそれを最前線で伝えていくことが、私のやりたい事であると思っている。

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