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【書評】イギリスに移住した日本人女性による息子の成長物語。日本人が当事者意識を持てない問題を考える。

タイトル:ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー (新潮文庫)  

著者:ブレイディみかこ 

この本は、英国に移住した日本人の女性が書いた本である。
イギリス人の夫とその間に生まれた子供の成長日記的に書かれた文章であり、イギリスのリアルなティーンの日常を、見る中で、イギリスの社会問題や差別問題、貧困問題などリアルな現状を知り、それらの問題に対して考えるキッカケを与えてくれる。

僕たち日本人は単一民族国家だ。外国からの移住者はイギリスなどの諸外国と比べて比較的少ない。
そんな我々日本人は、人種差別問題に直接触れる機会は少ない。

この本の著者の文章は、自分視点で、息子の成長と本人が体験した人種差別的な経験を、上手く織り交ぜ、会話ベースの文章を入れつつ、僕たちに上手く感情移入させてくれている。

それ故、僕たちは日本で体験することはできない、人種差別問題を文章を通して擬似的に体験できる。
この本は、これが正しいという類いのものは書いてない。というよりどうするのが最適解なのか考えるプロセスを踏む中で、根深く色んな要因が噛み合った複雑な問題である人種差別に対して、日本に住む僕たちが真剣に考えるキッカケを与えてくれる。

またイギリスの中学校に通う息子の成長、苦悩を見る中で、若い世代特有の悩みに対して個人的に思い出すものがありつつ、日本とイギリスの間で生まれたいわゆる(あんまりこの表現は使いたくないが)ハーフの子供たちが感じる苦悩を知ることができる。そのため、これを読んだ人はある程度、ハーフの方の気持ちに触れることができると思う。

学校は社会の縮図だ。
この本は、主に著者の息子がイギリスでの中学生活の事が書いてあるが、学校は社会の縮図であり、文章を読む中で、イギリスのリアルな社会問題を知ることができる。ドラック、貧困、人種差別etc、日本に住む我々では想像し難い現実があることを知る。

https://www.amazon.co.jp/ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー-新潮文庫-ブレイディみかこ/dp/4101017522/ref=mp_s_a_1_1?crid=1VYKW1J6O1FMN&keywords=僕はいえろーでホワイトでちょっとブルー&qid=1655692946&sprefix=僕はいえ%2Caps%2C285&sr=8-1

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